第127.5話 ラティナの戦闘日記
本当にちょっとした短編です。
誤字修正なのですが、少々本編が行き詰っており、その後でまとめて修正させていただきます。
メンタル余裕ないときに修正は負担なので……。
なお、本編は9章終盤を執筆中です。1章分のストックが無いと死んじゃう病です。
○月×日
以前から戦いの記録を付けていたのだが、狂化した影響で荷物を紛失し、今までの日記も失ってしまったので、再び日記を付け直すことにした。
この日記の目的は、私の戦いの内容、結果を記録し、次に活かすことである。
仁殿の下僕となり、カスタール女王国の屋敷で生活することになったが、この屋敷には相当な強者が大勢いるらしいので、いい経験になるだろう。
○月□日 午前
この屋敷に来て最初に戦ったのはティラミスと言う名の少女だった。
私の攻撃を受けてもびくともせず、攻撃を受けた直後に反撃をすると言う荒々しい戦い方に翻弄され、隙が生まれたところに一撃を貰って気絶、敗北することになった。
<縮地法>には対応できていなかったが、ダメージがない事に焦り、攻撃が雑になったところを見事にやられてしまった。
持久力、集中力の低さは以前からの課題だったので、今後も集中的に伸ばしていきたいと思う。後、防御力の高い相手に対する切り札も欲しい所だ。
それにしても、ティラミス殿は何故あのナリであれ程までに硬いのだろうか?
本職は対魔物のパーティ戦らしいのだが、対人戦(私は魔物だが)においては、頑丈な身体を活かして前述の戦いをすると言う話だ。
そのような戦い方を仁殿に見られるのが嫌らしく、見知らぬ闘技場に連れていかれる事になった。
強敵ではあるが、絶対に勝てないと思うような相手ではなかった。
今まで戦った中で、私がいくら成長しても絶対に勝てないと思ったのは仁殿とマリア殿だけだ。だからこそ、私の全てを捧げるに相応しい。
○月□日 午後
本日は月夜と言う魔物の女性と戦うことになった。
何でも、仁殿の寵愛を受けたので風呂を浴びに行く途中だったそうだ。
私も寵愛を受けたいと言ったのだが、吸血鬼じゃ無理と言われてしまった。解せぬ。
強そうな相手だったので何とか頼み込んで、模擬戦をしてもらうことになった。
凄まじく激しい戦いだった。意識が朦朧としていて、戦いの詳細を覚えていない程だったが、とにかく凄まじかった事だけは覚えている。
気が付いたら、私1人が大の字になって倒れていた。
恐らく負けたのだろう。
不思議なことに、戦いの中でボロボロになったと思っていた服が完全に直っていた。
目が覚めた時に丁度月夜殿が風呂から上がって部屋に戻るところだった。30分は戦っていたと思うのだが、時間は40分くらいしか経っていなかった。月夜殿は早風呂なのだろう。
○月△日 午前
本日はシンシアと言う少女と戦うことになった。
一見すると屋敷でよく見かけるようなメイドなのだが、その実力は私の直感が反応する程に高かった。この屋敷では見た目が実力と一致しないので面白いと思う。
シンシア殿の戦闘スタイルは私と同じ徒手空拳だった。
以前は棒術を中心に使っていたらしいのだが、最近は無手の戦いを模索している最中と言うことだ。
専ら迷宮で魔物との戦いに明け暮れており、人型の相手との戦いは慣れていないようだ。
そのせいか序盤はぎこちない部分もあったのだが、戦闘中の成長速度が恐ろしく高い子だった。2度同じ手は通じず、頼みの初回も恐ろしいほどの反応速度で回避していた。
人を相手にしているのに、まるで野生の獣でも相手をしているような錯覚に襲われてしまった。末恐ろしい少女である。
結末は相打ちによる両者気絶だった。奥の手である<竜血覚醒>を使ってかろうじて相打ちを拾えた。あの成長率を考えると、恐らく次に戦った時には勝てないな。
○月△日 午後
午後はクロードと言う少年冒険者と戦った。
闘う前に話を聞いて驚いたのだが、クロード殿は以前私の父と戦ったことがあるようだ。
父を相手にたった4人で勝利したと言うクロード殿が相手と言うことで、否が応でも期待が高まる。
なお、クロード殿が使う剣は仁殿が持ってきた模擬戦用の木剣なので、間違って死ぬ恐れはない。私も<手加減>と言うスキルを使うように指示されているので、間違ってもどちらかが死ぬことはない。
最悪、死んでも大丈夫と言っていたが、一体どういう事だろうか?
クロード殿は、この屋敷に居る戦士にしては珍しく真っ当な戦術をとっていた。盾で攻撃をいなし、隙をついて剣で攻撃してくると言うものだ。
私と同じく<縮地法>を使える相手は珍しいので、良い経験になったと思う。<縮地法>はほんの一瞬ではあるが、目で見ている物が急に切り替わる時に隙が出来る。その隙を狙い合う緊張感のある戦いが出来た。
私が勝負を決めようと<竜血覚醒>を使った時、クロード殿も覚悟を決めたような目をした。気が付いたら私は地面に突っ伏していた。
月夜殿との戦いと同じく、いつの間にか意識を刈り取られていたのだろう。
聞いた話によると、今練習中の必殺技を使ったようだ。詳細は教えてくれなかったが、父を単独で相手取るために練習している技のようだ。
4人がかりでなく、1人で戦えるようになりたいと言っていた。
素晴らしい向上心を持った少年である。
しかし、仁殿の前でのみ怯えた子犬のようになっているのは何故なのだろう?
月 日
今日……タモ……戦……(文字がグシャグシャになっていて読めない)
○月☆日
絶対に勝てないと思う相手が1人増えた。タモ様だ。
登場人物紹介は昼12時に投稿します。
1月1日投稿とかは予定していません。パッションが溢れ出ない限り。