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桜の国チェリンと七聖剣【完】

【11月20日:追記】

↓のあとがき欄に『一億年ボタンに関する大切なお知らせ』を掲載しておりますので、読者のみなさまは一度目を通していただけますと幸いです。(※他作品の宣伝などではありません&悪いお知らせではありません)


 狐金融(きつねきんゆう)の黒服と別れた俺たちは、改めてバッカスさんのお墓と向き合う。


(……本当に立派だな)


 桜吹雪の()られた大きな墓石の傍には、生前のバッカスさんが振るっていた大太刀(おおたち)、彼の一張羅(いっしょうら)である青羽織(あおばおり)大樽(おおだる)に入ったチェリンの地酒が供えられている。


 バッカスさんの豪快な気質に合った、これ以上ないほど立派なお墓だ。


「お爺様、みんなが来てくれましたよ」


 ローズは柔らかく微笑み、優しく語り掛けた。


 それから俺たちは、持参した花・お酒・ツマミなど、思い思いの品を墓前に供え――故人の冥福(めいふく)を祈り、各々の想いを告げる。


「バッカスさん……この命を助けていただき、本当にありがとうございました。あなたと過ごした一週間は、かけがえのない宝物です」


 俺がそうして頭を下げると、


「バッカスの爺さん、うちの大切な生徒を守ってくれたこと、感謝している。あんたとはいろいろあったが……今となっては、どれもいい思い出ばかりだ。またいつか一緒に、酒を呑み交わそう」


 レイア先生はとても悲しそうに笑い、


「バッカスさん、この御恩は一生忘れません」


 会長は瞳を(うる)ませながら腰を折り、


「ぅ、うぉおおおおん……っ。バッカスのおっさん……私、もっと強くなっから……。おっさんみたいに世界最強の剣士になっから……だから、だから……天国から見ててくれよぉ゛……!」


 リリム先輩は大粒の涙をボロボロと流し、


「心の底から感謝しているんですけど……ありがとうございました……っ」


 フェリス先輩は唇を噛み締めながら深々と頭を下げ、


「バッカスさんの魂装の力で、命を救ってもらったと聞きました。本当に、本当にありがとうございます。――私がお酒を呑める年になったら、今度こそ一緒に呑みましょうね」


 リアは謝意を告げると共に将来の約束を結び、


「お爺様……最期の鏡桜斬(きょうおうざん)、本当にお見事でした。これからは私が、桜華一刀流十七代目正統継承者として、この剣を引き継いでいきます」


 ローズは自身の胸元に刻まれた桜の文様に手をかざし、静かに目を閉じる。


 みんながバッカスさんを(しの)ぶ中、ローズはこちらに向き直った。


「――なぁ、アレン。お爺様は強かっただろう?」


「あぁ、本当に強かったよ。特にあの斬撃は――桜華一刀流奥義鏡桜斬は、まさしく『世界最強の一撃』だった」


 天地鳴動(てんちめいどう)したあの凄まじい光景を、威風堂々としたあの勇ましい姿を、幾億(いくおく)と舞い散ったあの力強い斬撃を、俺は一生忘れないだろう。


「ふふっ、そうか。お前にそう言ってもらえて、天国のお爺様もきっと喜んでいるよ」


 ローズは嬉しそうに微笑んだ後、みんなに向けて問い掛ける。


「みんな、またいつか一緒にお爺様の墓参りに来てもらえないだろうか? この人はとにかく、(にぎ)やかなのが大好なんだ」


「あぁ、もちろん」


 俺がそういうと同時、みんなも力強くコクリと頷いた。


(――バッカスさん。また来年、お会いしましょうね)


 こうして俺たちはリーンガード皇国へ帰り、それぞれの日常へ戻っていくのだった。


なんと本日11月20日、一億年ボタン最新『第8巻』が発売されました!

早速、表紙イラストをドドンと大公開!(ページの最下部にあります!)


第8巻は桜の国チェリン編!

Web版を読んでいる皆さんならば、既に御存じかと思われますが……この章はとにかく『超濃密』!


そしてそして――もちろん今回も『超大量の加筆修正』を実施しております!

追加された日常会話・戦闘場面の強化・イベントの深堀りなどなど、改良に改良を重ねております!


それに何より、作者の仕事が忙し過ぎて、Web版ではかなりのぶつ切り更新となっておりましたが……。書籍版ではまとまってがっつりと読むことができます!


ちなみに……メロンブックス様でお買い上げいただいた場合は、店舗特典として書き下ろしSS『円縁桜』がついてきます!

※店舗特典は全て『数量限定』となっておりますので、ご購入を検討くださっている際は、お早めにお願いいたします。


いやぁしかし、書籍版はもう桜の国チェリン編……。

なんだか凄いところまで来られたなぁ、という感じです。

それもこれも全ては、書籍版を購入して応援してくださっている、読者の皆々様のおかげです。

本当にありがとうございます……!


「そう言えば、書籍版はまだ買っていなかったな」という方は、この機会にご購入いただけますと、作者がめちゃくちゃ喜びます!


さらに部数を積み重ね、ついにシリーズ累計35万部を突破した『一億年ボタン』シリーズ!

今後とも応援、よろしくお願いいたします……!


月島秀一


P.S Web版の更新もまた近日中にやりますので、楽しみに待っていただけますと幸いです……!(次の章はまた本編がぐぐっと進みます! さらに懐かしのあの大人気(?)キャラも登場……!)

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― 新着の感想 ―
[一言] 神託の13騎士の女キャラはまだか〜 更新イヤッホォォォォイイ‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎ 書籍版マジ神、8巻の表紙イラストの左上バッカスさんがすげぇ威圧感だ
[気になる点] 前の魔族の襲撃の際に「ロードル家の末裔か!」とかチャリン王国編の戦闘の中に神聖な闇と邪悪な闇というのが出てきたので、ゼオンと魔族の間に因縁があって、そこにロードル家の家系の人達も関わっ…
[良い点] 次章はついにロードル家の秘密に迫る!? 楽しみにしています。永く待った甲斐が確かにあった! [気になる点] 墓前に置かれたバッカスさんの大太刀、大樽に入ったチェリンの地酒はともかく… 彼の…
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