表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
335/368

∋ ∫二 千 ∂

∋ ∫二 千 ∂


 йё ぇ `c” 〓 ?





















































 うひょぉぉぉぉぉぉ! ロザリィちゃんがうちに来たぁぁぁぁ! 超プリティでマーベラスに可愛いロザリィちゃんが俺の部屋にさっきまでいたぁぁぁl! もうめっちゃいい匂いした! まだ微妙に残っている! 相変わらずマジプリティだった! 私服姿も超最高!


 仕事がんばっててよかった! この宿屋でこんなに幸せな気分になるなんて思わなかった! これでまたがんばれる! ロザリィちゃん本当に大好きだぁぁぁぁぁ!


 さて、ちょっと落ち着こう。このままじゃまるで意味がわからないから、朝から順を追って書いていくことにする。


 目覚めたのはいつも通り俺の部屋。ただし、なんでか扉がガチガチに固められている。ナターシャの魔導封印とマデラさんの大結界も張ってあって、物理的にも魔法的にも脱出は困難を極めていた。


 この時の俺は正気を失っていたらしい。正確にいえば、二、三日前から狂いだしていて、とうとう昨日完全に発狂したらしく、この部屋に閉じ込められていたってわけだ。


 今ちょっと日記を読み直してみたけど、なるほど確かに、少しずついろいろと狂っている。よくよく見れば仕事を始めたあたりからその傾向はあったけど、はっきりわかるのはこの数日の間だ。


 で、俺を閉じ込めたマデラさんたちは解決策を探していたらしい。病気か呪か、いずれにせよ原因はあるはずだけど、少なくともこの宿屋にいる限り何者かに害される可能性は限りなく低いから、ちょっとあり得ない事態ではあったんだよね。


 もちろん、原因が何かわからない以上、リアたちやちゃっぴぃを近づけるわけにもいかない。万が一のことを考えてマデラさん&冒険者だけで事に当たったんだけど、まったく手掛かりは見つからない。


 それどころか、マデラさんが魔法を使った結果、【物理的にも魔法的にも問題なし】という事実が判明したそうな。


 さすがのマデラさんと言えど、これには参る。正常なのに異常とはこれ如何に。ナターシャは『ちょっと叩けば直るんじゃない?』とか言い出し、ミニリカは『きっと今の生活に不満があったんじゃあ……!』って泣き出す一歩手前にまで行ったそうな。


 ところが、ここで事態が動く。なんとも奇跡的なことに、このタイミングでロザリィちゃんがやってきた。実家での団欒を十分楽しんだ故、まだ半分も休みが残っているのに俺の元へと遊びに来てくれたらしい。そんなところが本当に愛おしい。


 で、事態を聞いたロザリィちゃんは『私がなんとかします!』と宣言する。マデラさんもその瞳に何かを感じ取り、厳重に注意を払った上で扉の封印を解いた。


 俺の記憶があるのはここから。意識にかすみがかかってたんだけど、気づいたらあったかくてやわらかくていい匂いのするものに包まれていた。


 まぎれもなくロザリィちゃん。本当に信じられなかったけど、『久しぶりだね?』ってぎゅって抱きしめられて、一瞬で意識が覚醒した。


 もうね、本当に幸せだったね。なんであんなに幸せだったのか、自分でもよくわからない。ただただ愛おしくて、無言で抱き返したのだけは覚えている。


 もちろん、久しぶりだからなんかすっごく気分が盛り上がる。ただでさえ自分の部屋にロザリィちゃんがいるってのに、これで盛り上がらないはずがない。とろんとした瞳で見つめてくるロザリィちゃんを目の前に、さぁ、熱いベーゼを交わそう……と思ったところで気づいた。


 なんかみんなにすっげぇガン見されていた。


 みんなポカンと口を開けていて、リアとちゃっぴぃは手で顔を押さえて真っ赤になりながらもチラチラとこちらを見ていた。ミニリカもきょどきょどしていたし、テッドやおっさんはイライラしているような、泣きながら怒っているような、そんな感じの表情をしていた。


 さすがに衆人環視の中でイチャイチャするほど図太くはないので、『……察してもらえると助かるんだけど』って言ったら、『……正気?』って聞き返された。それはこっちのセリフだと思わず言い返しそうになる。


 で、そこで改めて状況の整理をする。そこで初めて俺が正気を失っていたことを知った。


 『アンタなんで狂ってたの?』ってナターシャに聞かれたけど、こっちが知りたいくらい。


 『仕事はきちんとしていたぜ?』とはアレクシス。『眼が死んでおったがの』とはルフ老。『えっちな視線はなかったかしら?』とはアレット。『尋常じゃなかった』とはチットゥ。


 どうにも原因はわからなかったんだけど、ここでマデラさんが『まさか……』と非常に疲れ切った顔をして呟く。そして、衝撃の事実を教えてくれた。


 『あんた、まさか──禁断症状を起こしていたのかい?』と。


 納得した。一か月もロザリィちゃんともステラ先生とも会えなかったのだ。もうロザリィちゃんとステラ先生なしでは生きていけないというのに、しかもロザリィちゃんとは超ラブラブなのに、禁断症状を起こすなってほうが無理な話だろう。


 実際、ロザリィちゃんに会った瞬間に俺の意識は元に戻った。それが何よりの証拠だ。


 たぶん、急に仕事を入れたせいで精神的にも肉体的にも癒しを求めていたのだろう。宿じゃ気苦労しかしないし、綺麗なおねーさんだっていない。ガキとババアロリとグランマとろくでなしだけじゃ、日々の癒しってものがない。


 以前の俺ならともかく、あのアツアツなラブラブ生活を知っている今の俺は、その状況に耐えられなかったのだ。自分でも気づかないうちにどんどんそれは俺を蝕み、その結果俺は狂ってしまったのだろう。


 あくまで俺の心の問題だから、解析魔法では異常なしって出たわけだ。


 なお、マデラさんは『あたしの想像以上に想像以下のバカだっただけなんだね……。今までずっと面倒見てきたけど、ここまでバカだったとは思わなかったよ……』ってすごく疲れた顔をして呟いていた。いったいどういう意味だろうか?


 とりあえず、問題事は解決したのでその場は解散することに。なんともうれしいことに、『今日明日は休んでよろしい』ってマデラさんが言ってくれたため、久しぶりにロザリィちゃんとおしゃべりすることにした。


 もうね、生ロザリィちゃんは本当にかわいいよね。『ここが──くんのお部屋かぁ……!』ってきょろきょろして、夢魔のぬいぐるみをみて『可愛いっ!』って抱きしめて、そんで『えーいっ!』って俺のベッドにダイブするの。


 しかも、『──くんの匂いがするぅ……!』って枕とか毛布かずっとすーはーすーはーしてるの。もう、マジで信じられなかったよ。


 だって、俺のベッドにロザリィちゃんが寝っ転がっているんだぜ? まったく、本当に最高な世の中だ。


 で、ロザリィちゃんが十分にすーはーすーはーくんかくんかしたところでゆっくりとおしゃべりをする。ロザリィちゃんはお家に帰った後、お義父さんとお義母さんと共にしばしの家族団欒を楽しみ、堪えられなくなったところで愛魔法を使って俺の元へと来たらしい。


 『もともと、招待状はもらってたんだけどね? もったいないから魔法で来ちゃった!』って笑うロザリィちゃんがマジプリティ。可愛すぎて百億万回惚れ直した。


 さて、ちょっと気になったこの招待状だけど、驚くべきことにマデラさんがロザリィちゃんに送ったものらしい。正確にいえば日記に名前の出てくる俺の友達あてに送ったものらしく、軽く魔力を込めて破くとこの宿に転移することができる優れものだそうだ。


 しかも、招待状を持つもの同士で連絡が取れ、ついでに誰が使用したかもわかるという無駄に高性能な物だったりする。『先に行ってしばらく独り占めしとけってみんなに勧められたの!』ってロザリィちゃんは超笑顔で話してくれた。


 見せてくれた招待状の裏、『あたしたちががイライラしないように、先に行って心行くまでイチャイチャしておくの』、『向こうの人に迷惑だけはかけないようにな』、『出来ればその煩悩をヴィヴィディナに残しておいてほしい』って浮き上がっていた。誰が書いたのか一発で分かった。


 さて、一仕切り話を終えるころには夕飯の時間に。手を繋ぎながら食堂に降りたら、さらに衝撃の事実が発覚した。


 『あら、ラブラブなのは本当だったのね!』と満面の笑みのリティアさん。『おねーちゃん!』と駆け寄るロザリィちゃん。


 リティアさん、ロザリィちゃんのお姉さんだった。そういえば、歌手を目指しているお姉ちゃんがいるって聞いたことがある。


 なんとなく懐かしく感じたのも、安心するように感じたのも、可愛いと思ったのも、ロザリィちゃんの面影があったからってわけだ。これならしょうがないよね、うん。


 どうやら、ロザリィちゃんと義姉さんは手紙で頻繁にやり取りをしていたらしく、この時期にうちで落ち合うことを約束していたらしい。


 ただ、義姉さんは俺をちょっとからかいたかったため、ロザリィちゃんに内緒で早めに来て、俺と接触することにしたそうな。


 しかし、肝心の俺はその時はすでに狂いかけていたため、からかうことは出来ず今に至ったらしい。


 『本当はアプローチして人間性を確かめて、ついでにロザリィをからかうつもりだったんだけどね……まぁ、その姿を見ると……ねぇ?』ってなんか苦笑いしていた。


 ロザリィちゃん、俺が送った指輪を付けているし、デートで買ったアクセサリーも付けていたし、ついでに二人ともお揃いの恋人の証のイヤリングを付けていたからね。誰がどう見てもベストカップルだよね、うん。


 夕飯はロザリィちゃん&ちゃっぴぃ&義姉さんと一緒に取る。久しぶりにロザリィちゃんに会えたからか、ちゃっぴぃは『きゅーっ♪』ってめっちゃ甘えていた。『あらあら、もう娘がいたのね!』って義姉さんもにこにこ。『私と──くんの自慢の娘だよ!』ってロザリィちゃんもにこにこ。なんかすごく照れる。


 マデラさんも途中でやってきて、『──が世話になったね。……本当にこいつで後悔しないのかい?』ってロザリィちゃんに聞いてきた。ロザリィちゃん、『むしろこちらこそよろしくお願いします!』って頭を下げた。


 マデラさん、マジでびっくりしていた。『まさかこんなにまともな良い娘だなんて……!』ってすんげえ驚いていた。いくらなんでもちょっと失礼じゃない?


 あと、ロザリィちゃんと義姉さんとちゃっぴぃは風呂で楽しい時間を過ごしていたらしい。しょうがないとはいえ、俺だけテッドやおっさんやアレクシスやルフ老にからかわれまくりながらの風呂だった。


 あいつらすんげえニヤニヤして『いつお前の昔話してやろうかなぁ?』って嬉しそうだった。人の恋人&その義姉さんに恥ずかしい過去をバラそうとするとか、あいつらマジで性格ひねくれすぎていない? ガチクズすぎてドン引きしたよ。


 が、『本当にそれで後悔はないな?』ってテッドとおっさんを睨んだら、慌てて『やっぱ人間誠実に生きるべきだよな』、『昔より今が、これからが大事だよな』って開き直った。ルフ老やアレクシスにも『真面目に生きろよ!』って言ってくれた。なんとも現金なやつらだと思う。


 ああ、そうそう。風呂上がり後はロザリィちゃんと夜のおしゃべりを楽しんだ。俺の部屋で完全に二人きり。ちゃっぴぃは気を効かせたのかいなかった。


 『本当に、本当に寂しかったんだからぁ……っ!』ってロザリィちゃんが抱き付いてきたので、思いっきり抱き返した。で、『また明日も会えるよ。ずっとそばにいる』ってキスをする。


 恥ずかしくなるくらいに情熱的なキスだった。それだけ書いておく。ちょっとそれ以上は恥ずかしすぎて書けない。思い出しても顔が熱くなってくるレベル。


 愛の言葉も囁きまくったし、もし普通の宿屋みたいに音が筒抜けだったら、明日俺は部屋を出ることができなかっただろう。自分で言ってて恥ずかしいこともテンションアゲアゲで囁きまくったから。


 ……誤解のないようにかいておくけど、健全な事しかしてないからね? そういうのは結婚してからってのが俺のポリシーだ。アレットやアレクシスみたいには絶対になりたくないし。


 その後はロザリィちゃんを義姉さんの部屋まで送っていく。今日は久しぶりに姉妹二人きりで話したい気分らしい。きっとコイバナとか学校とかの話だろう。


 最後に、『おやすみ……ね♪』ってロザリィちゃんが熱烈なキスをしてきたのでそれにこたえる。最高に幸せな味と、ほんのわずかにハートフルピーチの香りがした。めっちゃやわらかくてぷるぷるだった。


 トイレに起きていたリアに見つかってしまったのは若干のミス。あいつめっちゃ真っ赤になっていた。お子様には刺激が強すぎたか。


 だいたいこんなものだろう。なんか今日はすごく筆が進んだ。幸せな気分のまま寝ることにする。枕に昼間のロザリィちゃんの匂いが残っているみたいだし、きっと快眠できるに違いない。


 ちゃっぴぃはいないけど、きっとリアのところだろう。すべてのみんなに、いい夢を! 

20160302 誤字修正

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ