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1章 17話 リベル

『おー人間!人間!!!』


 シリルのお友達である熊のリベルが嬉しそうに私の臭いをかいだ。

 あれから、私とシリルはパトリシアを土に埋めて、お墓を作った。

 ありがとうねって土に埋めたんだ。

そうしたら夜になりそうだからシリルにどこかに私達の寝場所を作ろうと言われて、洞穴に詳しいリベルの所にきたんだ。巣穴に詳しいんだって。


『食べるんじゃないよ』


 とシリルが言えば


『食べない食べない!人間美味しいけど、聖女は食べない!その友達も食べない』


 リベルがぷんぷん怒りながら言う。


『それじゃあしばらくこの子の相手を頼むよ?

 私はこの子達が食べられそうなものを狩ってくるから。

 早急に今日寝られる場所を確保してやりな』


『任せて任せて!ふかふかある!ふかふかある!』


そう言って私を背中に乗せてくれた。


『リベルのお気に入り寝ぐら、案内する!よろしく!リーゼ!』


 よろしくね!

 私が微笑めばリベルもニコニコ笑ってくれた。

 木の精霊さんたちもファルネ様を運びながらついてきてくれる。

 シリルもリベルもきっといい人。

 だってふよふよ光が嬉しそうに周りを飛んでいるから。


 エルディアの森についたときは、ファルネ様がいきなり刺されちゃってよくわからなかったけれど、この森は本当に綺麗。

 いっぱいふわふわ綺麗な光が飛んでいる。

 


 ファルネ様にもこの綺麗な森の景色を見せてあげたいな。

 はやく目をあけてくれないかな。

 光の玉の中で眠るファルネ様は本当に天使様みたいで。

 このまま死んじゃうんじゃないかと不安になる。


『リーゼ!ついたついた!ここふかふか!』


 リベルが案内してくれたのはふわふわの葉っぱが敷き詰めてある素敵な洞だった。

 私が下ろしてもらって寝てみれば草の匂いとフワフワの感触。

 前のファルネ様のお部屋にはちょっと負けちゃうけど。

 石の床で寝ていた頃に比べれば天国みたい。

 

 ここで寝ていい?と聞けばリベルが「ここシリルの匂いついてる、リーゼ、襲われる事ない」

 と言ってくれた。


 ありがとうとお礼を言うと嬉しそうに踊ってくれる。

 リベルはとってもいい人だと思う。


 それにしても――今日は疲れちゃった。


 精霊さんは洞に入れなかったので外で待っててもらってファルネ様を隣に置いてもらう。

 ファルネ様の入っている光の玉にも寒くないように葉っぱを周りに敷き詰めて、私は眠る事にした。

 今日はいろいろな事が沢山ありすぎて。

 悲しかったり、嬉しかったり、不思議な力を使えたり。

 ファルネ様が気を失ってからもいっぱいいろいろあったの。

 だからファルネ様が起きたら、教えてあげるんだ。

 いっぱいいっぱい伝えたい事があるから。

 パトリシアの事も。

 樹の精霊さんたちの事も。

 お話したいことがたくさんある。

 

 だからはやく起きてねファルネ様。

 それまでにシリルにいろいろ教わって。

 私がファルネ様を守れるくらい強くなるから。

 悪者は私が倒すから。


 もうファルネ様が痛い思いをしないように。

 悪い人は動けなくなるまで倒さなきゃ。

 そうしないと痛いことをいっぱいされちゃう。

 そうしないとパトリシアみたいにファルネ様が殺されちゃう。

 私がファルネ様を守るんだ。


 だからまた一緒に本を読んでね。

 またシチューをつくってね。

 ふーふーしてもらって、パンにつけてもらうの。

 お風呂に入ってお歌を歌ってもらいながら身体を洗ってもらうの。

 傷跡にお薬を塗ってもらうの。


 早く会いたい。

 

 だからはやく元気になってね。



 おやすみなさい。ファルネ様。



 □■□


『よく寝られたかい?』


 目を開ければ隣でシリルが待っていてくれた。


 うんうんよく寝たよ!


『よほど疲れてたんだね。三日も眠り込んでたよ』


 本当!?じゃあファルネ様も起きた?


『三ヵ月と三日は違うよ……一ヶ月は40日だからね?』


 40回も寝ないといけないの!?


『40を3回だよ』


 えーっと?えーっと?


『120回』


 ええええええ!?そんなに!?


『ほぼ死んでたんだ。それくらいですむなら早い方だよ。

 魂がまだエルディアの森にとどまっていたから何とかなったんだ。

 よほどあんたの事が心配だったんだろうね。

 あんたを残していけないという無念が現世にいる時間を長くした』


 えーっと?


『あんたが心配だから、死にきれなかったんだよ』


 心配?ファルネ様心配してくれてたの?


『だろうね。じゃなきゃ、とっくにあの世さ』


 嬉しい。嬉しい。どうしよう。

 はやく起きてほしいな。

 

『あんたはそれまでに聖女の力を覚えるんだろ。

 あの神官は命を狙われてたんだ。

 きっとまた追っ手が神官を殺しにくるよ』


 そうだ!そうだ!

 私覚える!ファルネ様は私が守るの!



『いい返事だ。この間は無理矢理力を目覚めさせたけれど。

 今日はちゃんと聖女の力を解放するよ。

 あんたはカルディアナの聖女なんだ。

 私よりずっと強くなる』


 本当?本当?ファルネ様守れる?


『ああ、守れるさ。

 だが力をコントロールできなきゃ逆にあんた自身の手で殺してしまう。

 ちゃんと覚えるんだよ』


 覚える!覚える!

 頑張るよ!


『よし、いい子だ。

 それじゃあその前に食事だね。

 人間のはよくわからないから、神殿から盗んできたよ』


 と、パンと干し肉をだしてくれた。

 ありがとう!シリル優しい!いい人!


 私が言えばシリルがこれくらい当たり前だろとため息をついた。なんでだろ?




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