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1章 32話 お勉強

 ファルネ様が起きてから、いっぱい日にちがたった。

 あれからね、いっぱいいっぱい遊んだりしたんだ。

 リベルと一緒にファルネ様とご飯をつくったり、リベルと精霊さんたちと、森の中で遊んだり、夜にお星さまを見上げてみんなで流れ星を見たり。

 リベルはファルネ様が来てから美味しいものがいっぱい食べられるようになったって凄く喜んでて、シリルも、『そりゃよかったね』ってちょっと嬉しそうなんだ。

 精霊さん達も大好きなファルネ様が目を覚ましてくれて、嬉しそうにキュキュキュって言ってファルネ様と遊んでる。

 昼間はみんなでいっぱい遊んだら、夜はファルネ様とお勉強。

 絵本を読んで、この子はどう思ってこういう行動をしたのでしょうか?

 と最後に聞かれて、ファルネ様と一緒に考えるお勉強なんだ。


 たぶん私は普通の子と違うから。

 ファルネ様が普通を教えてくれているのだと思う。

 自分でもわかるんだ、私は普通がよくわからない。

 絵本の中の人達の行動が何でこんな事をするんだろう?ってわからない時があるんだ。


 ファルネ様は優しく何が納得できないのか聞いてくれて。

 それについて一緒に話し合うの。


 ファルネ様は絶対私の考えが間違っているって否定しないんだよ。

 そういう考えもありますねって言ってくれて、ファルネ様はどういう考えか教えてくれるんだ。


 答えがでない時もあるけれど。

 必ずしも必要なのは答えじゃない。

 それでも話し合う事が大事だってファルネ様が言っていた。

 いろいろな考えがあることを知る事が必要だって。


 そのうえで、自分がどう考えてどう行動するかを考えるんだ。


 難しかったけれど、何となく言いたい事はわかる。


 いろいろな考えの人がいて。

 人間は全員悪い人じゃない。

 ファルネ様が私に教えたいのはそういう事なんだと思う。


 わかるけれど。



 ファルネ様が襲われた時の事が脳裏によぎる。


 あの時。冒険者さんたちは本当にいい人だと思ってた。

 でも違った。

 凄く酷い人たちだった。

 ファルネ様を騙して後ろから刺してきた。

 最初からファルネ様を殺すつもりで優しい演技をしていただけだったんだよ?

 ファルネ様も、私を守ってくれようとしたパトリシアも殺されちゃった。

 人間が優しいのは最初だけで、すぐに悪い人になって殺そうとしてくる。


 私を虐めていた叔母さんも従姉も叔父さんも最初は優しかったのに、パパとママが死んじゃったら急に冷たくなって虐めるようになった。


 違う意見を言っても。

 いい子じゃなくても。

 ぶたないでずっとずっと変わらず優しいのはファルネ様だけ。


 人間はいい人と悪い人の見分けがつかないから怖い。

 いい人そうにみえてもきっとリーゼを虐めるつもりなんじゃないかと思っちゃう。


 だって、大人のファルネ様だって悪い人には騙されちゃう。


 頭のいいファルネ様でもいい人と悪い人の見わけをつけるのは難しいのに、私にいい人と悪い人の見わけがつけられるとは思えないんだ。


 絵本の中の人間は大好きだけれど、本当の人間は大嫌い。

 優しいのは最初だけですぐ酷い事をしてくる人達ばかりだもの。


 できればずっと、このままの生活が続けばいいのに。

 人間のいない場所でひっそり暮らしていきたい。

 大好きなファルネ様とシリルにリベルに樹の精霊さん達と、毎日楽しく暮らせて行ける今が幸せだから。

 隣のベッドで寝ているファルネ様の顔を見ながら、私は思う。


 ずっとずーーっとファルネ様やみんなと一緒にいられますように。



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