桜の国チェリンと七聖剣【百六十三】
※仕事が忙しすぎて、ちょっと遅れました……すみません!
「……私が桜の国チェリンへ飛び立つ直前、バレル=ローネリアが珍しく忠告を発した。『アレと遭遇した際は、最大限の注意を払え』、とな」
「あ゛ぁ? 突然、何を言ってんだ?」
「そのため私は戦闘が始まってからずっと、貴様のことを警戒していたつもりだ。しかし……実際は違った。所詮まだ子ども・未熟な魂装使いに過ぎない・世界の広さを知らぬ井の中の蛙だ――そんな愚かな侮りが、心の何処かにあったらしい」
奴はまるで懺悔するかのようにそう呟き、
「アレン=ロードル、私はもう貴様を格下として見ない。世界の頂点でしのぎを削る一流の剣士として――全身全霊をもって叩き潰させてもらおう」
小太刀の切っ先をこちらへ突き付けてきた。
「はっ、そんなつまんねぇ御託はどうだっていいんだよ。さっさと続きを始めんぞ」
「あぁ、始めよう。そして――終わらせよう」
フォンは右手の小太刀を逆手に持ち替え、それを力強く地面へ突き立てる。
「浄罪の砂鯨・第二形態――千変万砂」
その直後、宙を泳ぐ数多の砂鯨が一斉に『白銀の砂』を噴き出し、それはみるみるうちに『白銀の砂剣』へと形を変えていく。
「ほぉ゛、これまた壮観な光景じゃねぇか……」
俺の周囲を半球状に取り囲んだ白銀の砂剣、その総数はおよそ三千本。
「第一形態・鯨雲は、相手の力量と出方を伺う『見の型』。そしてこの第二形態・千変万砂は、敵を殲滅する『攻めの型』だ」
フォンは天高く右手を掲げ――勢いよく振り下ろす。
「序曲・白銀の舞」
刹那、俺の死角に位置する一本の剣が凄まじい速度で放たれた。
「――甘ぇよ!」
風切り音から射出された剣の位置を正確に割り出し、すぐさま黒剣をもって迎撃する。
白銀の砂剣と闇の黒剣、両者がぶつかり合ったその瞬間、
「――獄炎砂」
白銀の砂剣は爆散し、灼熱の流砂と化した。
「おいおい、これ全部か……!?」
超高速で飛来する砂粒、その全て回避することは難しく、
「ぐ、がぁあ゛あ゛あ゛あ゛!?」
俺は獄炎砂をもろに浴びてしまう。
それはまさに『煉獄の炎』。皮膚を溶かし、骨を焦がすほどの高熱を誇っていた。
「くそ、が……っ」
俺は分厚い闇を纏い、焼けただれた皮膚を回復させていく。
「――そうはさせん!」
フォンがすぐさま右手を薙げば、背後から風を切る鋭い音が響いた。
それも今度は同時に二本。
「う、ぜぇ……!」
俺は振り向きざまに横薙ぎの一閃を放ち、迫りくる白銀の砂剣を迎え撃つ。
その結果、
「――氷晶砂、雷轟砂!」
先ほどと同様の現象が起こり、極寒の氷と紫電の雷が俺の全身を襲った。
「~~ッ」
奴の操る砂は、まさに千変万化。
至近距離で捌くのは、あまりにも危険過ぎた。
「そういうことなら……接近してくる前に全部撃ち落としてやらぁ゛! ――闇の影ッ!」
俺はたまらず二十本の鋭利な闇を伸ばし、周囲に浮かぶ白銀の砂剣へ狙いを定めた。
すると次の瞬間、
「封曲・金色の舞」
「これ、は……!?」
足元から巨大な砂鯨が飛び出し、俺の全身を丸呑みにした。
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