表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

324/445

桜の国チェリンと七聖剣【九十五】


「だ、誰のことを言っているんですか……!?」


 俺と関係の深い人が帝国へ情報を横流しした。

 そんなことを言われて、冷静さを保っていられるわけがない。


 すると――会長は神妙な面持ちを浮かべながら、その人物の名を口にした。


「五豪商の一人にして狐金融の元締め、悪名高き『血狐』リゼ=ドーラハイン。天子様を除く四大国の首脳陣は、満場一致で彼女の名前を挙げたわ」


「なっ!?」


 あの心優しい彼女が……裏切った……?


(そんなこと、絶対にあり得ないだろ……っ)


 去年の八月頃。

 リアがザク=ボンバールとトール=サモンズに誘拐されたあのとき、リゼさんは快く奴等の研究所の位置情報を教えてくれた。


(それだけじゃない……。大同商祭で初めて顔を会わせたときだって、彼女は俺たちのことを助けてくれた)


 黒の組織が仕掛けた爆弾が作動し、大同商館が吹き飛ばされたあのとき、魂装の力を展開して大爆発を消してくれたのは――他でもないリゼさんだ。


 もしも彼女が能力を使ってくれなければ……俺とリアとローズの三人は大怪我を負い、ドレスティアの街はとてつもない被害を受けただろう。


(そんなリゼさんが、裏切り者だと……?)


 それはいくらなんでも、性質(たち)の悪過ぎる冗談だ……っ。


 そうして俺が奥歯を強く噛み締めていると、


「ちょ、ちょっとストップ……! 落ち着いて、アレンくん! 体からとんでもなく邪悪な闇が漏れてるから……っ。お姉さん、さすがにちょっと怖いから……っ」


 会長は引きつった笑みを浮かべながら、一歩二歩三歩と後ずさったのだった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ