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観賞者で干渉者  作者: 鷹村柚希
First world パターン:救世主補佐
8/29

第八話 長いものに巻かれたもの?私はロールケーキ派かバームクーヘン派かと言われたら断然伊達巻派だな



かかか感想が書かれている!!?Σ(゜д゜;)

感想だよ!?初感想だよ!?初めてのty

おひやさん、田舎モンさん、ありがとうございました!!


とゆうか2/23のユニークが513!?

なんか最高記録更新する度に驚いてる気がする!

実際驚いてる!!


皆様、本当にありがとうございます!

まだまだ未熟な点は多々ありますが、これからも「鑑賞者で干渉者」をよろしくお願いします!





    side out



(きら)びやかな玉座の前には、二人の人間が(たたず)んでいる。




一人は濃い茶髪に茶色の瞳の少年。

服装は紺生地の上着にグレーのズボン、清潔感のある白いワイシャツに、深緑色のネクタイ。なんら変わったところのない、一般的な高校のブレザーである。

表情は目に見えて緊張の色を(たた)えており、身体(からだ)の両脇にそえられた両手は、指が白くなる程強く握られていた。


もう一人は肩までの黒髪に黒い瞳の少女。

服装はデニムのジャケットに柄物のワンピース、そして茶色のロングブーツ。少年のフォーマルな雰囲気とは違い、随分カジュアルな服装である。

表情には全く緊張した様子は見られず、その落ち着きようは、まるで今から戦いにおもむく熟練の戦士のようでもあった。


全く共通点もなく、並べばどうにもちぐはぐに見える二人であったが、その服装や表情の違いからか、何故だかまるで対になるかのような雰囲気をかもし出していた。



「そなた達が、救世主と救世主補佐か?」



重厚な、国王の声が響き渡る。


少年は緊張を湛えながらも、返答すべくしっかりと玉座に座る国王を見返した。


「はい。救世主として参上いたしました、ノア・モリモトと申します」


「救世主補佐、ルリ・オオコウチ。ここに」


王の前とも思えぬ少女の尊大な態度に、周囲がザワついた。


国王も若干眉を寄せたが、そもそもこの二人に跪かせず立たせたままなことも、異世界との礼節の違いを懸念しての取り計らいであり、本来なら必要な礼等を免除させた故のことである。


そのため国王は一先ず少女の態度には触れず、言葉を続けた。


「私はこの国の国王、クリムゾン・オルタード・ディズ・イリステアである。ノアよ、そなたは救世主としてこの世界を救い、民に平和をもたらすことを誓うか?」


その言葉に、少年は国王を見据えたまましっかりと頷く。


「はい。俺はまだまだ未熟ですし、どこまでやれるかわかりませんが、救世主として()ばれたからには、この世界のために取り組んでいくことを誓います」


国王は少年の返答に満足気に頷くと、今度は少女に視線を向けた。


「ルリよ、そなたは救世主補佐として、ノアと共にこの世界を救うことを誓うか?」


周囲から、品定めするような視線が少女に注がれる。


少女はゆっくりと玉座の国王を見上げ、その口を開いた。




「断る」




少女達を取り巻く空間が一気にザワめく。


予想だにしなかった少女の返答に、何人もが不敬だと叫び立てるが、国王が無造作に片手を上げるとそれは一瞬で静まった。


「……それは、この世界を救うことを拒否するということであるか?」


横で青ざめてはらはらしている少年を尻目に、少女はクスリと不敵に笑ってみせた。


「私の考えを述べさせてもらっても?異界の王」


「許可する」


国王の言葉に、少女は微笑んだ。


「私は救世主補佐であり、救世主ではない。ならば、私に世界を救う道理はないとは思わないか?」


またもや周囲がザワめいた。


少女の発言内容と、国王を敬わない態度のせいだ。


「だが、そなたは救世主補佐であろう?補佐するべき救世主が世界を救うのであるなら、そなたも共に世界を救うべきではないのか?」


「そう、私は救世主補佐だ。だからこそ、私が守るべきものは世界ではない」


「ほう。ならばそなたは何を守ると言うのだ?」


国王の問いに、少女は今までの不敵な笑みを引っ込め、真面目な表情になる。


そして数歩前に出ると、片手でやや後ろに位置する少年を指し示した。



「私が守るものはただ一つ。世界ではなく、救世主ノア、その人だ」



先程とは別の理由で、ザワめきが広がった。


国王は、少女とその後ろで驚きの表情を浮かべている少年を交互に見、今度は何やら面白そうな笑みを浮かべた。


「ほう。そなたはこの世界を守る気はない、守るのは救世主自身である、と?」


「その通り。王の耳にも既に届いているのだろう?本当は、私が救世主になるはずだった。この場に立っているのは、私だけになるはずだった。だが、私が不甲斐ないばっかりに、ノアに救世主を押し付けた(・・・・・)


少女は何やら思考するように瞼を伏せ、次にその目を開いた時、そこにはなんの感情も浮かんでいなかった。


「救世主とも言えば大層名誉なことに聞こえるが、世界を救うともなれば、それなりの危険がともなう。私は、ノアをその危険にさらした。ならば私はノアを守ろう。世界など知ったことではないが、彼のために私は盾となり、剣となろう。例え彼以外の全てが滅んでも、私は彼を守り抜いてみせよう」


少女はそこまで一息に言うと、ふっと、これまでとは違う笑みを浮かべた。


「この場で誓うと即答できていれば、状況は変わったかもしれないな……今の私にできることは、これぐらいだ。私がノアを守ることによって、結果的に彼に世界が救われるのなら、それでいいだろう?」


その場は、水を打ったかのように静かだった。


数秒の沈黙を破ったのは、国王だった。


「なるほど。そなたの心情は理解した」


国王は玉座から立ち上がると、その場にいる者全員に聞こえるよう、声を張り上げた。



「我がイリステア国は、ノア・モリモト、ルリ・オオコウチの両名を重要人物として待遇する!異論がある者は申してみよ!」



異論を唱える者はいなかった。


とはいえ、王の決断に異論を唱えようものなら、不敬罪で処刑ものなのだが。

















***************
















    side:大河内瑠璃















…………ふっ。











うっふっふっふっふっふっふ。











「うっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっ」




どうも皆さん。


おはようからおやすみまで、世界の果てからあなたの隣の家まで、あなたの暮らしを見守ります。


……そう、あなたのすぐ後ろでも……。


あなたの大河内瑠璃でございます。


そんなわけで、私は国王の謁見のあと、あてがわれた部屋で気持ち悪い笑い声を発しながらベッドの上でのたうち回る気持ち悪い生物と化していました。



「うっはっはっはっはっはwww言ったったwww言ったったwwwww」



一体何が「言ったった」のかと言うと、先程の謁見での発言である。


名付けて、『誰があんたらの都合のために戦うか!俺は自分の守りたいもんのために戦うんだよ!発言 ~スパイスに中二の香りを添えて~』である。


今まで数え切れない程「誰があんたらの都合のために戦うか!」と思ってきたが、自分が帰るためだけに戦うなんて言っても格好がつくはずもなく。


他に代わりになるような建前もなかったため、今まではひたすら向こうの神経を逆撫ですることばかり言ってきたが、今回は『救世主(ノア)を守る』という名目により、ただの我が儘ではないアピールをしつつ「誰があんたらの以下略」発言をできたように思う。



いや、ちゃんとノアは守るからね?


これでも巻き込んだことは悪いと思ってるからね?



……しかし、国王の名前、クリムゾンか。




これが本当の(キング)・クリムゾンってヤツか。




よし、次から国王のことキンクリって呼ぼう。そう決めた。


てゆうか王女サマといい国王といい、この世界の人間は色の名前がついてるのかな?



そんなことを考えていると、コンコン、と部屋のドアが二回ノックされた。


およ?誰だろう。



「入ってます」



……間違えた。ここトイレじゃなかった。


「どうぞー」


ドアが開くと、そこにはノアが遠慮がちに立っていた。


「おぅ、どうかした?」


「あ、いや……」


ノアは部屋の外に佇んだまま、なんとも居心地の悪そうに言いよどんだ。


どうしたんだ、こいつは。


「どしたの?入りなよ」


私がそう言うと、ノアは躊躇いがちにようやく部屋に入った。


「とりあえずこっちおいで、座んなよ」


私が指し示した無駄に豪華なベッドに、ノアが腰かけるのを確認すると、私はブーツを脱いでベッドに上がり、ノアの横で行儀悪くあぐらを組んだ。


え?パンツ見える?大丈夫、鉄壁使用だ。


「で、何用かね?」


ノアはチラッと横にいる私の方を見ると、視線を床に落として口を開いた。


「さっきの謁見で言ったこと……本気、なのか?」


ああ、それのことか。


「ああ、本気よ本気。本気と書いてマジと読む」


「……なんでなんだ?」


「うん?」


「なんでなんだよ。瑠璃とは今日会ったばかりで、お互いのこと何も知らないのに。それに、瑠璃は救世主じゃない上、元の世界じゃ死んでるんだろ?さっき俺に救世主を押し付けたって言ってたけど、どう考えたってそっちの方が被害者じゃないか。なのに、なんであんな簡単に俺を守るとか言えるんだよ」



うむ。




なんも考えてなかった!




なんかもう今までいろいろとあり過ぎて、そうゆう感覚が麻痺してたわ。


自分とノアを守れるくらいの実力は充分あるし、多少嘘はついたけど救世主押し付けたのは事実だし。


「あー……あれだよ。私はさ、救世主になれないような性格でしょ?知らん世界のためなんかに動きたくないの。でもそれだとこの世界にいる理由ないし。だからさ、これは我が儘なんだよ。ノアを守るって理由を勝手に作って、ここにいる理由をでっち上げたの」


「でも、だからって自分から危険なことに飛び込む必要は……」


「最初の方にも言ったけど、実力ならノアより確実に私の方が上だぞ。自分の身を守りつつノアも守るなんて造作もないことだし、疑わしいならあとで手合わせしたっていい。これも最初の方に言ったが、私をまともな人間と思うなかれ」


いつの間にか私と視線を合わせていたノアに、ビシッと人差し指を突きつける。


なんてゆうか、説明が面倒臭い。


心配されるとゆうむず痒さも手伝って、さっさと話を切り上げたくなる。


もうね!こんな純粋に心配されるとか滅多にないから!


純粋な気持ちは捻くれ者にはつらいのよ!やめて!浄化される!


「それに、何もしないでずっと城にいるよか、救世主を後ろ盾にした肩書きがあった方が安全だと思うけど?」


私がそう言うと、ノアはかなり渋い表情で、ようやく頷いた。


「……わかった。俺を守るのがここにいる理由になるならそれでいいし、救世主補佐の肩書きがあった方が安全ならそれでいい。ただし、」


「あ、ちなみに無茶はしまくるぞ?基本ノアの言うことなんぞ全く聞かんし、全力で好き勝手行動するぞ?おじさん頑張っちゃうぞ?ちなみにノアに拒否権はない」


「無茶するなとすら言わせてくれないのかよ!!少しは格好つけさせろよ!救世主の面目丸つぶれなんだけど!」


「最初は格好なんざつけようとしなさんな。んな余計なこと考えてっと、守れるもんも守れなくなるぞ」


「うぅ……なんだよその歴戦の戦士みたいな説得力……」


「ふっふっふ、まだまだだな。とにかく、今は守るもんのことだけ考えてな。あんたのことは私が守ってやるから」


「……わかったよ。瑠璃が俺のこと守ることに関しては、言っても聞かなそうだから、もうそれでいい。ただ、俺が守るのはこの世界とこの世界の人達だけじゃない。瑠璃は俺がまm」


「いらん」


「せめて最後まで言わせろよ!!」



そんな応酬がしばらく続いたが、結果は常にノアが折れる形であった。


ふっ、私に勝とうなんざ一万年と二千年早い。


「…………瑠璃は、強いよな」


ポツリ、と、ノアが呟く。


いきなりなんぞ。


「瑠璃だって俺と同じ境遇なのに……いや、俺より悪い状態なのに、そうやって自分を見失わずに先に進もうとしてる」


いや、ちょ、だからそんな綺麗な目で私を見ないでください。


境遇も全然違うし、正直念願の脱主役ができて今非常にひゃっほーな状態です。


「や、だから私をまともな人間と思うなかれと」


「いや、それでも強いよ」



ノアはそう言って、初めてリラックスした笑顔を見せた。



…………まあ、打ち解けてくれたならそれでいいか。



「やれやれ、別に褒めても……」



私はゴソゴソと懐(と見せかけて亜空間)を漁る。



「あたりめぐらいしか出ないぞ?」


「何故あたりめ!?」











はい、ようやく二人の服装と国名出ました。


そして今回はちょっと長くなってしまいました。

謁見の後で区切ろうかとも考えたけど、それじゃいまいち面白くなかったので。



元ネタの紹介


・キング・クリムゾン

某有名漫画のラスボスのスタンド


・一万年と二千年

創世のアク●リオンから。



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