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「あ、これはうまいね」一口すすって、ベッドに腰掛けている田沼は立っている婦長を見上げて言った。

「私ね、これと言った取り柄はないんでけど、コーヒーだけはこっているんですよ。気にいっていただいてうれしいです」

「お世辞じゃないよ。ホントにうまい。なにか秘訣があるのかな」

「良い水を使いますの。私、丹沢の山に近い厚木に住んでいるので、山からのわき水が手に入るんです。その水で普通にドリップで入れますと、安い豆でも見違えるようなコーヒーが作れるんです。でも、今日は豆も一番高いの使ってみました」

「イスラム教では酒を飲んではいけないんだよ。それでアラブの坊さんは、酒代わりにコーヒー・コーヒーなんだ。僕もしばらくはコーヒーが酒がわりだな」

「コーヒーならいつでもお申し付けください。すぐ用意しますからね。・・・ところで先生は、女子大で日本文学を教えていると言うことですけれど、日本書紀とか古事記なども教えておられるのですか」「5年まえからね、そこの大学教授が古くからの飲み友達でね。やってみないかと声をかけられたんだよ。日本書紀とか古事記は、ちょっと自分には縁遠かったんだがね、講師就任を機会に少し読み込んだよ」

「あら、そうなんですか。私、歴史が好きで閑だと「平家物語」とか、小説の「平将門」などを読む人なんです。・・・今、ひとつ疑問が私にはあるんですの。それで先生に聞いてみようかなと思ったわけなんです。いいかしら?」

「解ることなら答えますよ」

「日本書紀と古事記は似ているでしょ。聞くところによると同じ頃に作られたと言うことらしいのですが、同じようなものが、どうして二種類もあるのか私には解らないんです」

「そうだね。それは気がつかなかったな。それは変だね。不勉強で、その質問には答えられないな、ちょっと調べてみるよ」

 横で聞いていた山辺沙也香の、眼が輝いた。そして言った。

「田沼先生、それいいですね。日本書紀と古事記には数々な謎があるんですね。その成立とか内容とか。どうです今度は「日本書紀の秘密」などというのは、いけるかも」

「ふむ、そうだね、日本書紀すら偽書ではないか、という人がいるからね。やってみようか。以前に書いた「邪馬台国はどこにあったか」でも日本書紀の記事を、しばしば検証したが『不思議な本だな』と、思ったことがあるからね。山辺さん、取りあえず古事記と日本書紀の原書と注釈本と現代語訳、それからパソコンを一台用意してくれるかな。あとは君の手伝いとパソコンで必要な本はおいおい手に入れることにしよう」、




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