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桜の国チェリンと七聖剣【百一】
迎えた春合宿最終日。
なんと言ってもこの日は、バッカスさんから桜華一刀流奥義鏡桜斬を教えてもらう大事な一日だ。
「――よし、いい調子だ」
柔軟・ランニング・素振り。早朝から軽いメニューをこなした俺は、気力と体力の充実具合に拳を握る。
(しかし、ふふっ……。楽しみだなぁ……っ)
かつて世界最強の剣士とまで言われた、バッカス=バレンシア。
そんな彼が放つ、桜華一刀流の奥義。
(果たして、いったいどれほどの斬撃なのか……)
期待に胸が膨らんでしまい、さっきからどうにも落ち着かない。
(とにかくこれは、一生に一度あるかないかの機会だ。絶対無駄にはできないぞ……!)
俺は大きく深呼吸をして、なんとか心を静まらせようとする。
「ふぅー……っと、もうこんな時間か」
ふと時計を見れば、時刻はお昼の十二時。
そろそろ、みんなでお昼ごはんを食べる時間だ。
「よし、行くか」
タオルで軽く汗を拭ってから、アークストリア家の食堂へ向かう。
それから俺は、リア・ローズ・会長・リリム先輩・フェリス先輩――みんなで一緒に春合宿最後の昼食を取った。