ステータスなど飾りですよ。
ここから一人称です
城塞都市クレセアに向かってすぐに俺たちはゴブリンやワイルドウルフなどの魔物に襲われた。しかし隠れたるものを暴く物がきちっと仕事をしてくれ居場所がすぐに暴かれる。俺は流れ作業のように暴かれた魔物に必中の一投を投げて殺す作業を続けていた。
しかし、この方法は効率が悪い。と言うか面倒くさい。一匹倒すのに石を二つも使っている、一々補充する度に真名命名をかける手間を省きたい。
「ちょっと、改変して見るか」
「真名命名 敵を暴き追撃する」
日頃真名命名の練習をしているおかげか、なんなく真名命名を考え出すことができた。俺の考えでは発見と追撃を一度にしてくれるはずだ。
「ガリウス様は、凄い魔法使いの方なのですね」
助けた少女が興味津々と言わんばかりに俺の真名命名を背後から覗きこむように見ている。
ちょ、当たってますよ……。
「魔法を石に込めて置くと、いざというときに魔力枯渇で苦しむことが無くなるからね」
嘘である、魔力など1ミリも使っていない、真名命名は名前を付けるだけで良く、コストパフォーマンスは最高なのだ。
マイラは人懐っこくボディタッチが激しい。胸もかなり大きくさっきからバインバインと当たる。
胸の大きさが武器だと勘違いしてる娘なのかな? だが残念だったね、俺は胸の大きさには少ししか興味がないのだよ。少ししかね。
俺とマイラが楽しく談笑してると、先ほどの真名を付けた敵を暴き追撃するが発動した。
発動した石は分裂して10体のゴブリンの頭を撃ち抜いた。思ったよりも効果がすごくてビックリしたが結果オーライだ。
「凄いです! さすがガリウス様です!!」
そう言ってマイラは抱きついて喜びを体で表現する。さすがにベタベタしすぎなので軽く注意をして離れさせた。
結婚前の娘が未婚の男に抱きつくのは童貞殺しなのでやめるように。それはさておき、取り合えず雑魚に使える技をゲットしたのはラッキーだったな。
「そういえば、ガリウス様はレベルはおいくつなのですかな?」
ボディランゲージが激しい娘をウィルソンは指で反対の椅子に座れと合図をしながら俺のレベルを聞いてくる。
マイラはそんなウィルソンの親心を知ってか知らずかガン無視して俺のとなりに座ったままである。そんな娘を見てウィルソンはため息をつきネバダはクスクスと笑って微笑ましくマイラを見る。
俺はマイラの気持ちに気づかない振りをして、ウィルソンに「レベルは調べたことがないんですよ」と答えた。
普通レベルを知るためには教会に行き、高いお布施を払って鑑定するか鑑定持ちの人に見てもらうしかない。聖職者が持つ鑑定は通常の神の祝福とは異なり神の御業なのだとか。
しかし、普通は村には教会は無く、あっても小さく鑑定ができるレベルの聖職者はいない。だから大抵は自分のレベルを知らないのが普通である。
鑑定か……。もしかしたら真名命名で簡易鑑定とかできないかな?
「真名命名 汝は全てを見通す神眼」
真名命名したその石を俺の胸元の持ってくると、石が光り灰になると同時に俺のステータスが眼前に映し出された。
名前:ガリウス
LV624
HP7500
MP10000
投擲:S級
剣術:S級
槍術:S級
体術:S級
耐性:S級
etc
……問題なく調べられた。と言うかなんだこの数値、普通こんなにステータスって高いものなの?
「ええと、魔法で調べることができたのですが、LV624ですね」
「え? 24ですか?」
ウィルソンは一瞬驚いたような顔をしたが聞き間違えたような振りで聞き直す。
「624ですね、どの位の強さになるんでしょうかね?」
「ガリウス様も冗談がお上手ですね、さすがに600越えはあり得ませんよ」
「ハハハ、バレましたか冗談です一応128位かな?」
やはり600越えは異常なのか。なら適当にごまかしておく方が得策だろう。
「それでも100越えですか!? 確かにガリウス様の強さなら、そのくらい強くてもおかしくありませんね」
「100越えは少ないのですか?」
「それなりにいますが大抵は王公貴族や軍に取り立てられますので、護衛を生業とするような冒険者で100越えは滅多にいませんね。ガリウス様の若さならエリート街道まっしぐらですな」
王公貴族につかえるような連中はそれなりに高レベルな訳か。ならウィルソンが知らないだけでレベル600台がいてもおかしくないかもな。まあ王公貴族に使える気はないので、俺は話を合わせるように愛想笑いで場を誤魔化した。
「ハハハ、自分は皆さんを送ったら村に戻るつもりですので村人街道まっしぐらですけどね」
「ワハハハまたまたご冗談を、しかしガリウス様はその若さでなぜそこまでお強いのですかな?」
「そうですね、多分月一回ドラゴンと戦ってるからですかね?」
「は? ど、ドラゴンですか? あのあたりにドラゴンなどいましたかな?」
「はい、メルティナと言う名のドラゴンがいますね」
「ふぁっ! メルティナですか!?」
ウィルソンのあまりの驚きように馬車を引く馬も挙動不審になり馬車が大きく揺れる。
「ちょ、ウィルソンさん?」
「あわわ、すみませんガリウス様が驚かせるもんだから。さすがにあなたでもそれはありえませんよ。ハハ……」
俺の話を聞いたウィルソンは顔をこわばらせながら引き笑いをする。
「なぜです?」
「メルティナと言うのは精霊龍でこの世界にマナを満たしている存在、言うなれば神様ですよ。しかも精霊龍と戦ったものは誰一人として帰ってこないと言われ、精霊龍が住む山は”帰らずの山”と言われているのほどです」
たしかにメルティナはアホほど強いけど、誰独り帰さないほど狂暴じゃないと思うんだけどな。噂に尾ひれがついて話がおかしくなってるんだろうか?
その時、すべての敵を暴き追撃するが作動し一点を貫いた。しかしその攻撃は敵を倒すことなくすべて撃ち落とされた。
敵を暴き追撃するが攻撃した場所には体長が3mは越えるサイズの魔物が仁王立ちしていた。そいつはゴブリンの進化種であるオーガの最終形態、B・オーガだった。
B・オーガの強さは土竜(最弱ドラゴン種)に匹敵しうる力を持つ。
「はわわわ」
馬やウィルソン達親子は奴の持つ威圧感で恐怖のあまり動けなくなっている。
「やるしかないか」
俺はそう言うと馬車を降り、間髪いれずにポケットから石を取り出しB・オーガにむかって投げた 。
石は頭部を狙い打つが、すべて叩き落とされた。
まあ、まっすぐ飛んでるから少し知能と力があれば叩き落とせるか。
「ギャオォォォオ!!」
俺の攻撃にB・オーガは怒りの咆哮をこん棒を振り回す。
俺はその一撃を避け、地面に落ちているひのきの棒を拾うと真名命名を使い真名をつけた。
「分裂鞭ノ剣」
ひのきの棒から九つのエネルギーの鞭が伸びそれを敵に向けて放ったB・オーガは数本の斬撃を避けたが九つからなる鞭の斬撃をすべて避けることは叶わず四肢を吹き飛ばして弾かれるように仰向けに倒れた。
「なかなか動きが早いが精霊龍に比べたら止まっているようなものだぞ。」
四肢を失い倒れたB・オーガの頭に足を乗せ押さえつけ「もう少し強くなってから出直してくるんだな」と言い捨て、腰の長剣を抜きB・オーガの首をはねた。