桜の国チェリンと七聖剣【九十三】
「問題の多い人、ですか……?」
「えぇ、元々七聖剣は変人奇人の集まりなんだけれど……。今回選ばれた四人は、その中でも特に異彩を放っているわ」
会長はそう言って、苦笑いを浮かべた。
「恐ろしいほど頭が固くて、全然融通の利かない人。『超』が付くほどの単細胞で、言われたことを言葉通りにしか実行できない人。まぁとにかく『絶対に情報を漏らさない・漏らすことさえできない』――聖騎士長様がそう判断を下した『困ったさん』ばかりなのよ」
「な、なるほど……」
聖騎士協会が誇る、人類最強の七剣士。
(『正義と剣術の頂』に立つ七聖剣が、まさかそんな問題のある集団だったとは……)
俺の持っていた『かっこいいイメージ』とは、かなり違っていた。
「まぁそういうわけで、七聖剣の四人も情報漏洩には関与してないと考えていいわ。というより、そういう風に考えないとこれから先やっていけないのよ……」
「そう、ですね……」
フォン=マスタングの離反によって、四大国の戦力はがっくりと落ちてしまった。
もしさらなる裏切り者が七聖剣から出た場合、帝国の悪行を止めることは現実的に困難なものとなるだろう。