桜の国チェリンと七聖剣【九十二】
「一応言っておくけど……。今の話は一般に公開されていないから、オフレコでお願いね?」
「はい、わかりました」
元五大国で発生した大虐殺。
そんなニュースが公に流れれば、とんでもないパニックとなってしまうだろう。
情報規制は至極当然の判断だ。
「でも、会長……。どうしてバレル=ローネリアは、七聖剣フォン=マスタングを黒の組織へ迎え入れたのでしょうか?」
本当にクーデターの危険を恐れたというのなら、七聖剣なんて真っ先に消しておきたい存在に思えるのだが……。
「うーん、そこはちょっとよくわからないのよね……。完璧主義だけれど、それ以上に実力主義だったとか?」
「実力主義、ですか……」
あまりしっくりとこないが、ここでどうこう考えても仕方がない。
「まぁとにかく。よっぽどの弱味でも握られていない限り、バレルのことを信用できるやつはいないでしょうね。そういうわけで、四大国の首脳陣が情報を漏らすことはあり得ないの」
「なるほど……」
よっぽどの弱味、か。
「次に七聖剣の裏切りなんだけど、これはもっと考えられないわね」
会長は苦笑いを浮かべ、肩を竦めた。
「今回『郵便屋さん』に選ばれた七聖剣の面々は……。なんというかその……いろんな意味で、問題の多い人ばかりなのよ」