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盾の勇者の成り上がり  作者: アネコユサギ
外伝 槍の勇者のやり直し
589/1260

正しくて間違っている

「エイミングランサーⅩ! ブリューナクⅩ! グングニルⅩ! リベレイション・ファイアストームⅩ! ハハハ! 弱い! 弱過ぎるぞぉおお!」

「キ、キタムラ殿! 少し落ちついて――うああああああっ!?」


 そうして凶悪な魔物の生息する、前回の周回でも荒らした山奥に向かったのですぞ。

 戦闘中エクレアは俺にしがみ付きながら、泣き事を言っていましたな。

 僅か数時間での出来事でしたが、エクレアのLvがそこそこ上がりましたな。


 本当は夜間戦闘をしたかったのですが、お義父さん達と武器の強化講習をしなくてはいけないので帰ってきたのですぞ。

 帰ってくるとエクレアは真っ白になって部屋の入り口で座り込んでいましたな。


「燃え尽きたよ、真っ白に……」


 お義父さんが真っ白になったエクレアの前で何度か顔に手を振った後、何やら呟いています。

 エクレアはお義父さんに反応も出来ないのか、そのままの状態ですな。


「尚文さん、何かのパロディなんでしょうが、数日後の僕達かもしれないのですからふざけない方が良いですよ」

「そ、そうだね」

「正直、何があったのかを後で聞くことになるんだろうが、知りたくもないと思ってしまう」


 錬がエクレアを哀れな者を見る目で同情しておりますぞ。

 そんなおかしなことをしましたかな?

 普通にLvを上げてきただけですぞ。


「最初の世界でお義父さんがフィーロたんに頼んで仲間を育てさせる時にやっていた事だと思いますぞ」

「未来の俺ってホント何やった人なの!?」


 お義父さんが驚愕の表情で告げます。

 気になりますかな?

 俺は過去にお義父さんが行なった栄光を語る気が満々になってきました。


「エクレールさんが真っ白になるって何をしたんだろう」

「今は元康さんから未来に関する話の方を最優先した方が良いんじゃないですか?」

「そうだな。正直、これからの事を考えたら俺達には必要な事だろう」

「うん。ゲームの様にステータスがある世界で、Lv一ケタな訳だしね」

「仲間も現状では募るのは危険だ。今は元康に色々と聞くしかない」

「未来では錬と樹は自分の信じたゲームだと思い込んでいましたな」


 大きな進展では無いですかな?

 というかお義父さんの栄光は言えず仕舞いですか。

 徹夜になっても話していられる自信があったのですがな。


「まあ……もしかしたらという考えは確かにある。俺の知るゲーム知識を試して、実践したら確信を持つだろうな」


 錬は腕を組んで何度も頷きますぞ。


「現に昨日の夜までの戦いで確信を得ようとしていた最中だった」

「僕もそうだったのですけど、経験値が入らなくて首を傾げていた所ですよ」

「俺は……一応、話を聞いてはいたけど実践するまでには至らなかった所だね」


 お義父さん達は和気あいあいと話を聞いてくださいます。

 良い傾向ですぞ。

 上手く信じてくださればこの先ぐっと戦いが楽になりますし、これまでのループで起こった事件を未然に防ぐことが可能なのですぞ。


「では強化方法からですな」


 俺の言葉にお義父さん達は頷きました。


「まず、錬と樹が知る強化方法に関してですぞ。本来は俺もですかな?」

「ああ」

「はい、僕達の知る強化方法が何なのですか?」

「おそらく素材や条件さえ合えば自分が知っている強化方法は出来ますぞ」

「まあ……それに関しては否定のしようが無いな。実際に試した」

「ですが……違うのでしょう?」

「正解であると同時に間違いですぞ」


 俺の返答に錬と樹は首を傾げます。


「最初の世界の俺達は使えるようになって、それ以外のループの俺達は使えなかった……何が理由なんだ?」

「大きな挫折を経験しないといけないと言う奴ですか?」

「俺は出来たんだよね? その違いじゃない?」


 お義父さん達が考案をしていますな。

 一度に詰め込むと混乱するでしょうし信じるのには重要なプロセスですな。

 前々回や前回のお義父さんも実際に使えるようになるのに少しかみ砕く必要があった様ですからな。


「で、元康。答えは何なんだ?」

「それは勇者同士の仲違いの所為で出来なかったのですぞ」

「ふむ……」

「あ、なんとなくわかりました」

「俺も」


 樹とお義父さんが手を上げて答えます。

 錬は首を傾げていますな。


「昔やったギャルゲに似たのがある。サバイバル物だったと思うんだけど、プレイヤー同士でルールや出来る能力に違いがあるんだけど、ルールに関してはプレイヤー同士で情報交換が必要なんだ。知らないルールを違反してゲームから除外とかね」

「僕は小説で読んだことがあります。おそらくそんな感じで僕達の知る強化方法は、実は共有できるのではないですか?」

「なるほど、だから正しくて間違っているのか」


 錬も納得したように頷きました。


「正解ですぞ。錬や樹、俺の強化方法は共有する事が可能で、強化する事によって何倍もの強さを得ることが出来るのですぞ」

「似たゲームだからとチュートリアルを飛ばして知っている強化方法で進んだ所為で行き詰る感じだったのか?」

「あー……わかる。他にも情報とかを知らずにやってると実は大きく見落としてるとかあるよね」

「例えば敏捷が優遇だと似たゲームの知識でプレイして、実は死にステータスだったみたいな物か」

「あるある。シリーズ物とかで大きくシステム変わると間違う感じ」


 うんうんとお義父さん達は頷きますぞ。

 さすがは何だかんだでゲーマーですな。

 鉄は熱いうちに打て作戦は順調ですぞ。

 上手く行くかは賭けですがな。


「ただ、この強化方法の共有は相手の言う事を心の底から信じていないと出ないのですぞ」


 俺の言葉に錬と樹が唾を飲みましたな。


「なるほど、僕達が勇者を出し抜く相手だと認識し、しかも尚文さんが強姦魔の汚名、果てに自分たちの信じるゲーム世界に転移したんだと思いこんでいたら到底、信じようと思える話ではありませんね」

「わからなくもない。まだ俺も半信半疑だと思ってしまっている。元康のあの強さを前にしてもだ」

「では錬さんは出来ないのでは?」

「努力をしてみるしかない。信じるなんて意識して出来るかわからないけどな」

「俺はそんな四面楚歌の状態で良く信じられたね」

「いや、尚文の場合はそんな状況だったからこそ信じられたのかもしれない」

「どういう事?」

「良く考えて見てください。そんな状況では失う物は何もなく、しかも自身の強化方法なんて無いのですよ?」

「な、なるほど、何もないからこその信用だったのか……」


 お義父さん達は独自の推理を展開して行きます。

 俺が話さなくても真理を理解してくださっていますな。

 どうしてカルミラ島に到着する頃に、ここまでの成長をしなかったのでしょうか。


 今にしてみれば不思議でしょうがありません。

 これも全て赤豚が原因ですな。

 奴は既にこの世に居ないので良い方向に進む事を祈りますぞ。


「もちろん、共有している強化方法もあるのが、ある意味罠なのですぞ」

「ドロップとウェポンコピーだな」

「そんなのがあるんだ?」

「一昨日はヘルプを見て、知っている前提で狩り場の話をしたからしょうがないな」

「ええ……しかもヘルプに堂々と載っているのが問題なんですよ。他の強化方法は……おそらく共有してやっと出現するとかの条件制だとすると厄介極まりないです」

「一部は正解で、残りが間違いだと言える……とんだトラップだな」

「どうやら元康さんの話では僕達はゲーム知識のままに行動して、大災害を起こしてしまうそうですし、問題は他にもあるのでしょう」

「で? つまり錬や樹、元康くんの強化方法は共有可能と前提で話を進めていくのが良いのかな?」

「そうですな。今は強化に必要な素材もありませんし、それぞれ武具も揃っていないので試せませんが覚えておいてほしいですぞ」


 お義父さん達は何度も頷きました。


「ちなみに樹に教える事と言いますと、異世界文字理解という技能のある武器は今の所、見つかっていませんな」

「なんで僕を指定しているのかわかりませんが……」

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