ポイントギフター突然の追放!
「フィルド。お前はもう必要ないんだ」
俺――フィルドはギルドマスターのクロードから突然そう告げられる。
金髪をした色白の美青年でオールラウンドに活躍できる高レベル魔法剣士である事を鼻にかけていた。
「な、なんだって! せ、説明してくれ! どうして俺が必要ないんだ!」
ギルド『栄光の光』に所属している俺は【ポイントギフター】として何年も貢献してきた。
しかし理不尽にも突然そう告げられた。
「聞こえなかったの? 私達はもう十分に強くなったの。ギルド『栄光の光』国内のトップギルドに成り上がったわ」
彼女の名はドロシー。魔女のような恰好をした美女だ。強烈な魔法を放つ魔法使いであり、自分の魔法と美貌を鼻にかけている嫌味な女だ。
「もう皆、レベルもマックスに近い。これ以上の経験値は必要ねぇ! なんたって俺達は既に最強なんだからなっ!」
筋肉質の剣士風の男は言う。彼の名はボブソン。一撃でどんなモンスターをも屠る物理攻撃の剛剣を放つ事を鼻にかけている。嫌味な男だ。
「そう。僕達、『栄光の光』にとって何もできない君はお荷物なんだよ」
眼鏡をかけた少年は言う。彼の名はカール。回復術士だ。どんなにHPが減っても一発で回復させられる事を鼻にかけている。嫌味な男だ。
ギルドの役員たちも完全に奢っていた。
「本当にいいのか?」
「え? 何がかしら?」
「俺のポイントギフターのスキルは、経験値を分配するだけじゃなく増加も……」
「経験値を増加したから何なのよ! だって私達のレベルはすでにもうマックスに近いのよ! これ以上の経験値は必要ないわ!」
「そうだ! 俺達は既に最強なんだ! これ以上の経験値は必要ねぇ!」
「所詮はレベル1の雑魚冒険者でしかないフィルドの【ポイントギフター】なんて無用の長物なんだ」
ギルドマスター、クロードも告げてくる。
「本当にいいのか? 俺のスキルで増加してた経験値を返してもらったら、お前らにも影響があるぞ?」
「クックック! アッハッハッハッハッハッハ! 見苦しい言い訳だ! そんな嘘八百を並べてまで、我がギルド『栄光の光』に残りたいのか!」
「哀れね。どこにも行く宛てがないからって、必死にしがみついてきちゃって」
「本当にいいのか? いいんだな?」
「良いから早く出ていけって。もうここにお前の居場所はないんだから」
「そうそう。お前みたいな役立たず雇ってる金でさ、うちは他所からエースを引き抜いたんだよ」
「そうよそうよ」
ギルドマスターも役員も好き放題に罵ってくる。
「そうか」
元々そうだったが。さらに嫌気が差した。もはや決定的だった。
俺は何年も貢献してきたつもりだったが待遇はよくならず、こき使う道具としか思われていなかった。
経験値がマックスになれば俺は無用の長物とばかりに切り捨てようとしているのだ。
こんなギルド、俺から辞めてやる! 俺はギルドからの離脱を心に決めた。
「わかったよ! 辞めてやるよ!」
「ええ。その言葉を聞きたかったわ」
「長い間お勤めご苦労さん。クックック」
「せいぜい、飢えて野垂れ死にしないようにな。退職金もゼロだからな。クックック」
「お金がなくなったら、物乞いでもして過ごせばいいんじゃない? きっとお似合いよ」
「おいおい。可哀想だろ。ドロシー。本当の事をいっちゃ」
「そうですよ。真実は時に人を傷つけるものです」
「くっ……!」
散々な言われように俺は表情を歪めた。
こうして『ポイントギフター』である俺はギルド『栄光の光』を去った。
◇
だがこの時、ギルドマスターも役員たちも気づいていなかった。
俺がギルドを去ったその直後、国内トップの成績を走り続けていたギルド『栄光の光』は崩壊の危機に直面することになるという事を。
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勇者召喚に巻き込まれたモブキャラの俺。女神の手違いで勇者が貰うはずのチートスキルを全部貰っていた。気づいたらモブの俺が世界を救っちゃってました。
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