表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

419/445

桜の国チェリンと七聖剣【百八十九】


 三日後。

 リアたちは何事もなく無事に退院。

 それぞれが自分の寮に戻った後、俺・リア・会長・リリム先輩・フェリス先輩――ローズを除いた生徒会メンバーは、千刃学院の一室に集まった。


「ローズ、やっぱり気を遣っているよな……」


 俺がポツリと呟けば、みんなは無言のままに頷く。

 リーンガード皇国に帰ってから、ローズはまったく弱音を吐かない。

 大好きなバッカスさんを亡くして、本当はとてもつらいはずなのに……。

 気丈で強くて優しい彼女は、俺たちに心配を掛けないよう、空元気を出しているのだ。


「あの子、自分に厳しいうえに、けっこう抱え込むタイプだからね……。こういうとき、どう接してあげたらいいのかな……」


 リアは難しい表情を浮かべ、


「ローズさんの心遣いを無駄にせず、彼女を元気付ける方法、か……」


 会長は真剣な表情で思考を巡らし、


「うーん……逆に考えてさ、熱くぶつかり合ってみたらどうだ?」


 リリム先輩はとても彼女らしい方策を述べ、


「ちょっと荒療治過ぎ。それが通用するのは、リリムみたいな単細胞だけなんですけど」


 すぐさまフェリス先輩に却下された。


 その後、みんなでいろいろと話し合った結果――「いつも通りでいよう」という意見でまとまった。


 ローズの気遣いを無駄にしないためにも、俺たちは可能な限り普段通りのままでいるべきだ。

 ただ、彼女のことは常に気を掛け、思い詰めていたり、悩んでいたりするようだったら、それとなく話を聞いてみる。


 ひとまずのところは、こういう形でまとまった。


 後もう一つ、『バッカスさんのお墓を建てたい』という案が上がった。


(彼の肉体は、光る粒子となって消えてしまったけれど……)


 世界最強の剣士が生きた証をこの世界に残したかった。

 そして何より、命を救ってもらったお礼をちゃんと伝えたかった。


 しかし、こちらの独りよがりな気持ちで、勝手にお墓を建てるわけにはいかない。

 当然ながらこの件は、ローズの意思を一番尊重する必要がある。


(問題は、いつこの話を切り出すか、だな……)


 俺がそんなことを考えていると、


「ローズさんの気持ちを確認するのなら、なるべく急いだ方がいいわ」


「えぇ、私もそう思います」


 会長とリアが、まったく同じ意見を述べた。


「アレンくん・バッカスさん・元皇帝直属の四騎士ディール・七聖剣フォン――世界屈指の四剣士が剣を交えたチェリンでは、近いうちに聖騎士協会による実地調査が行われるはずよ。『小国の戦争』に匹敵するほどの霊力が吹き荒れたあの戦闘、世界の恒久的な平和を目指す協会が見逃すわけないもの。そのときは多分、ちょっとした入国制限が敷かれるでしょうね」


「あの場には裏切り者のフォンがいたから、協会はきっと躍起になって霊力の残滓を調べ上げるわ。戦地となった無人島に限って言えば、年単位で立ち入り禁止になっちゃうかも……」


「なる、ほど……。確かにそれなら、急いだ方がよさそうですね」


 短期的な入国制限ならばともかく、年単位の立ち入り禁止はさすがに困る。


 こういった事情もあって、俺たちは全員で、ローズの寮へ向かうのだった。

新年あけましておめでとうございます。

ようやく年が明けましたね!

新たな一年のはじまり……気合を入れて、執筆に励もうと思います!(まだ未公開の新作も、気合を入れて書いております!)

次回更新はあまり日を置かず、2月4日(木)18時ごろ予定!(もしかしたら今後は、毎週木曜日の18時ごろ更新になるかも……?)


お楽しみにー!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 楽しみにしてました! 関係ないけどローズに告白の返事はまだしないのかな?それも含めて今後の展開がいっそう楽しみです!
[一言] いつも更新ありがとうございます。 私も更新頑張ります。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ