表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
111/112

そして再生医療へ

 ユーリルたちが新たな命を生み出したころ、ブルート王国は活気に沸いていた。


 ――再生細胞が出来たのである


 つまり骨も、血も、失われた歯すらも自分の細胞から培養して再生できる。悲しい事だが吸血鬼だって虫歯の餌食になる。つまり歯が欠けると本性を現しても牙が欠けたままなのだ。しかし今後はそのような事にはならない。


 まだまだ発展途上だがこのようなことが可能だ。再生細胞が出来るという事は再生医療が出来るという事。視力を失った目であっても聴力を失った耳であってもだ。吸血鬼はいよいよ他の命から奪うのではなく自分から何かを全て生み出すという次元にようやく達した。


 もっとも最終的実現までは遠い。それまではまだまだ他の命から奪って吸血せねばならぬ。


 「私たちは魔族だ。ゆえにこのテクノロジーを間違った使い方にしてしまうかもしれない。だからこそ信じたい。人や魔族の可能性を。だからこれからも戒めの意味を込めて我々は『魔族』と名乗る。たとえ出自が人間だったと分かった吸血族であっても魔族と名乗ろう。それが戒めだ」


 国王は……事実上の魔王はそう語った。『c-Myc遺伝子』は人や魔族の体を癌にさせて死に至らしめる。しかしこのように再生細胞にもなる。きっと吸血鬼も再生細胞と本質が一緒なのかもしれない。しかも再生細胞は再ガン化することもある。吸血鬼と一緒じゃないか。だから自分に戒める必要があるのだ。


 血液増殖パックを見る。血液を増やせるのも再生細胞を使った応用法だ。これだって血液のガンつまり白血病になる恐れのあるものだ。これを使えばもう吸血鬼は他部族の血液を奪わずに済むのだろうか。いいや養殖物と天然物があるようにそれはないだろう。でも確実に言えることがある。


 ――もう血で血を洗う事はなくなるはずだ


 生まれて死んで、生まれて死んで。その先に何があるのかは生命の研究の究極の答えになる。


<終>

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ