表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

415/445

桜の国チェリンと七聖剣【百八十五】


「私はなんらかの『選択』をするとき、必ず<涅槃水晶(ねはんすいしょう)>の力を使うようにしていてネ。未来の吉凶を視てから、本当にその選択を採るのかどうかを決めるんダ」


<涅槃水晶>の解釈によれば、自分の選択次第で、未来はどんどん変わっていくものらしい。


「最初に異変が起こったのは三日前、出張先としてオーレストを選んだとき、魂装の刀身に暗い陰が――『小さな凶事』の前触れが顕れたんダ。まぁこれぐらいのことなら、過去にいくらでもあっタ。『オーレストで、小さな凶事が待ち受けているのだろウ』、軽い警戒心を抱きつつ、この街へ行くことに決めたヨ」


「なるほど」


「オーレストへ赴任してから、たくさんの選択をしてきたけれども、特になんの変化もなかったヨ。<涅槃水晶>はずっと『小さな凶事』を示したままダ。しかし数時間前、アレンくんの診察を買って出た直後、突然その刀身がどす黒く染まり――『大きな凶事』の兆候を示しタ。ここで確信したヨ。私にとって、アレンくんこそが(・・・・・・・・)地雷なんだ(・・・・・)、とネ」


 ハプ博士はそう言って、診察デスクの上に置かれたコーヒーカップを手に取り、ズズズッとすすった。


「ただ……さっきも言った通り、私はどうしても君の体を調べたかっタ。目の前にぶら下げられた極上の人参(にんじん)――危ないとわかっていても、飛びつかずにはいられなかったヨ……。気付いたときには、何故か手元にアレン=ロードルの細胞検体があっタ。多分、精密検査のときにでも、こっそりと採取したんだろうネ」


「え、えー……っ」


 いくらなんでも、欲望に忠実過ぎるだろう。


「それから私は、アレンくんの細胞構造を秘密裏に調べ、『耐性の獲得』・『異常な剛筋』という(たぐ)(まれ)な特性を発見しタ。その結果が、これ(・・)ダ」


 彼は真剣な眼差しで、今にも折れそうになった刀身を見つめる。


「<涅槃水晶>に大きなひびが、<死の兆候>が出てしまっタ」


「それでさっきの結論――『これ以上俺のことを調べた場合、何者かによって殺される』に行き着くわけですね?」


「そういうことダ。理解が早くて助かるヨ」


 ハプ博士は満足気な顔でコクリと頷いた。


「正直なことを言わせてもらうならば……本当はもっと、もっともっともっト! 頭の天辺から爪の先、毛髪の細部に至るまで、アレンくんの体を調べ上げたイ! だけど、これ以上はさすがに危険過ぎル……ッ。だから、どうしようもなく残念だけど、君からは手を引かせてもらうヨ。私とて、自分の命は惜しいからネ……」


 彼はがっくりと肩を落としながら、欲望と悔恨の渦巻いた瞳で、俺の体をねっとりと見つめてくる。


「そ、そうですね! 俺もそれがいいと思います!」


 やっぱりこの人は、いろんな意味で怖い。

 多分、頭のネジが数本は飛んでいることだろう。


 そうして話が一段落したところで、ハプ博士がポンと手を打ち、


「そうダ。せっかくだし、アレンくんの未来も占ってあげよウ!」


 とんでもないことを言い出した。

「ば、馬鹿な!? もう次の話が投稿されただと!?」

「あり得ん! ほんの二日前に更新があったばかりだぞ……!?」


突然更新頻度が上がった理由はたった一つ、第六巻の原稿を書き上げたからです!

いやぁ、今回の原稿もかなりの加筆をさせていただきました。

ちなみに発売日は来年の2月20予定、まだちょっと先ですね。


作者の近況は、『仕事が忙しい』で終わってしまうので……。

一億年ボタンの近況でいきますと、第二巻・第四巻・第五巻・コミックス一巻が重版しました! ありがとうございます!


次回更新は12月15日(火)の11時05分頃。(こうやって予定として書くと、読者さんからの無言のプレッシャーが掛かるのでいいかもしれませんね)。

それではまた! 月島秀一

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] ヒロインが可愛い。 [一言] ば、馬鹿な!もう次の話が投稿されただと!?
[良い点] 更新頻度高いの神
[一言] めちゃくちゃ思考見透かされてるの草
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ