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再戦

 さて、過去に貴族は爵位と階位にあった働きを求められるという話をしたが、覚えているだろうか?


 俺の階位は現状でも五位下。実質五位上の男爵様だ! ……どうしてこうなった?


 そしてこれは、それだけの働きを国に期待していると言われているのと同じだ。


 日頃の貢献やらその他諸々に加え、戦争になれば相応の働きまで求められる非常に苦しい立場なのだ。


 もし戦争が起きれば、学生でも男爵の俺は出陣要請があると断りにくい。そのため、いくつかの布石を打っておくことにした。……酒場でね!


「リオン、本当に飛行船を手に入れたの?」

「羨ましいな。軍艦だろ?」

「飛行船があるだけで羨ましいよ。俺の家にはないし」


 田舎貴族の跡取りたちを集めた酒場で、俺は今回の手柄や色々な儲けから宴会を開いている。同じグループの仲間たちへの付き合いみたいなものだ。


 羨望もあるが、そこには妬みや嫉妬といった感情も含まれていた。……想定内だ。


 そんな同じグループの男子たちを前にして言うのだ。


「あぁ、手に入れて整備をしているよ。けど、数が多くて困っているんだ。俺と親父の家で飛行船を抱えてもまだ余るからね」


 それを聞いた男子たちの視線が鋭くなる。


 ダニエルがゴクリとつばを飲み込んでいた。


「……お前ら、欲しいか?」


 レイモンドがその場で立ち上がった。


 将来、家を継ぐ彼らには飛行船とは喉から手が出るほどに欲しい物だ。持っているといないとでは、大きな差が出てくる。しかし、買おうと思えばやはり金もかかる。


 維持費だって馬鹿にならない。


 安く古い飛行船を使い回している男爵家がほとんどだ。最新鋭の――公国の飛行船なんてこの場にいる奴らは誰も持っていない。


「な、何が望みなんだい?」


 全員が価値を知っている。タダで貰えるなんて虫の良い話は、詐欺だと分かっている連中だ。むしろ、タダで寄越せなどと言わないこいつらは好感が持てる。


 俺は余裕を見せるために飲み物を口に含み潤すと、全員の顔に視線を巡らした。


「実は実家に工場を構えることにした。そこで船の整備なんかをするためにね。もしも整備関係を俺の所に“全て”任せてくれるなら……無料で提供しようじゃないか」


 男子たちの目がすぐに泳いだ。


「そ、そんな都合のいい話があるのか?」

「もしかして欠陥品か?」

「でも公国の飛行船だろ? 実際に動いていたなら欠陥品じゃないし」


 気になって仕方がない男子たちに、俺は誠実に向き合うのだ。


「安心して欲しい。こっちもちゃんと儲けを考えているから。それに、修理やらその他諸々で悪質に荒稼ぎしないことも誓うよ」


 物は格安で提供し、維持費で荒稼ぎをする手法は俺も好まない。


 それでも疑念が拭えない彼らに、俺は溜息を吐く。


「分かった。一隻につき、鎧も四体までサービスしよう。公国の鎧だ。質は保証するぞ」


 レイモンドがフラフラと俺に近付いてくるのを、ダニエルが押しとどめた。


「ま、待て、レイモンド! 相手はリオンだぞ。下手をしたら骨の髄までしゃぶり尽くそうとする奴だ!」


「はっ! そうだった!」


 友達の酷い評価に俺の繊細な心が悲鳴を上げている。


 他の連中も同じような顔をしている。同じグループのみんなにいい話を持って来たのに冷たい限りで泣けてくる。


「残念だな。お前たちが活躍すればうちで立ち上げ予定の工場は宣伝にもなるし、互いに利益のある話だったのに。悪かった。他に相談するよ」


 ダニエルが待ったをかける。


「待て! ほ、本当に無料なのか? 動かないとか、余計な金がかかるなんて事はないんだな?」


「信じて欲しいね。俺は、嘘は吐かない男だよ」


 男子数人が「嘘吐け」なんて言っているので悲しいが、実際に嘘は言っていない。


 ちゃんと商売をするつもりだ。


 実家に工場を用意し、そこの持ち主は俺だ。将来的に工場で稼ぎ、王国への貢献を考えていた。出世すると大変なの。稼がないといけないの。


 報酬? 駄目なのだ。毎年貢献を求められるのに、一時的なお金じゃ意味がない。そんな金、十年もしない内に使い切って何も残らない。


 俺が持っている浮島はどう考えても準男爵家クラスの稼ぎしか得られない。観光地として栄えても男爵家の稼ぎには届かないのだ。


 だから工場を用意し、将来の収入源を増やそうと思っている。


「故障した飛行船なんか売るかよ。今後商売するのに信用がなくなるだろうが。いきなり工場を立ち上げても客がいない。なら、客を獲得するために多少の無理をしよう、って話だ。幸い、俺の所には鹵獲した飛行船があるからな」


 飛行船なんて売れるのはそこまで大きな物ではなく、五十メートルから百メートル級などのクラスだ。扱いやすいし、もっと小型の物も人気である。


 今にして思うとルクシオンとかパルトナー……でかすぎ。


「飛行船と鎧が今なら実質無料のゼロディア! メンテナンスは心配するな。うちがしっかり責任を持つから!」


 男子たちが次々に手を上げる。


「か、買った!」「お、俺も!」「僕も!」


 俺は笑顔で契約書を用意すると、彼らに渡すのだ。


「はい、これを実家に送って記入欄に名前を書いて貰ってね。ちゃんと実家には説明してよ。あ、もしも古い飛行船があるなら買い取るよ」


 全員が書類を貰ってウキウキしている姿を見て、俺はニヤリと笑うのだった。


「みんな、これからも仲良くしようね」


 ……実質無料に食いついてくれてありがとう。


 諸君、今後とも末永く一緒に頑張ろうじゃないか。大事な飛行船の整備を俺に握られ、簡単に俺を裏切れなくなった友人たちを前に俺は満面の笑みを浮かべた。



 王都にある公爵家の屋敷。


 そこには、公爵家の跡取りであるアンジェの兄【ギルバート】がいた。


 アンジェは学園が休みになっており、兄に呼び出されていた。


「兄上、何か問題でも?」


 ギルバートは少し困った顔をしていた。


 テーブルの上に置いた書類をアンジェに見せた。


「……これは? 飛行船の売買に関する契約書でしょうか?」


「そうだ。リオン君が用意して男爵家に配っているらしい」


「リオンが?」


 それを聞いてアンジェは悪い予感がした。実家――公爵家は、このリオンの行動に不快感を持ったのではないか、と。


「も、申し訳ありません。すぐに止めさせます」


「その必要はない。これ自体は問題ではないのだよ」


 問題ではないと言われて安堵した。


 だが、ならば何故呼び出したのかとアンジェは気になる。


「では、これがいったい何か?」


「分からないのか? ――リオン・フォウ・バルトファルトは、公国と交戦して今後戦争になる。もしくは、大きな戦争が起きると考えているのではないか、とね。工場の立ち上げにしても性急すぎる。普通は無料で飛行船を提供するなど馬鹿だと笑うところだが……」


 ギルバートは、王国首脳部が今回の事件を軽く考えているとアンジェに聞かせた。


「王宮は学生に倒された公国を甘く見ている。だが、戦った本人は警戒を強めている。……これはどう見るべきだ?」


 アンジェに何か聞いていないのかと問うていた。


「わ、私には何も。ただ――」


「ただ?」


「ただ――急に忙しく動き回っているのは事実です。アレから、鍛錬に精を出すようになっています。今日もダンジョンに入ると言っていました。以前とは雰囲気が違います」


 本人は「黒騎士が強くて自信をなくしたので頑張る」などと言っていたが、アンジェはそれらのことを考えると――。


(公国を警戒しているのか? 対して王宮はほとんど警戒していない?)


 学園の生徒に返り討ちに遭った公国。


 王宮はそんな判断を下していた。


 黒騎士も負けたと聞いて、名のある騎士も老いたな、と。


 ギルバートは指で机をトントンと叩きつつ考えていた。


「モンスターを従えた公国の姫も、魔笛も確かに王国の手元にある。交渉もこれから始まるだろうが……警戒する理由が分からない。何の意味もないとも思えない。まったく、彼は本当に厄介だよ」


 アンジェは気になったので聞いてみた。


「ヘルトルーデ殿下はどのような処遇に?」


「処遇、か。甘いと言わざるを得ない。本人を王国にこのまま留学させるという話になった」


 アンジェが目を見開く。


 ギルバートも反対の様子だった。


「王宮は我が国の強さを学園で学べば良いと言っていた。被害が少なかったからな。これを機会に、殿下を取り込んで公国を再び傘下に置きたいのだろう」


 アンジェが納得できないでいると、ギルバートは話題を変えた。リオンが警戒しているのが分かったので、もう聞くこともないようだ。


「話は変わるが、特待生と随分と仲良くしているらしいな?」


 アンジェが俯くと、ギルバートは続ける。


「特待生を嫌えとは言わない。王宮の決定だ。だが、必要以上に仲良くする理由もない」


 アンジェがギルバートの前で意志の強い瞳を見せた。


「……わ、私の友達です。兄上には関係ありません」


 ギルバートは静かに睨み付けるが、妹が退かないと分かると降参のポーズを見せた。


「好きにしろ」


「よ、よろしいのですか?」


「お前がそこまで言うなら構わない。だが、大事な友達なら自分で守れよ」


「は、はい!」


 アンジェが喜ぶと、ギルバートは少し探るように……どうやらこちらを聞きたく、リビアの件はただ話を振るための話題だったようだ。


「それと……リオン君とはどうだ?」


「どうだ、とは?」


「あぁ、うん。彼の結婚相手が決まったと聞こえてこないのでね。色々とあって出世もしている。下手な相手と結婚されると困ると思っていた」


 アンジェはギルバートが、リオンを取り込もうと考えているのを知っている。実際、リオンを味方に出来れば大きな力になる。


 それに、制御しやすいという面もあった。


 言われる前に公国の最新鋭の飛行船と鎧を渡したのが証拠である。


 自分で大量に保有し、個人として戦力増強に走らなかったのも良かった。


 辺境の男爵家ですら、飛行船の数を揃えると脅威になる。瞬く間に戦力を後ろ盾に浮島を制圧していき、大きくなることだってあるのだ。


 周辺を取り込み、そして王国に牙をむく――などということが、今までにも沢山あった。


 それをギルバートたちには、リオンが弁えていると見えたのだろう。


(調子に乗るようなら注意するつもりだったが、そうか男爵家に配る程度なら兄上も脅威とは思われないか)


 横の繋がりを強化しているようにも見えるが、その程度ならば王宮も公爵家も問題視しないということだろう。


 むしろ、王国と公爵家に献上した物の方が数は多い。多少、問題があったとしても王国も公爵家も「大丈夫かこいつ?」と心配するほどだ。


 端から見れば採算度外視で滅私奉公している騎士であり、一部で公爵家の新しい忠犬などと陰口を叩かれていた。


 アンジェはリオンの婚活に関する近況をギルバートに報告した。


「最近は忙しそうですので女の影もありません。まぁ、なんと言いますか……女子には嫌われていまして」


 ギルバートが額に手を当てる。


「そこが分からない。いったいどうして見向きもされない? 現状でも男爵で実質五位上の男だ。これからを考えても有望株だろうに」


 アンジェはギルバートの言い方に疑問を持った。


「兄上、その言い方ではリオンがまだ昇進すると聞こえますが? 流石にこれ以上は厳しいのでは?」


 ギルバートはアンジェの顔を見て、伝え忘れていたと思ったのか少し恥ずかしそうにしていた。


「すまない。お前に伝えていなかったな。実は――」



 二学期も終わりが近付いた頃。


 公国との戦争――というか、事件で処理された一件の勲章授与式が冬休みの初日に決まった。学園では勲章を貰える生徒たちが楽しそうにその日を待っている。


 勲章なんてそう簡単に貰える物でもないし、何より箔になる。


 浮ついた感じの学園だが、俺は別に気にしない。


 暖かい部屋でお茶を楽しんでいた。


 新しいティーセットを自分へのご褒美のために買い揃え、そして師匠に貰った大事な茶葉を味わっている。


 お菓子は朝一番に有名店の物を買いに走り、お高めのお菓子も添えることが出来た。


「はぁ~、幸せだな」


 窓の外は寒空が広がり、窓が白く曇っている。


 リビアがお菓子を食べているが、申し訳なさそうに少しずつ食べて――そしてその甘みに頬を緩めている。


 有名店のお菓子、侮り難し。というかうますぎてビックリ。正直舐めていた。


「これおいしいです」


 対してアンジェはマナーよく食べてはいるが、食べ慣れているのか感動もないらしい。


「チョコが好きなのか? なら、私のお気に入りの店から取り寄せよう」


 お嬢様! そのお店、俺も知りたいです!


 リビアは苦笑いだ。


「あまり高いのを食べ慣れると困りますから」


「そ、そうか」


 俺は小さく手を上げる。


「アンジェ、俺に教えてください。ガチの高級店や人気店は購入まで数ヶ月待ちになるので、公爵家の紹介状が欲しいです」


 乙女ゲーの世界だけあって、お菓子関連は揃っているし人気もある。


 辛すぎるこの世界で、せめてお菓子だけは甘く優しくあって欲しい。切実な願いだ。


「お前は茶狂いだから駄目だ。下手に金を持っているから、買い占められると私が恨まれることになる」


 お茶会が好きな男子も少なからずいて、そういった場合はよく有名店のお菓子を注文する場合が多い。


 ……俺のように!


「え~、買い占めないよ。人気商品を女子の前で食べるだけだよ。もしくはダイエット中の女子に配ろうかな!」


 ダイエットで甘い物を控えている女子に、有名店の滅多に食べられないお菓子を見せつけるという優越感が俺は欲しい!


 ダイエットを諦め、お菓子に手を伸ばした女子を笑ってやりたい。


「……流石に酷いですよ」


 呆れるリビアを前に、俺はここ最近の平和な時間を思い返す。


 戻ってきてからパルトナーも、アロガンツも、そしてシュヴェールトもみんな整備するとルクシオンに没収された。


 そのため出かけることも出来ないので、ダニエルとレイモンドを誘ってダンジョンに潜っている。流石に最強の敵を倒した今、俺の敵などいないと思うが……まぁ、備えくらいしておくべきだろう。


 公国は戦争を止めない可能性もあるが、彼らの切り札はこちらにある。


 大丈夫なはずなのに……妙な胸騒ぎもある。どうにも落ち着かないのだ。


 アンジェが話題を振ってくる。


「そう言えば、リオン。お前、クリスに黒騎士討伐の手柄を譲っただろ」


 俺が視線をそらすと、リビアが俺を見た。


「どうしてですか? 黒騎士さんを倒したのはリオンさんなのに」


 アンジェが呆れつつお茶を飲み干したので、俺はおかわりをそそいで媚びを売る。


「お嬢様、その辺りのことに関しては非常に高度な判断があったと――」


 アンジェも頷いていた。


「まぁ、確かに悪い手ではなかったよ」


「でしょ!」


 別に色々と考えた上での事ではないけれど、褒められたので喜んでおく。


「え、えっと、どうしてですか?」


 リビアが分からないという顔をしていた。


 アンジェは優しく説明してくれていた。


「簡単なことだ。リオンを敵視していたアークライト家……クリスの実家は、今回の件で黙るしかなくなった。自分が倒せなかった黒騎士を倒し、おまけに息子に箔をつけて貰ったのだからな。黒騎士を退かせた功績は大きい。クリスの勘当も近い内に解かれるはずだ」


 リビアが俺を見て微笑む。


「リオンさん、やっぱり優しかったんですね!」


「あ、当たり前だろう」


 どもってしまった。いや、嫌われていると思ったが、まさか剣聖がいる家に敵視されているなんて思わなかった。剣聖に命を狙われるとか命がいくつあっても足りないじゃないか!


 そう言えば、ミレーヌさんがそんなことを言っていたな。


 部屋の中、話を聞いていたルクシオンが俺を見ている。


『良かったですね、マスター』


 この良かったですね、というのは俺の功績を押しつけて出世したくないという思惑がばれなくて良かったね、という意味が込められている。


 段々とこいつの気持ちが分かってきた。


「どうだ。そんな高度な計算が出来る主人を持って嬉しいだろ?」


『……そこまで調子に乗れるのも一種の才能ですね。普通はもっと謙遜しますよ。後ろめたいことがあるならもっと謙虚になられるべきかと』


「何のことか分からないな。俺は誠実さと優しさが売りの平凡な男なのに」


『誠実と優しさを辞書で調べて差し上げましょうか? マスターには国語の勉強が必要のようですね』


 アンジェとリビアが、浮かんでいるルクシオンを手で触っていた。


「よく喋る一つ目だな」


「駄目ですよ、アンジェ。ルク君にはルクシオンって名前があるんですから」


 ルクシオンがリビアを見た。


『ルク君? それは私の愛称でしょうか?』


 俺はルクシオンをニヤニヤ見る。


「良かったな、ルク君。可愛いじゃないか」


 ルクシオンが黙ってしまったので、リビアが怒らせたのかと心配そうにしている。俺は大丈夫だと言って、先程の話に戻った。


「まぁ、あれだ。――あいつらも悪い奴ではないんだよ。うん、たぶん」


 別に目の前から消えて欲しいわけでもない。ちょっと苛々するだけだ。煽るには丁度良い面子でもある。


 アンジェは面白くなさそうな顔をしている。


「確かに、このまま消えて貰っても困る面子ではあるな」


 リビアは五人の顔を思い浮かべているのか、天井を見上げて――。


「そう言えば、皆さんで何かしているらしいですよ」


「何か?」


 俺が聞くと、リビアは噂話を思い出すのだった。


「はい。格納庫で五人が集まって色々としていると」


 五人が集まって一体何をやっているんだ?



 マリエは学園にある倉庫に来ていた。


「もう、みんなどうしたのよ~」


 五人が見せたい物があるというので、プレゼントだろうと思ってウキウキしていた。


(いったいどんな物かしら? もしかして宝石かしら? いや、ドレスとか? 最近、みんなも頑張っていたし、きっと私へのプレゼントよね。サプライズって最高!)


 そんなマリエの前に用意されたのは、シートに隠れた大きな何か、だ。


 マリエは首をかしげる。


 隣に立っていたエルフの少年――カイルも首をかしげていた。


「何です、これ?」


 グレッグが鼻の下を指でこする。


「まぁ、見てのお楽しみだ」


 ブラッドは前髪を手でかき上げ。


「マリエには随分と待たせてしまったね」


 二人の台詞でマリエの期待も上がっていく。


「二人ともありがとう!」


 クリスが照れているのか、眼鏡を外してマリエの笑顔を見ていた。


「わ、私も頑張った」


「うん、クリスもありがとう」


 すると、ジルクがわざとらしい咳払いをした。


「マリエさん、殿下と私のことも忘れないでくださいね。ほら、殿下」


 ユリウスがマリエの前に立つ。


「マリエ……これが俺たちの気持ちだ」


 シートを五人が剥がすと、そこにあったのは膝をついたポーズの……鎧があった。


 ――マリエの笑顔が固まった。


(……え?)


 ユリウスたちは鎧を見ている。


「これでバルトファルトに戦いを挑む。俺と、お前を引き裂くあいつを……俺たちはあいつに勝って前に進む!」


 グレッグがサムズアップしていた。


「言うじゃないか、殿下! いや、ユリウス!」


 ブラッドも腰に手を当てて胸を張っている。


「そう。僕たちは彼に勝たないと前に進めない。そのために用意した鎧は、僕たちの決意の表れさ」


 マリエは固まっていた。五人が何を言っているのか分からないのだ。


(決意? 鎧を用意するのにいくらかかると思っているのよ! しかも、なんか色違いのパーツがゴテゴテしているし……も、もしかして、これって決闘の時に壊れた鎧をつなぎ合わせたの! え、なんで鎧なの? 嬉しくないんだけど!)


 クリスの目が潤んでいた。鎧を前に感動しているようだ。


「不格好だが、今まで乗ってきたどんな鎧よりも私たちの気持ちが詰まっている」


 ジルクが微笑みながら頷く。


「使えるパーツを寄せ集めただけですが、それでもこれは世界にたった一つの鎧です」


 マリエがぎこちなく首を動かし、ユリウスの方を見た。


「ユリウス、こ、これいくらだったの? 修理費とか?」


 ユリウスは少し寂しそうな顔をする。


「マリエ、これはそういうお金の問題では――」


「ち、違うの! みんなが無理してお金を借りたんじゃないか心配しているの!」


 それを聞いてユリウスが安堵した。


「なんだ、そんな事か。実は報酬がそれなりの金額になったからな」


 ブラッドとグレッグは空賊退治の報酬。


 クリスは公国との戦争で得た報酬があった。


「そ、そのお金で修理したのね」


 マリエは、せっかくの報酬をどうして無駄なことに使うのかと思ったが、まだ大丈夫だと安堵する。


 ただ、そんなマリエをジルクの台詞がどん底に突き落す。


「少々心許なかったので共有財産を使わせていただきました。何でも、有名な鎧の制作者だという方が、格安で修理を受けてくださいましてね」


 格安と聞いて安心するマリエだったが、


「金額は共有財産の五十万と、みんなの報酬で何とかなりました。凄腕らしく、鎧の性能を限界まで引き出してくれましてね。素晴らしい方でしたよ。この性能なら、バルトファルト君のアロガンツにも勝てるでしょう」


 マリエは立ちくらみがした。カイルが支えてくれたので倒れなかったが、内心では泣き叫びたかった。貴族のお坊ちゃんたちの金銭感覚が狂っているのは知っていたが、この五人は特に酷いと再確認させられる。


(五十万ディアって! 円で計算すれば五千万も支払ったの? 共有財産から!?)


 共有財産とは言っても、ほとんどマリエが管理していた生活費である。


 学園祭で荒稼ぎをし、おまけにダンジョンで必死に稼ぎ……そうしてようやく手に入れた生活費のほぼ全てが、不格好な鎧一つに使われたという事実。


 しかも、五十万ディアはちょっとという五人……。


 マリエは心の中で泣いていた。


(こんな寄せ集めのガラクタ鎧に五十万! 頭おかしいわよ! なんで全部使うのよ! というか、使う前に相談してよ! これからどうやって生活するのよ!)


 心配して駆け寄ってくる五人に――マリエは震えながら言うのだ。前世で借金取りに追われる生活を思い出し、膝も震えていた。


「ど、どうして前もって相談してくれなかったの?」


 ユリウスが笑顔で言う。


「お前を驚かせようと思っていた。すまない、こんなに驚いてくれるとは思わなかったんだ。待っていてくれ、マリエ……俺たちは、バルトファルトを倒して俺とお前を引き裂く障害を取り除いてくるから」


 それよりも将来の不安を取り除いて欲しいと思うマリエだった。



 その日、俺の部屋に届いたのは決闘の申し込みだった。


「……またかよ」


 差出人はユリウス殿下たち五人であり、決闘の日付は終業式の日だった。


 翌日は勲章授与を学園で行う予定だ。王都に残るので問題はないが決闘を挑んでくると思わなかった。


「マリエとの関係に口を出すな、か。あいつら、神聖な決闘をなんだと思っているんだ? 負けた側だって分かっていないのか?」


 側にいるルクシオンも冷たい言葉をかけている。


『彼らにとっては神聖なことでは? 拒否してもよろしいかと』


 少し考える。


 ……そこまでマリエと一緒にいたいのだろうか?


「いや、受ける」


『受けるのですか?』


「そこまで一緒にいたいなら負けてやる。よく考えると、俺が勝ったことで色々と面倒になったと思うんだ。もう好きにさせてやるさ。あの五人の誰かをリビアと、って思ったけどあいつら駄目だ。マリエの方がお似合いだよ」


『……今更気づいたのですか? 本当に気づくのが遅いですね』


 こいつ俺のことを馬鹿にしているの?


「とにかく、もう元には戻らないなら好きにやらせようって思うの。マリエもあいつらに囲まれて幸せならそれでいいじゃない? 俺、正直もうマリエのことを気にしている余裕がないし」


 公国とか、聖女とか、とにかくこっちも忙しいのだ。


 あいつに構っていられない。早めに余計な問題を片付けておきたかった。


 冬休みには工場の立ち上げとか、他にも仕事で予定が一杯である。


『マリエが今度邪魔をしてこないとも限りませんよ。警戒を緩めすぎでは?』


「あいつだって転生者だろ。なら、リビアが聖女にならないと王国が沈むって分かっているからこれ以上は邪魔をしないって」


『そうなのですか?』


 最強の敵も倒して、敵の切り札も手元にある。


 警戒はするが、これ以上は何もないと思いたい。


 ……なのに、どうしてこんなに気持ちは落ち着かないのか。


『アンジェリカが怒るのでは?』


「俺からも謝るよ。もう好きにさせてやろう、って。怒られたらあいつらには負けて貰うわ」


『あの五人の扱いが軽いですね』


「アンジェの気持ちが優先だから仕方がないね」


 俺は決闘を受けることを伝えるためにユリウス殿下の所に向かうのだった。



 終業式が終わったすぐ後。


 学園は異様な熱気に包まれていた。


 闘技場に集まった生徒や教師たち。


 円上の闘技場では、これから行われる決闘を応援するため女子たちが駆けつけている。


「ユリウス殿下たち、あの外道に勝つために五人で頑張ってきたって!」

「夜な夜な鎧の修理のために五人で集まっていたらしいよ」

「よ、夜な夜な」


 リビアは周囲の声を聞きながら、アンジェの方を気にかける。


 怒り出さないか心配しているのだ。


「アンジェ、その――」


 しかし、アンジェは堂々としていた。


「ん? あぁ、心配ない。リオンからは事前に話は聞いていたからな。あいつの負けてやる理由も納得した。文句はないよ」


「そ、そうなんですか?」


「私とて思うところもある。だが、事実を受け入れられる程度には諦めもついたさ。それに、言い方は悪いが殿下に対しての気持ちは冷めたよ。まったく、余計なことにリオンを巻き込んで迷惑な」


「明日の授与式は大丈夫でしょうか? リオンさん、怪我しないといいんですけど」


 ユリウスはアンジェの元婚約者だ。愛していた相手が、他の相手のために決闘を再び起こした。アンジェも諦めているらしい。


 周囲の女子たちはヒートアップしている。


 男子たちも同じだ。五人が自分たちで鎧を用意した話が男子好みだったらしい。一度はリオンに完敗しながらも、それでも立ち上がる五人の姿にみんな期待していた。


「負けてからまた挑もうなんて凄いよな」

「あぁ、きっと今回はやれるさ」

「俺、殿下たちを応援する」


 ユリウスたちの話は美談にされ、そして悪役のリオンが空から登場すると会場は一斉にブーイングの嵐に包まれた。


 アンジェが笑う。


「歴史に名を残す騎士様は、学園一の嫌われ者か」


「歴史? 何ですか?」


 よく聞こえなかったリビアが聞き返すと、アンジェは笑って首を横に振る。


「何でもない。ほら、私たちくらいリオンを応援してやろうじゃないか」


「はい!」


 二人がリオンを応援する。



 闘技場。


 アロガンツで空から着地して会場入りすると、準備を整えたグレッグが鎧に乗り込む。


 そして四人に振り返り確認を取った。


「本当に俺でいいのか?」


 そんなグレッグにブラッドは真剣な顔を向けて頷く。


「悔しいが、僕では勝てない。お前の技量に期待している」


 友人の言葉にグレッグが笑うと、クリスもグレッグに勝負を託す。


「剣術だけの私でも無理だ。グレッグ、頼んだぞ」


 剣にこだわっていたクリスとは思えない発言だった。


 ジルクは鎧の緑色の部分に触れる。


「みんなの思いを託します」


 ユリウスも頷く。


「一番可能性があるのはお前だ。バルトファルトに勝って来い!」


 グレッグが頷く。


「おうよ!」


 会場は五人の友情を前に感動の嵐に包まれている。


 グレッグは鎧に乗り込むと、みんなの気持ちがこもっているためか鎧がとても暖かいことに気が付く。


「へへ、お前も高ぶっているみたいだな。一緒に戦おうって気持ちが伝わってくるみたいだ。一緒にやろうぜ、相棒!」


 目の前のアロガンツを見て、


「バルトファルト、行くぜ! これが俺たちの力だ!」



 アロガンツの中。


「どうやって負けようかな」


 五人が、なんだか腐の人たちが喜びそうな展開を繰り広げているのを見ていた。


 夜な夜な倉庫で鎧の整備を行っていたらしい。


 お金を出し合い、自分たちで出来ることは自分たちで行ったのか目の前の鎧には拙い部分も目立っていた。後から職人を呼んで仕上げて貰ったらしく、形になっているだけではなく性能も向上していた。


 俺を倒すためによくやる。


 ……そんな青春も悪くないだろう。


『清々しい友情ですね。なのに、マスターと来たら契約書で結ばれた友情の輪を広げて……最低ですね』


「見せつけてくれるよね。まぁ、アンジェの許可も出たし、負けてこの戦いも終わりにしようか」


 審判が決闘の開始を宣言する。


 グレッグが向かってきたので距離を取りつつブレードで槍の攻撃をいなしていた。


「右手に槍で、左手にライフルか。なんだ、成長したな」


 最初から全力を出そうとする相手に感心しつつ、少しずつアロガンツを下がらせていく。


 周囲には俺が押し込まれているように見えているはずだ。


 音声を外に出してグレッグに声をかけた。


「随分無理をしたみたいだな」


『お前に勝つためならこれくらいどうってことねー! バルトファルト、本気でかかってこい!』


「あ~、熱いね。熱血って奴?」


 ケラケラ笑ってやるが、真剣な五人を思うと羨ましくもあった。


 音声を外に漏れないようにした俺は「お前らが羨ましいよ」と呟いてしまう。本気でそんな青春が眩しく見える。


 そんな俺の言葉にルクシオンが警告音を発した。


『――! マスター、すぐに相手に脱出するように伝えてください。目の前の鎧は、爆発寸前です』


「え? 嘘!?」


『嘘ではありません。熱量が異常数値です。内部構造がデタラメです。この状態でよく動いているとしか言い様がありません。性能を引き上げるために無理をしています』


 ルクシオンが警戒しており、俺は即座にグレッグに伝えた。


「おい、お前の鎧おかしいぞ! すぐに降りろ!」


 しかし――。


『はっ! 俺を惑わすつもりだな。そうはいくか! お前の手だと分かって騙されるものかよ。だが、それだけお前を追い詰められたって事だよな!』


 目の前の鎧は随分とよく動いていた。


 実際に目を見張る動きもしているのだが、暴走していると聞けば納得だ。


 俺は審判に叫ぶ。


「審判! 中止だ! こいつの鎧はおかしい!」


 ただ、審判の教師が首を横に振った。


『バルトファルト君、見苦しいですよ。彼らの思いを真正面から受け止めてあげなさい』


 俺が嘘を吐いていると思われたらしい。


 確かに負けようと消極的に戦っていたため、それが追い詰められているように見えたかも知れない。負けるために追い込まれていたのが徒になった。


 でも違う。違うんだ!


 ルクシオンが呆れていた。俺とルクシオンの声は、外部に漏れていない。


『身から出た錆ですね。日頃の行いが悪いから苦労します。解析終了しました。いつでも爆発させずに破壊できます』


「――嘘だろ」


 俺に壊せというのか? あいつらの青春の一部であるあの鎧を? 流石の俺だって心が痛むぞ!


「い、嫌だ。そんな事が出来るか! だって、あいつらが頑張って作ったとか……そんな鎧を壊すとか鬼だろ!」


 例えるのなら、夏休みに五人で作った人力飛行機……泊まり込みで作業し、互いに喧嘩しながらも完成させた一夏の思い出があったとしよう。みんなで完成させた思い出の機体は、どんなにボロボロで他人には価値がなくても五人の宝物のはずだ。


 それを壊せと言われて「やるやる!」なんていう精神構造を俺はしていない。むしろ、ちょっと応援したくなっていたのに。


 俺が拒否すると、ルクシオンは淡々と告げて来た。


『では、爆発でグレッグが死ぬところを見るおつもりですか?』


 脳筋のグレッグ……死ねとか思ってないよ!


 俺はアロガンツの左手でグレッグを掴んだ。


 暴れるグレッグの鎧。


「おい、降りろ! 頼むから降りてくれよ!」


『まだ言うか! まだだ。まだ俺は負けていない!』


「いや、本当に危ないんだって!」


『お前の口車にはもう騙されないぞ! 俺たちにいかさまをしたことは忘れてねーからな!』


 パルトナーに乗せたとき、こいつらから船賃代わりに金を巻き上げたのは失敗だった。世間を教えてやるつもりだったから、後で種明かしをしたのもまずかった。


 からかってやったのだが、今は酷く後悔している。


 こいつら俺を信用していないというか、信用するわけがない。


「少しは成長しろよ! 詐欺師に騙されやがって!」


 鎧の修理を行うと詐欺行為をする職人というか名工を名乗る奴もいる。そのような人間に騙されたのだろう。


 これだからボンボンは! 少しは世間を勉強しろ!


 今までは周りの人間が面倒を見てきたので、名工と名乗る人間を疑いもしなかったのだろう。少しは疑えよ!


 応援しているユリウスたちが声をかけていた。


『離れろ! あいつの腕は危険だ!』


 ジルクも声を張り上げていた。普段は落ち着いているのに珍しい。


『パーツの切り離しです! すぐに逃げてください!』


 そんなジルクのアドバイスをブラッドが否定する。


『無理だ。パージする機能はオミットしている。グレッグ、なんとしても離れろ!』


 クリスがグレッグを大声で応援していた。


『グレッッグゥゥゥ! お前の力を見せてやれぇ!』


 お前はクールキャラだろうが! もっと落ち着いて応援してやれよ! でないと――。


『へへ、クリスにここまで言われたら頑張らないと駄目だな。行くぜぇぇぇ!』


 グレッグがやる気を見せて、アロガンツから無理矢理離れようとしていた。暴走する鎧は出力を上げ、アロガンツのパワーでなんとか押さえている状態。


 ……長くは持たない。


『マスター、タイムリミットが近いですよ』


「……お前ら……最低だぁぁぁ! 俺にこんなことをさせやがって!」


 俺は俯いて……震える指でトリガーを引いた。


 ルクシオンが軽い感じで、


『いんぱくと~』


 と言うと、左腕の装甲が展開して光を放つ。


 衝撃波がグレッグの乗る鎧を襲い、そしてバラバラに弾け飛んだ。操縦者であるグレッグは気を失っているが、無事な状態で地面に落ちる。鎧だけを破壊するアロガンツの攻撃手段があって本当に良かった。良かったが……。


「……もうヤだ」


『お疲れ様でした。いや~、あの五人は強敵でしたね』


 ……静まりかえる会場。


 俺はトリガーを引いたが、観客は俺に引いていた。ドン引きである。


 そして遅れて聞こえてくるのは、マリエの叫び声だった。



「イギャヤァァァァァアアアァァァァ! 私の五十万がぁぁぁ! 全財産がぁぁぁ!」


 両手で頭を押さえ、絶叫するマリエの側でカイルが耳を押さえていた。


 目の前に立つのはアロガンツ――バラバラに吹き飛んだみんなの鎧を見て、マリエは叫ばずにはいられなかった。


「あ~あ。見事にバラバラですね。流石に修理は不可能じゃないですか?」


 真っ白に燃え尽きたマリエが、その場に倒れてピクピクと痙攣していた。


 カイルが慌てて駆け寄る。


「ちょっと! ご主人様!?」


 ピクピクと震えるマリエは、うわごとのように呟く。


「こ、これは夢よ。そう、私はみんなに囲まれて、何でもない日でも祝われるの。今日はマリエの笑顔が見られた記念日とか言って、みんなで私にプレゼントをくれるの。間違っても鎧を自慢してこないの。それをあのモブ野郎のリオンに壊されるなんて絶対駄目。壊れたら……売れない……私の五十万ディア……生活費が……借金は嫌……夢、そうこれは夢なの。私はベッドの中にいて、ちょっと怖い夢を見ていただけなの」


 カイルが冷静にツッコミを入れている。


「いや、現実ですって。いい加減に妄想の世界から目を覚ましてくださいよ」


 鎧と一緒にマリエの財産の全てがリオンに吹き飛ばされてしまった。


 マリエは現実を直視できない程の精神的、金銭的なダメージを受ける。


 リオンにも心に大きなダメージを与え、両者痛み分けの形となった。

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― 新着の感想 ―
[良い点] コメディリリーフとして完璧だよ、五人の顔だけダメンズに囲まれる借金令嬢モノとして仕上がってる(ハーフエルフ君は優秀だから省く)
[一言] 身から出た錆とは言え、こんなダメンズ集団を見捨てずにいるマリエはある意味で器がデカいよ・・・
[良い点] ルク君かわゆす
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