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♯たのしいのみかい

「異世界無双には向かない国民性」の「31.#サブカルの深淵より現れたる属性(1)」まで読んだ状態で考えた妄想ネタです。

なんやかんやあって、なんかいい感じに事件を解決した3人+1名。

街に戻ってまっさきにしたことは、『魔菌退治』のクエスト受注だった…。


「うん、それ、飲み会に使う酒が足りない、っていう意味だよね?」


「なにを当然のことを言っているのよ?

マリーの悩みも解決したわけだし、同族も助けられたし、あとは祝杯をあげるだけでしょ、おいしいお酒で。」


「うむ。それに、いざという時のために、あのポーションはある程度常備しておきたいものだしな。

魔菌退治の依頼で旅人も助かる、私たちは高品質のポーションを入手出来て報酬までもらえる。良いことづくめだろう。」


「いや、まあ材料がたくさんあれば簡単に作れるけどね!」


「そうだろう、それなら、そう嫌がることはあるまい。」


「そんなこと言われても、なんか嫌な予感しかしないというか…!」


「たろぅ、さん。おね、がぃ、します。」


「いや、名前のほうはともかくとして、会話は普通にできたよね!?

 なんでそっちも慣れない感じにしてるの!?」


「ターロが原案を出した『けもなー布教の書』に使う予定のアイディアよね。子供の獣人がちょっと舌足らずな感じでしゃべるの。

 自分で言ったってことは、そういうのも好きなんでしょ?よかったじゃない。」


「いや、好きですよ!好きですけどね!

 そーいう『狙って言ってる』のと『自然と慣れない感じになっちゃう』のは似て非なるものなんですよ!

 こう、自然に咲き誇る花と、鉢植えに育てられた花の違いって言ったらいいのかな、まあ例えはわからないけど、とにかく違うんですよ似てるけど!!」


「似てるならいいじゃない、って思うけど、違うのねー。」


「だが、ターロ。顔は喜んでいる表情になっているぞ。」


「えっ!?」


「嫌ではない、のよね。たぶん。

 とりあえず、深入りしない、遠距離から当てられるならなるべく遠距離から狙う。

 あと、いざとなったら依頼失敗でもいいから逃げる。その条件で行ってみる、ってことでいい?」


「あ、うん。そういうことなら。

 意外に、今回は慎重なんだね。」


「私だってあんなことの後で無駄に命の危険にあう気はないわよ。

 でも、『いざという時のために』あのポーションのためならある程度の苦労はするつもりだけどね。

 ターロに魔法を使ってもらうまでの道を切り開くくらいは、私たちでもなんとかなるでしょ。」


………


「そろそろのようね。」


「そのようですね。今回は前回のようなことがないようにしっかりと確認しながら来たので安心なはずです。

 では、準備いたしましょう。」


「なんかやけに大荷物だと思ってたけど、それもしかして全部米!?」


「いや、米だけではない。材料がない場所かもしれないと思ったからな。土もちゃんと持ってきている。」


「その通りよ。今回は入れ物が足りなくならないように、水を入れてきた容器を再利用できるようにしてあるわ。」


「ちょっと待って、土って、かなり重いよね!?

 エルヴィーラが背負っていた荷物とか、ものすごい重さだと思うんだけどそれ!」


「なにを言ってるのかしら?

 オンセンに入る前でもこの程度の量はちょっと無理をすれば運べる程度だったのよ。」


「その通りだ。そして今の私たちはオンセンのおかげであの時とは比べ物にならない程の力を得た。

 それを考えれば、この程度の荷物を持った状態でも、あの頃の身軽な状態よりも戦えるくらいの余裕はある。」


「ちょっと待って、それ持った状態でもあの時より強い、って、本当に!?」


「なにを驚いている。もはや別の生き物と言っていいくらいに違うのだ。筋力、素早さ、技量、すべてが以前とは比べものにならないほどにな。

 この程度の荷物でそれが帳消しになるはずもあるまい。」


「いや、この程度って、格闘家とかでも戦えなくなりそうな量…!

 まあそういう世界か…。気にしても始まらない、って思ったほうがラクなのかもね。」


「そうそう、悩むより、まずは魔菌をやっつけて(お酒を造って)からにしましょ。

 またあの時みたいにもなりたくないでしょ?」


「あ、うん。たしかに。」


なんか心の声が聞こえた気がしたが。この後めちゃくちゃ醸した。


………


「あの…。3人とも。ちょっと聞きたいことがあるんですが?」


「たーろ、どーしたの?

 わざわざ聞かなくても、まだまだたーくさんポーションはあるわよー。」


「うむ。材料をたくさん持ってきたかいがあったな。」


「持ち帰れないほどになると……思いませんでしたね。」


「いや、完全に計画的だったよね!?思ってたって言いそうになってたよね?

 前回の量でもわりと持って帰るの大変な量だったのに、米の量とかぜんぜん違ったもんね!

 わざわざレジャーシートみたいなものまで持ち込んでるし!」


 そこまで言うと、エルヴィーラに近距離から見つめられる。

 レジャーシートの小ささのおかげである。


「ターロ。私は、このポーションについて、素晴らしい事実に気付いた。」


「え、素晴らしいってこの状況のこと?

 いや、そうじゃなくてポーションか。なにに気付いたの?」


「酔い過ぎの頭痛も、治療できる。

 酔い自体も、限度一歩手前で、回復できる。そしてまた酔える。

 そして、お腹いっぱいになってしまうことさえも、治療で回復できる!

 つまりだ。このポーションは無限に飲めるということなのだ!!」


「すごい!エルヴィーラ天才っ!」


「さすがです~。」


「持てない分は腹に納めちゃうってこと!?

 体重とかどうなるんだろう!?」


「たろぅさん、いけないんですよ~。

 たいじゅーとかー、れでぃにきくひとはー、おしおきされるのですー。」


「そのとおり~!

 一番、アメリア、ターロを捕獲しまーす!」


「2番、エルヴィーラ、即興で請願魔法を構築してみます。」


「あれ、なんかいつの間にかマリーが泥酔してる!?

 3人の中でブレーキ役だと思ってたのに!?

 限界一歩手前って、意識が飛ぶ一歩前ってこと!?」


「だいじょーぶですよー。

 たろぅさんも、あとで、おさけをのめばー、みんななかまー。うふふふふ~。」


「ポーションで、治るくらいで、済むのかな……?」


五七五っぽくなった気がした。辞世の句っぽくて不吉な気がした。


「さんばーん、まりー、たろぅさんに、ぎゅーってするのー。」


アメリアに後ろから抱きしめられ、マリーに前からくっつかれ、前後から素敵な感触を感じる。

笑顔で魔術の請願文を作成しているエルヴィーラが見えなければ、こんな幸せな状態はないと断言できるのだが。


「うむ、この文は我ながら素晴らしい。実験してみよう!」


「あきらかに こちらをむいて いますよね   太朗」


 やっぱり五七五になった。




 ……

 

 冒険者ギルド 機密ファイル 現象名『妖精が踊る森』

 ※現状のところ、報告が1件しかなく、その報告者たちも自分の記憶が定かでないとの自己申告があったため、未確認情報として扱う。

 報告日時×××× 時刻××

 3名の冒険者と同行人1名が魔菌退治のクエストに出かけた。

 3人の冒険者の名前、階級は伏せる(それらの情報が必要な場合は上位機密ファイルを参照のこと)が、彼ら(もしくは彼女ら)の実力を考えれば、距離、難易度の両方から考えても「簡単な依頼」であったはずである。

 しかし、4人が戻ったのは1週間後。しかも、服や防具はボロボロになった状態であった。

 その後、ほかの冒険者が『大量の酒瓶』を同じ森で発見した。4人が1週間で飲む量としてはあり得ない量であると考えられるため、もし今回の現象に関連するとすれば『その酒を飲んだ何者かが関わっている』という推測が成り立つ。

 4人が森にいたとされる時期に、『正体不明の歌声』や『恐怖を呼ぶ叫び声』が聞こえたという証言もあり、何者かの干渉、妨害により4人が帰れなくなっていたという推測がなされた。

 酒に関連する性格、人を惑わす性質から、『闇の精霊ドヴェルグ』の仕業ではないかと考えられるため、聖戦士や格闘僧などによる討伐隊が出されたが、対象の発見はできなかった。

 現状に変化があるような追加情報があるまで一般市民にはこの現象についての情報は伏せられる。

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