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ラピスの心臓  作者: 羽二重銀太郎
無名編
3/178

第二話 氷姫

 凍てつく風が吹き荒び、雨粒が雪にかわるこの季節は、アミュ・アデュレリアにとってお気に入りの時期だった。


 小さな体で背伸びをして、執務室の窓を開ける。

 冷えきった早朝の空気が部屋を満たしていき、急激に室温を下げていった。

 薄紫色の長い髪が風に揺れた。


 「あのう、ちょっと寒いんですけどぉ……」


 同室で待機していた部下が、自分の体を抱えるようにして寒さを訴えた。


 「我慢せよ」


 アミュは部下の訴えを、無情に斬って捨てた。


 「氷長石様におかれましては、ご機嫌がいまひとつのご様子で」

 「突然仕事を押しつけられてはの。……今日は久方ぶりの余暇を満喫できるものと思っておったのじゃがな」

 

 貴重な休暇を無慈悲に奪った部下へ、アミュは軽く睨みをきかせた視線を送った。

 本当なら今頃、自分の領地で好物のパイを食べている頃だ。


 「申し訳ありません。ですが、王括府より直々の通達でありましたので」

 「宝玉院の卒業試験のことであろう」


 宝玉院とは貴族の子弟が通う軍学校のことである。

 毎年、この時期になると卒業試験が行われ、今年はその担当責任者として自分が指名された。


 「はい。例年よりも今年は従士志願者の集まりが悪いようで、予定日をすでに一月近く延長しております」

 「採用試験は命を危険に晒すものじゃからの。集まりが悪いのも致し方なかろう」

 「ええ、そういった噂も広まり、年々志願者の数は減ってきているようですねぇ」


 宝玉院の卒業試験は、伝統的に従士志願の平民も連れ添って行われる。

 未来の士官としての適性を判断するためのものだが、試験は命に関わるほど危険なので、これに参加する平民には高額の報酬を用意していた。

 しかし、だからといって簡単に命を危険に晒す者は少ない。とくにムラクモ王国は平民といえど、生活に困窮することはないほど豊かなのでなおさらだった。

 なので、かなり前からこの従士志願者の条件には、国籍や出自、前科などといった要素はすべて排除して募集している。

 そうしてどうにか、毎年必要な数を確保しているのである。


 「今の段階であと何人足りぬ?」

 「こちらでも正確なところは把握できておりません。なので、これから現地へ確認をしに行こうと思っておりました。氷長石様もよろしければご一緒にいかがでしょうか」

 「うむ、お前を往復させても時間の無駄じゃからな。……じゃが、輝称はよせ。軍務中である」

 「失礼致しました、重将閣下」


 恭しく頭を下げる部下を尻目に、アミュは執務室の扉に手をかけた。


 「行くぞ、カザヒナ」


 面倒ごとは早く終わらせたい。

 アミュは急ぎ足で目的地へと向かった。




 人間が左手甲に持って生まれる輝石には、複数の種類がある。


 〈軟石級〉と区分される、なんら特別な力を持たない灰濁した輝石、これを濁石という。

 〈硬石級〉と区分される彩石は、それを有する者の意志で自然を操り、干渉する特別な力を発揮する。


 最後に、〈極石級〉と区分される燦光石がある。


 この燦光石は、彩石の中でも突出した力を発揮できる輝石に与えられた名だ。

 燦光石を持つ者が晶気を使えば、その力は天災規模で発揮される。


 人口の多い大国であっても、燦光石を有する者は極わずかしかいない。


 自然と、人間社会の中で希有な燦光石は、特別な名前で呼ばれるようになっていった。

 ムラクモ王国のアデュレリア一族が代々受け継いでいる《氷長石》もまた、そんな燦光石の一つである。


 燦光石の持つ特性は、ただ扱う力が強大だというだけではなく、肉体の老化がゆるやかになり、寿命が伸びるという特長がある。

 老化の速度や寿命の延び具合は、石の保有者の素質により変化するため、程度には個人差が生じる。

 

 アミュは十二歳の頃に、曾祖父より《氷長石》を継承した。

 以来長い年月、体躯はその頃からまったく成長していない。

 声も体も幼い子供のままのアミュは、それでもアデュレリア公爵家の当主であり、ムラクモ王国軍の片翼、左硬軍《氷狼輝士団》の頂点に君臨していた。

 



 「ここか」

 「第十一兵舎。ここで間違いないようですね」


 部下のカザヒナに案内されたのは、主に従士達の訓練施設や待機所などが併設されている兵舎の一つだった。


 アミュの訪問に気づいた、建物を警備していた従士達の慌てぶりは凄まじく、大慌てで一人がこの兵舎の責任者らしき男を連れてきた。


 責任者らしき男を中心に、総勢二十人ほどの男達が一斉に地面に平伏した。


 「重将閣下のご来訪であるにもかかわらず、お迎えにあがることも出来ず、まことに申し訳ございません」

 

 中年の責任者らしき男が、慇懃に謝罪した。


 「よい。急な用件じゃ。全員おもてをあげよ」


 許しを出したにもかかわらず、この場で平伏した者達は誰一人として顔をあげはしなかった。

 それどころか、さらに顔を地面にこすりつけるように深く頭を落とす。


 これが、燦光石を持つ者と、それ以外の者との大きくて埋めることのできない隔たりだった。


 この場でアミュが、出迎えがないとはなにごとか、と一言いってしまえば、ここにいる者全員が打ち首になってもおかしくない。

 平伏している者達はそのことを知っていて、怯えて手が震えている者までいた。

 

 ――いまいましいことじゃ。


 必要以上に恐れられるというのも疲れるものだ、とアミュは思った。

 

 「宝玉院卒業試験に付随する従士志願者特例採用試験の状況を確認しにきた。受付はどこでおこなっておる」

 「はッ。この先の中庭に通じる渡り廊下のすぐ近くにて、特設の受付所を設けております」

 「担当官に話を聞く。しばし施設内を歩かせてもらうぞ」

 「お、お待ちください閣下ッ! すぐに案内の者を―――」

 「いらぬ。お前達は仕事に戻るがよい」


 この時になってやっと顔をあげた中年の男が、まだ食い下がりそうな気配を見せたので、命令だと一言追加しその場を後にした。


 「皆さん、大層な恐がりようですねぇ」


 受付所へ向かう途中、カザヒナがほがらかに笑った。

 アミュにとっては笑い事ではない。

 

 「……蛇紋石の禿頭のせいじゃ。あれが昔、目の前で茶をこぼした従士を処刑して以来、氷長石の名まで一緒くたに恐れられる。同じ燦光石を持つ身とはいえ、人格まで同じはずがあるまいに」

 「彼らにしてみれば、蛇紋石も氷長石も同じに見えるのでしょう」

 「サーペンティアと同一視されるなど、まったく不愉快極まりない」

 「全面的に同意致します」


 お喋りをしている間に、目的の場所が見えてきた。

 どう見ても適当に用意された仮設のテントがある。

 そこへ歩み寄ろうとしたとき、様子がおかしい事に気がついた。


 遠目に三人の軍人達が、一人の平民らしき青年を取り囲んでいるのが見える。


 「揉め事でしょうか」

 「そのようじゃの」


 軍人の男達は、青い軍服を身に纏った輝士階級の者達だ。

 一方の騎士達に囲まれている平民の男は、濁石持ちのごくありふれた平民のようだった。

 だが、見た目は随分と個性的で、ムラクモではめずらしい灰色の髪と、顔の右半分を覆うマスクのようなものを装着している。

 

 軍人の一人が、怒鳴り散らしながら剣を抜いた。 

 

 「あらまあ……止めますか?」


 カザヒナが一歩踏み出し、アミュを見た。


 「あの男、三人の輝士を目の前にして、焦っている様子がまるでない」


 灰色の髪の男は、あくまで平静に見える。

 構えることもせず、見る者によっては怯えていると捉えてしまうほど静かだ。

 が、それなりに長い時間を生き、多くの強者を見てきたアミュにはわかる。

 青年のとった足の位置、相手との間合いは、すでに臨戦態勢を整えた状態にある事を。


 青年の落ち着きはらった態度、冷静に状況を見据える視線は、熟達した剣士の風格すら漂わせている。

 

 始まってみれば一瞬の出来事。


 輝士達がそれぞれ繰り出した剣を、平民の青年は最小限の動作だけで軽々躱してしまった。

 

 「あら、まあ…………」


 カザヒナが感嘆の声をあげた。


 攻撃動作がすべて徒労に終わった輝士達が、それぞれに輝石の力を行使しはじめる。


 「馬鹿者どもが、平民を相手に晶気を使うつもりのようじゃ」

 「今度こそ止めましょう」

 「もう間に合わぬ」


 輝士達が使ったのは、単発で晶気を発するまでに要する時間の少ない、威力の弱いものだ。だが弱いといっても、それはアミュから見たもので、普通の人間の身体に風穴を開けるくらいはたやすくやってのける威力は十分にある。

 素早く練り上げられた晶気は、止める間もなく早々に放たれた。


 この後に起こるはずの光景を想像して、カザヒナは咄嗟に目を閉じて顔をそらした。

 アミュも、体に穴が開き血を流してうずくまる青年の姿が咄嗟に湧く。

 だが、次の瞬間に目に飛び込んだのは信じられない光景だった。

 青年は放たれた三種類の晶気を、一つ一つ的確に躱してみせたのだ。


 ――ありえぬ。


 「え? あれ、どうして……」


 視線を戻したカザヒナは戸惑っていた。

 アミュも心の中で同調する。

 

 輝士の扱う晶気は、ケチな剣での一撃などとは次元が違う。

 多少腕に覚えがあって身軽だからといって、晶気を、それも三発も同時にすべて躱してしまうなど神業の領域だ。

 しかも、その神業をやってのけたのは平民ときている。


 輝士の一人が相手を罵倒するような事を叫びながら、両手をあげて晶気を集中しはじめた。

 輝士の両手に研ぎ澄まされた空気が、悲鳴をあげつつ風の刃となって集まっていく。


 「あれは、まずい」


 まずいのは標的にされている青年ではなく、輝士のほうだ。

 自分で扱いきれる以上の量の晶気を練ってしまっている。

 力が暴走すれば、自分を傷つけるだけではなく、まわりの者まで巻き込んで木っ端微塵になってしまうかもしれない。


 アミュはカザヒナを置き去りにして、力強く地面を蹴り出した。

 揉め事の渦中へ走りつつ、輝石の力を行使する。


 アデュレリア一族が持って生まれる輝石は、氷結を主とするムラクモではめずらしいものだ。

 その力は空気中に漂う水分から氷塊を創造したり、触れたものを凍らせたり、といったものだが、アミュの持つ氷長石は、行使する力の内容も威力も桁が違う。


 アミュは咄嗟に周囲の気温を極寒の領域にまで下げた。

 空気が青くなったと錯覚するほど、一瞬で大気が凍てつく。

 次に精一杯加減して、地面を氷で覆った。

 音もなく静かに、氷は瞬きをする間に視界に入る大地すべてを薄氷で白く染めた。


 「そこまでじゃ」


 三人の輝士と、平民の青年の視線がこちらに集まる。

 不意打ちが功を奏し、輝士の一人が集めていた暴力的な晶気は、放たれることなく霧散していた。


 「ひ、ひひ、氷長石様!?」


 輝士の一人が素っ頓狂にそう叫んだ。


 いつのまにか後ろから追いついていたカザヒナが、稲妻のように鋭い怒声をあげた。


 「無礼者! 一輝士が、許しもなく閣下を輝称でお呼びするとは何事か!!」


 よく言う、と思ったが黙っておく。

 カザヒナは二人きりの時はそれなりに砕けた話し方をするのだが、他の軍人が同席する場合には忠実で厳格な部下という姿勢を崩さない。

 こうした融通の利く性格を好んで、アミュはカザヒナを自分の副官に指名していた。


 「し、失礼致しました」


 三人の輝士は慌てて平伏の姿勢をとった。

 地面にはアミュが極力手加減をして張り巡らせた薄氷があるので、彼らはその上に手足をくっつける形になる。

 一方、平民の青年のほうはその場に突っ立ったままで、戸惑った表情でアミュとカザヒナを交互に見ていた。

 

 「なにゆえ平民を相手に晶気を使った」

 

 アミュは冷厳な態度で問う。


 わずかな沈黙の後、風の晶気を使った輝士が、顔をあげないまま言葉を選ぶように喋りはじめた。


 「この男が、我々の指示に従わず、抵抗をしたため、しかたなく……」

 「そして武装もしていない平民を相手に、三人がかりで晶気を使った、か」


 輝士達の体がわずかに動いた。


 やましいことがある、と背中に書いてあるのではないかと問いただしたくなるほど、彼らは怯えてみえた。

 案の定、視線を仮設テントへ移すと、中にあきらかに輝士達の所有物ではないであろう武器や袋、衣類などが積まれて置いてあった。

 仮設テントまで歩み寄り、受付のテーブルの上に置かれていた外套を手に取る。


 「あ」


 平民の青年が声を漏らした。


 「そなたの物か?」


 青年はこくりと頷いた。


 「騒ぎの原因はこれじゃな」


 大方、従士志願としてきた者の金品を奪おうとし、それにこの青年が抵抗した、というところだろう。

 アミュがそう指摘すると、輝士達は一斉に顔をあげて口々に言い訳をはじめた。

 

 「これは違うんです、一時的に預かっていただけで」

 「そう、あとですぐ返そうと思っておりました!」


 輝士として、あまりに無様なその姿に、アミュは軽蔑と怒りの感情を同時に感じる。

 アミュのまわりにコントロールを失いかけた冷気が漂いはじめていた。


 「黙るがよい。こうして志願者達から私物を集めていたようじゃな。持ち物を奪った者の名をすべて明かせ。すべて持ち主のもとへ返す事ができれば、命に関わるような罰だけは許す」

 「そ、そんな……」


 カザヒナが、なおも自己弁護に勤しもうとする彼らを見下ろし、冷酷な声で告げた。


 「ムラクモ王国軍の規則では、非戦時の無抵抗の平民への晶気の使用は堅く禁じている。これを破れば死罪。貴様達の卑しい命を救おうという閣下のご慈悲を無下にしたいというのなら、好きなだけ汚い口を動かすがいい。そのときは即刻その首を落としてくれる」


 カザヒナはおもむろに剣を抜き、刃を輝士の一人の首に当てた。


 「お、おゆるしを、なにとぞなにとぞ……」

 「では、閣下のご命令を即時実行せよ」

 

 カザヒナが輝士の一人の頭を思い切り蹴り飛ばすと、全員が大慌てで奪った荷を持てるだけ抱えて飛び出していった。


 カザヒナがアミュのほうに振り返った時には、さきほどまでの威厳ある軍人としての姿はすっかり形を潜め、飄々としたいつものカザヒナに戻っていた。

 この変わり身の早さだけは、尊敬に値する。


 「これでよろしいでしょうか、閣下」

 「うむ。今後はこの施設の責任者に事情を説明し、あの者達の行動を監督させよ」

 「かしこまりました。彼らに科す刑罰はどのように?」

 「まかせる。二度とこのような愚かな事を思いつかぬよう、厳しい処罰を用意するように」

 「そのようにいたします」

 「――さて」


 指示を終えて、アミュはあらためて平民の青年のほうを向いた。

 遠目ではあまり意識しなかったが、近くで見ると青年はスラリと背が高い。

 見た目には完全な子供であるアミュは、彼を見上げる格好になった。


 「そなたには申し訳ない事をしたな。ここに居たということは、従士志願に来たのじゃろう」


 青年は黙って頷いた。

 彼の左目は、あきらかにこちらを警戒していた。

 その眼光は鋭い。

 

 「そなたにまだその気があるなら、このままこちらで受験者名簿に名前を入れよう。どうじゃ?」

 「あの、いいんですか。こんな揉め事をおこしたのに」


 荒事に対処していた姿と、見た目の印象から勝手に粗暴なイメージを抱いていた。だから青年の落ち着いた冷静な声を聞いたとき、意外だと思った。


 「非はこちらにあったのじゃ、先ほどの事でそなたに責任を問うことはない」

 「……なら、最初の目的通り、従士採用試験を受けることを希望します」


 青年はこちらを真っ直ぐ見据えて言った。


 氷長石の名のもとに、ほとんどの者達はアミュの前に平伏する。

 なのに、この青年は怯えた様子も見せず、立ち居振る舞いは堂々としている。

 それはとても新鮮なことで、アミュにとっては驚くに値する出来事だった。

 そのせいで、返事をするときに言葉が詰まりそうになる。


 「う、うむ、そうか。では誰ぞ呼んで案内させよう。待っている間に受付用紙に記入をすませるがよい」




 カザヒナが呼びにいった施設の者に青年を預け、アミュは彼の去っていく背中を見つめていた。

 

 「なんだか不思議な男の子でしたね。あんな立ち回りを見せたっていうのに、なんにもなかったみたいに落ち着いていて」

 「そうじゃな……」


 落ち着いている、はたしてそうだろうか、とアミュは思考する。

 一介の平民が、輝士三人に取り囲まれ、晶気を使ってまで命を狙われた。

 だというのに、事後の青年はカザヒナの言うとおり心穏やかであったように見えた。

 だがあの目は違う。

 冷静ではあっても、あの眼光鋭い左目は煌々と燃え上がっていた。

 あの目に睨まれて、落ち着いている、などという感想を抱くのは不可能だ。

 

 ――見極めようとしていたのだとしたら。


 青年がアミュやカザヒナを見る目には、探るような気配を感じた。

 それ自体不愉快ではなかったが、直前まで命のやり取りをして、直後に極石級たるアミュを目の前にしても尚、相手を見極めんとするだけの度胸は並ではない。

 

 ――面白い。


 青年の書いていった用紙に目をおとす。

 そこには、綺麗な字で〈シュオウ〉と書いてあった。


 「シュオウ、か」

 「閣下?」


 自然と頬がゆるんだのを、カザヒナが目ざとく見つけた。

 アミュはわわてていつも通りの無表情を作る。


 「あの者のこれからの動向を知りたい。内々に調査せよ」

 「かしこまりました。……気になりますか?」

 「さてな。じゃが、もしかすると拾いものになるやもしれぬ」


 あるのはただ漠然とした期待感。

 この出会いが、後の縁となるかどうかはわからないが、何かがある、そんな直感めいたものがたしかにあるのだ。


 アミュは振り返り、居並ぶ無機質な建物を見上げた。

 中で、先ほどの件を知って、石床に頭がめり込みそうなほど低頭した責任者の男が待っている。

 これからバラエティーに富んだ謝罪と言い訳を、耳にたこができるほど聞かされるのだろう。

 うんざりする気持ちを堪えながら、アミュはこの場を後にしたのだった。

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コミカライズ版【ラピスの心臓 第二巻】2024年11月21日発売予定!

小説の表紙
― 新着の感想 ―
[良い点] 輝石という独特な世界観が良いですね! [気になる点] 「あわてて」が「わわてて」になっていました。 軟石級の濁石の場合 でも努力すると能力が発現したりするのかな? [一言] (´・∀・`)…
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