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―23― アゾット剣

「みなにはこの学院で最も貴重な物を紹介する」


 Dクラスの生徒たちは大広間に集まっていた。

 その大広間の中央。

 ガラスケースに入れられた一本の剣が収められている。


「この剣は賢者パラケルススの聖遺物のひとつ、アゾット剣だ」


 そうセリア先生が言うと、生徒たちがざわついた。


「この剣が学院にあるおかげで、お前らは加護を得られている。具体的に言うと治癒魔術が強化される。他には自然治癒力の強化や致命傷を受けにくいといった加護も得られる。つまり、お前らがこの学院にいる限りは滅多に死なないってことだ。安心してお前らは魔術で殺し合え。それがお前ら生徒たちの義務だ」


 殺し合え、なんて非常に物騒な言葉だが、アゾット剣がある限りなんら問題がない。

 このアゾット剣は、プラム魔術学院が国内最難関の学院であることをたらしめる象徴のようなもの。

 そして、俺がこの学院に来た理由でもある。


「噂には聞いていましたが、実物を見ると圧巻ですね……」


 隣にいたミレイアが感想を述べる。


「欲しいな」


 それに釣られてか、俺も思ったことを口にしてしまう。


「えっ」


 と、ミレイアが声をあげて驚く。


「ちなみに言っておくが、このアゾット剣は大変貴重な物だ。興味本位でガラスケースから取り出そうとするなよ。トラップ式の魔法陣が発動する仕組みだからな」


 まるで俺の心でも見透かしたように、先生が注意を促した。

 確かに、ぱっと見るだけでも三重のトラップ型の魔法陣が施されている。恐らく、俺でも気がつけないような魔法陣が他にも複数はられているだろう。


 どうにかして手に入れたい。

 そうじゃないと、この学院に来た意味がないからな。

 アゾット剣は〈賢者の石〉の生成のヒントになる可能性が非常に高い。

 というのも、アゾット剣の柄には〈賢者の石〉が埋め込まれていたという伝承がある。

 アゾット剣そのものに加護があるのも、〈賢者の石〉のおかげだとされている。

 今は〈賢者の石〉こそ失われているが、アゾット剣を調べれば、〈賢者の石〉の生成に近づける可能性が高い。

 だから、この学院に来た理由は、アゾット剣だと言っても過言ではない。


「アベルさん、冗談ですよね」


 ふと、心配そうにミレイアがそう口にする。


「まぁな」


 そう答えつつも、アゾット剣を手にする現実的な方法を頭の中で模索していた。



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