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桜の国チェリンと七聖剣【百七十二】


 バッカスの求めに応じ、億年桜は遥か悠久の時を越えて『満開』に咲き誇った。

 強靭な枝は音を立てて伸び、そこへいくつもの(つぼみ)が生まれ、淡い桜色のはなびらが実を結ぶ。

 それはまさに生命の発露。

 ()ゆる命の雄叫びが、桜の国チェリン中へ轟く。


「これが……完全解放された幻霊……!?」


「初めて見やしたが、こいつは壮観ですねぇ……」


 フォンとディールは、思わずゴクリと唾を呑む。


「ばらららら! どうだ、美しかろう? これぞ桜華一刀流に脈々と受け継がれし、億年桜の『真の姿』じゃ!」


 そうして高らかに笑うバッカスは――暴力的なまでの生命力に満ちていた。

 金剛の如き筋肉・鷹のように鋭い眼・凄まじい覇気、その姿はまさに圧巻の一言。

 彼は持てる全ての霊力と引き換えにして、億年桜から莫大な生命エネルギーを引き出したのだ。


 これでもうバッカスの命を支え続けた『完全再生』は使えない。

 戦闘が終われば、一刻の猶予もなく死に絶えるだろう。


 だがしかし――残り全ての寿命と引き換えにして買ったこの一時、このわずかな時間だけは『全盛期』、かつて『世界最強』と呼ばれた剣士の再臨だ。


「「……ッ」」


 彼の威容を前にしたフォンとディールは、思わず一歩後ろへ下がった。


 宝石と見紛うばかりの美しい花弁が、世界を桜化粧に染めていく中、


(ふっ、懐かしいのぅ……)


 バッカスの脳裏をよぎるのは、遥か昔――かつて『旧友』と武者修業の旅をしていたときのことだ。


【――のぅ、バレル(・・・)よ。その『破壊の子』とやらは、そんなに強いのか?】


【突然どうした?】


【いやなに、お前さんほどの剣士が、ここまで血眼になって探す子ども……。ちょいとばかし興味が湧いて来たんじゃよ】


【……アレは世界の秩序と(ことわり)を破壊し、とてつもない『大変革』をもたらす忌子(いみご)だ。『神聖な闇』と『邪悪な鬼』を一身に宿すその在り様は……『世界の負の遺産』とさえ言えるだろう。なんとしても時の仙人より早くそいつを見つけ出し、速やかに抹殺しなければならない。あのおぞましい『一億年ボタン』によって、封印が外される前に、な】


※とても大事なお話!


いよいよ本日、一億年ボタン第四巻が発売されました!

第四巻は新規書き下ろしエピソード&大量加筆修正が収録!

さらにはドラマCD付き特装版、ドラマCDの内容は完全書き下ろしエピソード『アレン=ロードルと双六の世界』。こちらなんと驚異の70分越えという大長編です!


そしてそして――今回は『特典SS』を四本も書かせていただきました!


アニメイト様:生徒会長シィ=アークストリアの性質

シィ・リリム・ティリスの三人が、目前に迫った千刃祭の作戦会議を行っていると……。話題はシィのちょっと恥ずかしい『とある性質』になり……!?


ゲーマーズ様:アレン袋叩き計画

千刃祭の準備期間中。

アレンがリアやローズたちと楽しく話している裏で、恐ろしい計画が始まろうとしていた……!?


メロンブックス様:アレンが好意を抱く人?

お昼休みの定例会議。

ついにアレンが『好意を抱く人』を告白する……!?


とらのあな様:リアの過酷な修業

リアは自身のお化け嫌いを克服するため、一人過酷な修業に乗り出したが……。


※これらは全て『数量限定』となっておりますので、ご購入を検討くださっている際は、どうかお早めにお願いいたします。


本日発売の第四巻、どうかご購入のほど、よろしくお願いいたします!

(次話は、来週中に頑張りたいなと思っております!)

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― 新着の感想 ―
[一言] うーん…闇と鬼、これはゼオンの事だろうし…アレンが忌み子なんだろうなぁ…そして、封印は解かれている。 …あれ?結構やばくね?
[一言] やはり藤田東湖の詩に由来するスキルですか
[良い点] とても面白いです [一言] 次話投稿待ってます
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