191話 新たな加護持ち
ビエルスの道場屋敷に戻ってお風呂に入り、ささくれだっていた神経がようやく落ち着いてきたのを感じた。
サティを抱っこしてじっと暖まっているのがこの世で一番落ち着く。次点はアンのおっぱい。
「このあとはどうします?」
俺の手を一心にもみもみしてくれていたサティが不意に言った。まだ正午を過ぎたばかりくらいだ。エリーとアンとティリカはもう出かけてしまった。二日も丸々休めるほど暇はないようだ。
温かいお湯で体を休めていると、正直もう何もしたい気分じゃないな。このままお湯に浸っていたい。
「少し剣の練習をしませんか?」
さすがに今日は剣とか見たくないぞ。
「サティは師匠からしっかり休めって言われてるだろ?」
奥義の習得は相当に厳しいらしい。夜のお相手も今日は遠慮したほうが良さそうだ。
「ちょっとくらいなら……」
俺とサティがやると軽くでも相当な運動量になってしまう。それじゃ休めない。
「ダメだって。それよりもお風呂から出たらミリアムを呼んで来てくれないか?」
「ミリアムちゃんですか?」
「うん。実は加護がついてた。まだ内緒だぞ」
「わあ。でもどうして内緒なんですか?」
喜びの声を上げたサティがすぐに首を傾げた。
「まずはちょっと話をしたくてな。ほら、加護がついたってわかったらそれどころじゃないだろ?」
メイドちゃんたちとはあまり個別に話をする機会がなかったし、一度じっくり話をしておきたい。ミリアムもだが、俺も心の準備が必要だ。
「そうですね。呼んできます」
お風呂から上がってすぐにサティがミリアムを呼びに出て、入れ替わりにミリアムが小走りでやってきたのがわかった。
「ミリアムです。お呼びですか、マサル様!」
どうぞと部屋に招き入れると嬉しそうに俺の前に立つ。尻尾がぶんぶんと激しく振れている。
「ちょっと話がしたくてね。ここの生活には慣れた?」
「はい。たくさんごはんが食べれて毎日楽しいです」
ヒラギスが陥落して半年以上。ここにきた当初獣人ちゃんたちは相当にやせ細っていた。実際ヒラギス居留地では餓死者が出る寸前だったのだ。
それが多少ともふっくらしてきただろうか。髪や肌もきちんと手入れが行き届いているし、顔色はとてもよくて元気そうだ。
「それにエルフの方々がたいへん良くしてくださるんです」
やせ細っていたのはどうしようもないとしても、獣人ちゃんたちはちょっと酷い有様だった。風呂は俺が設置した一回だけだったし肌や髪の手入れなんてやりようもない。そのうえ服は着の身着のままでかなりみすぼらしい格好だった。
俺たちはその辺わかっていたが、気合いを入れてやってきたエルフは顔合わせで驚いていたし、獣人ちゃんたちもこの上品そうなエルフと同僚となって働くと聞いて相当びびっていた。
そのエルフの最初の仕事は獣人ちゃんたちの世話だった。お風呂で隅々まで綺麗に洗い上げ、頭の上から爪の先までぴかぴかに磨き、見栄えのする服を取り揃えさせた。
ついでに家事はもちろん、礼儀作法まで仕込み中というから双方とも大変だったろう。
家事のほうは食事の準備が大変なようだ。なにせうちは俺が美味しいものを食べたがるから食材も調理法も庶民とはかけ離れているし、もともとの消費量が多い上に人もいきなり一〇人も増えた。みんな同じものを食べるし毎食相当な手間である。
そういった細々したことをミリアムに話して貰った。エルフとは上手くやれているようだ。
「ああ、適当に座っていいよ」
俺はベッドに腰掛けているが、ミリアムを立たせたままだった。
「えっと、はい」
ミリアムは少し部屋を見回すと、俺の目の前で跪いた。椅子はもちろんあるし、部屋は板間で綺麗に掃除はしてあるが、一応土足である。
「椅子とかもあるけど……」
「いえ。私などここで十分ですので!」
この部屋も絨毯に変えるかなあ。不動産屋からこの道場を譲り受けた時、俺の部屋は二部屋ぶち抜きで広くして、さらに小さいお風呂をつけて便利に過ごせるようにはしたが、長期滞在は考えてなかったので家具とかは最低限だった。絨毯って高級品なんだよね。畳があれば良かったんだけど。
「剣の修行はどんな具合だ?」
気を取り直して話を続ける。通常の仕事を覚えるのも大変だったろうに、その上俺からは剣と弓を覚えるようにとの指示があった。新入りのメイド部隊はお隣の剣術道場で稽古をつけてもらっていて、さぼりがてら様子を見に行ってはいるが、実際本人の口からどんな風に思っているかは聞いたことはない。
ここへ来て二週間ほど、さぞかし忙しい毎日だったろう。考えてみるとちょっと過重労働だったかもしれない。
「剣も弓もぜんぜん上手にならなくって……」
ミリアムは俺の質問にうなだれて答えた。
「まだ始めたばかりだしな」
「センセイもそう言うんですけど、私には向いてないんじゃないかって」
まともに戦える獣人は死ぬか兵士に取られるかしてほぼ残ってなかった状況だ。実際に戦えるようになるとは期待してなくて、加護がつくにせよつかないにせよ、剣の本場ビエルスで基礎を学ばせるのは無駄にはなるまいと考えてのことだ。
「俺も始めたばかりの頃は剣は向いてないと思ったよ」
そもそもが剣にせよ魔法にせよ、高レベルとなると一部の才能のある者だけの世界な気がするな。
「マサル様がですか!?」
まあ驚くのもわかるけど。
「俺もサティも前衛向きの体格じゃないだろ? 現に今日は負けたし、加護は無敵でも万能でもないんだ」
「はい。今日の試合でアンジェラ様が青い顔をしてらっしゃいました」
俺ももっとスマートに戦いたいのだが、力が足りない分は体を張るしかないのが現状だ。
「それでも適切に使いこなせば加護は強力だ」
さてここからが本題だ。
「もし加護が貰えたら、ミリアムはどうしたい?」
「マサル様に全部お任せします」
ミリアムは即座にそう答えた。そういう回答も予想しないではなかったが、さすがに何もかも俺が決めるってわけにもいかないだろう。
「でも何かやりたいこととかあるだろ?」
俺の言葉にミリアムはしばし考え込んだようだ。
「私は……何の価値もない人間なんです」
そして少ししてそんな風に話を始めた。だが言葉と裏腹に表情は明るい。
「戦えもしないし頭も良くない。お金も稼ぐこともできずに、ただ餓えて死ぬんだって思ってました」
ヒラギスが壊滅して半年。居留地では年寄りや幼子は毎日のように死んでいき、死は日常だったという。
「マサル様が来る前、商人を捕まえて聞いてみたことがあるんです。私はいくらくらいで売れそうか。それはもうがっかりするような値段でした」
聞いた値段は確かに破格の安さだった。何の技能も力もない獣人など値段がつかないほど溢れていたのか、それとも足元を見られたのか。
「でも飢え死にするよりいいかと思ったし、そのお金で仲間が助かるならって」
仲間といっても聞いた話では家族はすでにいないはずだ。
しかしその決断すら勇気を出せずに引き伸ばし、時間だけが過ぎる。じりじりと状況は悪くなっていく。
俺が来た頃にはもういっそ何もせずに死んだほうが楽かなって思うようになったという。
その気持ちはわかる。だらだらしてるうちに現状を打破する気力すらすり減ってしまったのだろう。そしてそこに俺がやってきて食料と金の大盤振る舞いをしたと。間に合ってほんと良かった。
「だから私の全てを救ってくれたマサル様に捧げようと思ったんです!」
しかしそれにしては加護が付くのに時間がかかったな。何がダメだったんだろう?
「でもすぐに居なくなっちゃってどうしようかと思ったら、エリー様たちからお話があって、これでやっと恩返しが出来るって思ったんですけど……」
ミリアムの声が尻すぼみに小さくなった。今のところ何の役にも立ってないのが残念なのだろうか?
「あの、こんなことを聞くのはどうかと思うんですが……」
「遠慮はいらない。気になることは今のうちになんでも言っておけ」
「マサル様も死ぬんですよね?」
確かにこんなことを聞くのはどうかという話だな。俺は別に気にしないが、他の人にはちょっと聞けないだろう。
「そりゃ普通に死ぬ。今日も結構危なかったし」
リュックスに最初に食らった一撃。相当ふっとばされたもんな。真剣なら恐らく真っ二つだったろう。
「リリア様が仰ってました。マサル様があのような戦いをせずとも済むよう我々が力をつけ、助けなければならないって」
Aクラスの冒険者でお金持ちで沢山の女の子を側に侍らせ、しかも貴族(予定)で神様の使徒で剣聖ですら配下にしてしまう。ミリアムはそれこそ俺のことを神のごとく思っていたようだ。
だがリュックスとの戦いで青い顔をしているアンを見て、リリアの言葉を聞いて思った。もし万が一にも俺が死んでしまえば、何も出来ないまま終わってしまう。それは大地が崩れ去るような衝撃だったという。
「もし加護がいただけるならマサル様がすべてお決めください。何をさせたいかおっしゃってください! なんでもします!」
ああ、椅子に座らずに跪いたのもそのせいか。祈るような姿勢。忠誠心より信仰心のようなものを俺に対して抱いていたのだろう。だから対等に座るなどとんでもないと。
初日のサティよりある意味めんどくさいな!
加護のことを教えたのはやはり失敗だったのだろうか? それは俺に対する忠誠より信仰心や依存心を強くしたのかもしれない。
だが俺が死にそうになるのを見て、ようやく危機感が募った。そして俺個人を意識するようになった?
「いいだろう。だけどすごく大変だぞ?」
「どこまでもお供します!」
考える時間はたっぷりあったはずだ。迷いはないのだろう。これ以上の問答は不要どころか無粋だな。
たしかミリアムのステータスは器用さが少し高い程度で力と素早さは低め。魔法への適性も獣人だからもちろん皆無。体格からすると戦士も向いてなさそうだが、それは俺もサティもだし、加護でどうにかなるだろう。
「む、胸が気になりますか?」
体格を見ていたのだが、上から見下ろすと胸の膨らみが嫌でも目に入るのだ。まあもちろん気になるか気にならないかでいえばとても気になっていて、ついつい多めに見てたんだが、目線でモロバレだったか。
「私みたいなので良ければいつでも……」
そう言ってミリアムは恥ずかしそうに自ら服を少しだけずり下げた。今日の服は清楚なワンピース。露出はないが、体のラインははっきりと見える。
「んーむ」
しかしここでいきなり手を出すのもどうなんだろう? そこら辺の判断のため、話をするのに呼んだのだ。誘惑されて即ってのもさすがに節操がなさすぎる気がする。
そういえばサティが戻ってこないな。気をきかせたか?
「す、すいません! 私などが奥方やエルフを差し置いてお相手なんて身の程知らずでした」
俺が返答に迷っていると服の乱れを直し、しおしおと弁解を始めた。
「まあ落ち着きなさいよ」
「はい。その、サティ様からしばらく邪魔が入らないようにするって言われたので、そういうことかなって」
「なるほど」
今日はほんとに話すだけのつもりだったんだけど、ここまでされてムラムラしないわけがない。加護がついて手を出すのは確定だったし、その気で来た娘に恥をかかすこともない。邪魔も入らないようだし。
「じゃあ立ってこっちへ。ここに座って」
しょんぼりしてるミリアムを立たせて、ベッドに座らせる。
「そういえば最初に会った時はもっとしっかりした感じだったような?」
物怖じしない、はきはきした感じだった。
「まさか使徒様だとは思わなくて」
「まあでもそこは気にしないで最初みたいに接してくれるとありがたいんだけどな」
「ど、努力します」
まあおいおい慣れてくれればいいか。
「あっ」
俺が隣に座るミリアムの頬に手を伸ばすと可愛らしく身をすくめた。
これからエロいことをするわけだが大事なのはムードだ。ちゃんとムードを盛り上げてからヤレとエリーには何度か注意されていて、だから余裕のある時は色々と女の子が喜びそうなことを言ってみている。
可愛いとか綺麗だとか愛してるとか、いつもはそんな簡単な言葉だけど、今日は初めてだしもうちょっと真面目にやってみよう。
「約束を覚えてる?」
「はい。必ず戻ってくるって」
「そして誠心誠意相手をする。修行が大変で時間がかかったけど、あの時の約束を果たすよ」
「よ、よろしくお願いします」
顔を真赤にしたミリアムをゆっくりとベッドへと押し倒す。ワンピースは脱がすのは簡単そうだが、それは最後。まずはそのままでじっくり楽しませてもらおう。
そういえば加護のことを話してなかったがまあいいか。ここで話していい流れを止めたくない。
「ひゃっ」
つんつんと触るたびにミリアムはいい声で鳴くのですっかり楽しくなってきた。
これだよ、これ。これこそ生きる喜びというものじゃないか?
■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■
そろそろ夕食の時間のようだ。食堂に人が集まり始めている。
「めっちゃ恥ずかしいです……」
ご飯を食べに部屋を出ようと声をかけるとそう言ってミリアムがぐずった。まあ気持ちは分かるが、いつまでも隠れているわけにもいかないし、これだけ長時間篭っていたのだ。声も漏れてただろうし、どうせバレバレである。
それに加護が付いたお披露目も必要だ。まだ本人にも言ってないし、驚く顔を見せてもらおう。
ミリアムを引っ張って部屋を出るとほどよい時間だったようで、配膳を手伝おうとするミリアムを俺の隣の席に座らせる。
ちらちらと興味深げな視線はあるが、特に何か言われるわけでもない。シモネタは主に俺の居ないところで密かにやり取りされるのが通例である。
「みんな揃ったな? 夕食の前に発表があります」
準備が出来て皆が席に付いたのを見計らって言う。席には給仕係を除いて一緒に席に付く。じゃないと俺とリリアとサティだけが座って一〇人が給仕なんてことになってしまうのだ。
「ミリアムに加護が付きました」
「「「おおー」」」
「えっ……ええええええっ!?」
驚いてる驚いてる。
「なんと!うちのエルフは?」
「まだだなあ」
「むうう。念入りに選抜したというのに、なんと不甲斐ない」
「そう簡単に忠誠心なんて上がるもんじゃないみたいだな」
「ミリアムはどうやったのじゃ? やはりアレか? やらないとダメか?」
リリアはぶっちゃけすぎ。ミリアムが恥ずかしそうに俯いてるよ。
「違う違う。加護が付いたのは今日の戦いを見てだな」
さっき考察したことをリリアにも説明する。恐らくこのシステムにおいての忠誠というのは、その忠誠の対象を深く知ることが必要なのだろう。
そう考えるとエルフに加護がつかないのもなんとなくわかる。信仰心に不足はないのだろうが、焦点が俺個人に当ってないのだと考えられる。
「たぶん俺があまり構わなかったのが問題じゃないのかな。交流不足だよ。おっと、料理が冷める。先に食べようか」
食べながら話を続ける。
「心理的に距離があるっていうか、遠慮があるんじゃないだろうか?」
そういう意味で言えばヤッてしまうのは手っ取り早い手段なのだろう。
ミリアムは俺が死にかけたのを見て、リリアが助けねばならんと言うのを聞いて、俺のことを信仰対象から自分が助けるべき相手なのだと心理状態がシフトした。
「なるほどのう。それを踏まえて選定基準を見直して見るか?」
リリアが言う。それはすなわち人員を入れ替えるということだ。
「お待ち下さいリリア様。この私、いつでもマサル様に忠誠を捧げる準備はできております」
俺が何か言うより前に、エルフの中でもリーダー的存在のルチアーナが声を上げた。このエルフさんはここへ来ると、アン不在でとっちらかりそうになっていた我が家をあっという間にまとめ上げたメガネの似合いそうな才女である。
「ほう。じゃが……」
「マサル様は忠誠を捧げるにたるお方。今日自らの目でそのことを確かめることが出来ました」
そういうと食事を中断して俺の側に跪いた。
「私はあまり人好きのする性格ではありませんし、捧げるにたる何かを持っているわけではございません。ですがこんな私のせめてもの忠誠、お受けくださいますでしょうか?」
ルチアーナは少々きつい眼差しで近寄りがたい雰囲気があると最初は思ったが、時々笑うとハッとするほど可愛らしい表情を見せる美人さんだ。エルフにしては魔力が低いのがコンプレックスなのだが、その分料理を始め、家事は完璧にこなすし、数字に強く家計管理まで手広くやってくれる得難い人材だ。
「ルチアーナはとても可愛いし、家の中のことを取り仕切ってくれて助かってる。この先ずっと俺に仕えてくれると言うのならとても嬉しい」
俺が手を伸ばすとその手を取り、騎士が姫にするように俺の手にそっと口付けをした。
あ、メニュー出た。マジかよ。しかもいきなり60もある。
「ルチアーナに加護が付いた」
「ありがとうございます。これで加護が付かなければ自害する覚悟でした」
ルチアーナがホッとした表情で言った。自害とかちょっと怖いよ!
「いやいや、別にそこまでする必要は全然ないからね? 加護が付けばそりゃいいだろうけど、今のままでも助かってるんだし」
「とりあえず二人の育成を考えるとしようかの」
「そろそろ狩りも再開したかったし、エリーが戻ったら相談しよう」
しかしスケジュールを楽にしようと考えたはずが、ヒラギスまでに二人を仕上げようと思ったら結構な強行軍になりそうだ。
「でも私に加護を持つ資格などあるのでしょうか?」
リリアと狩場について相談しているとミリアムがぼそっと呟いた。資格か。俺にもそんな資格があるとは思えない。きっともっと有能で高潔な人物がやれば事態をはるかに上手く運べるんだろう。
だけど神様は俺を選んだ。たぶんたまたまなんだろうな。
「俺だってそんな資格はたぶんないよ。神様も適当に選んだんだろう」
「マサルはよくやっておるではないか。エルフを救い、厳しい剣の修業に耐えておる」
「やれることはやって、後は楽しく生きられればいいんじゃないかって俺は思うよ」
神様は最初から好きにやればいいって言ってたし、今まで文句が出たこともないしな。
「そうじゃぞ。一国を救えるほどの力を振るえるのじゃ。これほど楽しいことはあるまい?」
何が楽しいかは人それぞれ。俺が口を出すことでもない。
「迷いがあるなら今はただ強くなることを考えよ。先のことはその時考えれば良いのじゃ」
「はい、リリア様」
リリアは人生楽しそうだな。王族に生まれて更に加護持ちにグレードアップ。エルフの里の危機はあったが無事乗り切った。
サティはどうなんだろう? 楽しいかどうかなんてあんまり聞いたことがなかったな。
「サティはいま楽しいか?」
「はい。わたしはマサル様と会ってからずっと楽しいです!」
「そうか。ならいい」
それだけでもこっちへ来て苦労はしたかいは十分あったというものだ。
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