[4a-12] FILE:震えた文字のメモ
一〇三四
信じがたい光景
トルハの街、北街門より市街に侵入したはずだった私は
雪にまみれた街の中に居た
外に出る道が見当たらない
背後にあるのは街壁ではなく見張り小屋のような石塔だ
通話符も不通
この奇妙な状況をなんとかして冬黎様にお伝えせねば
一〇四九
民家に入り込んで休憩
無人
燃料は無く、木製の家財を壊し燃やして暖を取る
寒い
何故雪が降っている
ここはどこだ
夏用の装備では寒さに耐えられず、雨に濡れた身体には更に厳しい
一切の人が消えたかのような、恐ろしいほど静かな街並みがどこまでも続く
街には当然あるべき街壁が見当たらない
この街の果てはどこだ。どこまで行けば出られるのだ
遠くに見える銀色の山々は明らかにあり得ないものだ
一一〇二?
おかしい
明らかにもう六時間は街を彷徨っているのに手元の時計は全く進まない
壊れてしまったのだろうか 秒針の進みが奇妙に遅い
ひとまず時計の通りに時間を記録する
徐々に日が暮れ始めている
どこからかオルゴールのような音が聞こえる気がする
何かが居る
一一一三 蠢く影
奇妙なものが日の暮れた街を徘徊
建物の中で息を殺す
寒い
温かいスープが欲しい
た す
けて
こ のさ き おお きな し んでん
2
かい か く れる
メモ
みたらきて
たすけて
こういうちょっとしたテキストを合間に挟みつつ進めていきますので、更新の間隔がちょっと乱れます。