桜の国チェリンと七聖剣【百】
話が一旦の幕引きを見せたところで、会長は小さく息を吐き出した。
「アレンくん、付き合ってくれてありがと。おかげでスッキリすることができたわ」
「いえ、お役に立ててよかったです」
かなり重たい内容だったから、軽く胃もたれを起こしそうだけど……。
全てを話したことで、彼女の気持ちが楽になったんだ。
これ以上、望むところは何もない。
(さて、そろそろトイレに行こうかな……)
思いのほか長く話し込んでしまった。
さっと用を足して、今日はもう早いところ眠ろう。
俺がそんなことを考えていると、
「そ、それでなんだけど……怒ってない?」
会長は恐る恐るといった風に問い掛けてきた。
「えぇ、別に怒っていませんよ」
リゼさんを容疑者として推すかどうかの一件。
(確かに、少し思うところはあるけれど……)
それを彼女にぶつけるのは、お門違いというものだ。
「ほ、ほんとのほんと……?」
「ほんとのほんとです。それにほら『会長には一生嘘をつかない』、確かそう約束しましたよね?」
「……! そ、そっか。約束、したんだもんね……っ」
彼女はわずかに頬を染め、嬉しそうに微笑んだ。
「そ、それじゃ……お姉さんはもう寝るわね? おやすみなさい、アレンくん」
「はい。おやすみなさい、会長」
そうして俺たちは、互いに手を振り合いながら別れたのだった。