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エピローグ

遅くなりました。 最終話です。

当初考えていたラストと違う展開にした為、蛇足になってるかもしれません。


最後までお付き合い頂きありがとうございました。

打ちひしがれていたいた俺に、神官はさらに話を始めた。

彼女からの示談の申し入れである。

先程言われた罪を認め、今後一切彼女に付き纏わないと誓うのであれば、今回のこと不問にするというのだ。

一瞬、この程度の事で罪を問えるのか?とも思ったが、彼女の心がもう俺には向いてないことがわかった今では、どうでも良い事だった。

俺は素直に示談の内容を受け入れ、もう村へ帰ると言うと、すぐに解放された。


駅馬車の停留所まで衛兵が一人付いてきたが、最後まで見張るほど暇ではないらしく、俺が料金を支払っているのを確認すると去っていた。

彼女が住んでたこの街からはすぐ離れたかったが、逆に村には戻りたくなかった。

しかし、行く宛てもない無い俺には、ずるずる時間を延ばすことしかできず、

結局、行きの倍の時間、1ヵ月近くかかって村に戻った。


村に戻ると、勇者一行の凱旋パレードの話でもあるかと思えば、そのような話はなく、もっぱら王都は、王女様のお輿入れ先が決まったことで大盛り上がりだったらしい。

なんでも、隣国の王子と婚約したとかで、王都はお祭り騒ぎで、その王女の婚約の祭典の一幕で勇者たちの叙勲式がついでのように行われただけだったそうだ。

話では、勇者は準男爵(バロネット)といくらかの土地を、それ以外は爵士を与えられたそうだ。

これで彼女も爵士様と言うわけだ。

さらに、彼女は勇者と結婚したとか、聖女様は教会に戻り大司祭になったとか、賢者様は婚約者と晴れて結婚したとか等、村人から聞かされた。つまり、街で聞いた噂は根も葉もないゴシップの類だったということだ。


それに対して俺の噂は、この小さな村では全員知れ渡り、元気を出せだの、女はいくらでも居るだの、当たり障りのない言葉を哀れみと共にかけ続けられた。

小さな子供にまでそんな事を言われた時には、さすがに俺も眩暈がした。


そして、彼女の両親達についてだが、王都に向かってから村には戻って来ず、俺宛ての手紙が残されていた。

内容は、彼女の心が勇者に向いていたことは彼女からの手紙で知っていたが、そのことを俺にはなかなか言い出せなかったこと、そして、そのお詫びに、彼女の父親が所有してた畑と家を俺に譲るという内容だった。

俺はなぜ言ってくれなかったという怒りに任せ、この家を燃やそうかと一瞬思ったが、結局は燃やすことはできず、惨めな気分のまま素直に受け取ったのだった。
















あれから、十年が経った。

俺たちの王国は、十年前に王女様が嫁いだ隣国となにやらきな臭いことになっているらしい。

今、王女様がどうなっているかについては、この村まで伝わってこない。

もっとも、その隣国と王都を挟んで反対側の俺たちの村まで戦火が及ぶとは考えていない。

逆に俺たちに比べれば、国境に近い彼女たちの家はこれから大変だと思う。

もし、戦争になれば、勇者と共に彼女も駆り出されるかもしれないと思うと少し心配である。


そんな王国に対して俺の村や俺の周りは、無関係に過ぎている気がする。

まず、この辺鄙な村まで来るのが煩わしくなったのか、この村に徴税官が来なくなった。

おかげで、俺たちだけで近くの村まで年貢を持っていくことになったが。

時期を同じくして、崖崩れや川の氾濫があって一時は苦労したが、その後、土地が肥えた為なのかどうかわからないが、劇的に村の畑の収穫量が上がった。

その現地視察しなくなった徴税官は、収穫量を以前のままと思い込んでる為、ここ数年は村は餓死者や身売りをする者は無くなり、村は以前と比べものにならないくらい裕福になった。


そして、若い頃には穴があったら入りたくなるような馬鹿をやった俺もとうとう嫁さんを貰うことになった。

本人は覚えていないだろうが、十年前、俺に慰めの言葉をかけかた小娘が俺の相手だ。

今の俺は幸せである、この幸せがいつまでも続くことを願わずにはいられない。


それが誰であろうとも幸福な時期がずっと続くとは限らないのだから・・・

どーでもいい裏話



⓵結婚について


同等結婚が常識な世界であるため、王族は王族としか結婚しません。

王族が貴族や平民と結婚するなど、例外中の例外です。


一夫一妻制が基本の為、平民が公然とハーレムを作ることは不可能です。

王族や貴族は、正妻との間に子宝に恵まれなかった場合、例外的に側室を迎えることができます。

また離婚が難しい社会ですが、子供ができないことは離婚の正当な理由として認められます。


しかし平民の中には、貴族になればハーレムを作れると誤解してる人もいます。


⓶戦争について


王女様が嫁いだ隣国とは、領土問題が燻っており、何年か単位で大き目の紛争が起きます。

婚約ぐらいでお祭り騒ぎだったのは、隣国に対する友好をアピールする為の茶番だったからです。

紛争の度に国境近くの地域は、取ったり取られたりの状態です。

勇者達の家は国境の直ぐ傍ではなく、王国が過去最大級に奪われた地域に含まれる感じです。

ということで最悪のの場合には、勇者達は家や土地を失うかもしれない状況です。


今回は、隣国がちょっとした食糧危機で、自国の口減らしを兼ねて戦争しようとしてます。


あまり気付いてない人が多そうなので、補足します。

癒着や不正の温床になるので、数年ごとに徴税官の配置転換が行われるのは常識です。

つまり・・・脱税が発覚するかも・・・


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