獣人族の男の子たちの学園生活 夏 コネギット
本日、二回目の更新。
私の名はコネギット。
魔王国の王都で一番の商会の娘。
という設定です。
……
すみません。
私は嘘を吐いています。
私には結婚願望があります。
しかし、相手が誰だって良いと思うほど達観はしていません。
それなりに素敵な旦那様との結婚生活を夢見ても良いでしょう。
そして、その相手をやっと見つけました。
ガルガルド貴族学園に入学し、教師になった獣人族の男の子たちの一人です。
彼は素敵でした。
いえ、素敵過ぎです。
だから、私には釣り合わないと諦めていたのですが……
想いは止められません。
特に、彼が他の女性にアプローチされているところをみるのは苦しいです。
ですので、恥も外聞も捨てて勝負にでます。
大丈夫です。
私には強い味方があります。
先人たちの知恵と努力の結晶である、男性攻略法。
この本が。
男性の心を射止めるには、料理。
手料理が一番。
手料理とはいったい?
動物の手だけを料理するのでしょうか?
あ、私が作った料理のことですか。
なるほど。
え?
料理は料理人がするものではないのですか?
私が作った下手な料理より、専門にやっている料理人の料理のほうが美味しいと思うのですが、違うのでしょうか?
わかりません。
というか、私の料理の腕は、他のかたに食べさせるレベルではありません。
知っています。
……
私の指示で料理人が作れば、それは私の手料理ということになるのではないでしょうか?
きっとなりますね。
それでいきましょう。
男性の心を射止めるには、接触。
男性は女性に触られるだけで喜ぶもの。
積極的に触っていけ!
……
ふしだらな。
私には無理です。
いえ、興味がないわけではないのですが……無理です。
できません。
あ、触れない女性への補足がありました。
親切ですね。
えっと、腕を組む?
素敵ですが、私には難度が高いです。
他には……太ももに触る?
馬鹿ですか。
そこに触れるなら、どこだって触れるでしょう!
ええい、もう少しまともなことは……
ダンスに誘う。
なるほど。
一緒に踊るのであれば、自然な接触ですね。
……
しかし、女性からダンスに誘うのはどうなのでしょう?
ほとんど告白と同じではないでしょうか?
それぐらい、積極的にいけ?
引いていては、他の女に盗られるぞ?
確かに、それはありえますね。
わかりました。
頑張りましょう。
しかし、ダンスですか。
近々でダンスを行うようなイベントは……ありませんね。
なければ、つくる。
それだけです。
ふふふ。
さっそく、企画書を作り学園の承認をもらいましょう。
夢が拡がります。
さて、それはそれとして。
先ほどから私に対して攻撃を仕掛けている小者たちに質問しましょう。
飼い主は誰ですか?
それともご本人で?
今の私は手加減ができませんよ。
私の名はコネギット。
偽名です。
姿も嘘です。
私の本当の名はホウ=レグ。
魔王国四天王の一人です。
すでに貴族学園は卒業していますが、再入学です。
なぜ?
ただの気分転換です。
十数年前からやっていてよかった。
あ、学園長にはちゃんと報告していますよ。
これで密偵を捕まえたり、調子に乗っている貴族の息子をマークしたりと実績はありますからね。
大樹の村で彼らをみた時は、手が出せないと思っていましたが……ふふふ。
おっと、いけない。
気は抜きません。
当面は禁酒する覚悟です。
とりあえず、お二方の共闘のお誘いは受けましょう。
悔しいですが、四天王の仕事を休むことはできません。
私が学園にいない時のことを考えれば、仕方がないことです。
そうそう。
くれぐれも私のことは他言無用で。
学園にいる私は、コネギット。
か弱い娘です。
コネギット回、短かくて申し訳ない。