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観賞者で干渉者  作者: 鷹村柚希
プロローグ
2/29

第二話 己の欲せざる事人に施す奴は十倍にしてのしてやる



突然雰囲気が豹変した私に、にーさんは目に見えて気圧されていた。



「なっ……か、神に向かってなんたる口を利くのだ!」


おうおう、虚勢を張るのは構わんが、やるならもちっと上手くやんな。


一応神だってのに、三流の小悪党にしか見えんぞ。


「あぁ?神だからなんだ。てめぇは私に崇められるようなことをしたのか?うん?してねぇだろ?やったことと言えば、私を殺したことぐらいじゃねぇか。なぁ?」


度重なる異世界トリップで培った魔力やらオーラやらを最大放出しながら、にーさんに歩み寄る。


ぶっちゃけ、実力なら低級の神くらいなら()れるらしいんだよね、私。


現れた時に感じたオーラや態度でわかる。こいつ、低級だ。



……しかし、私を殺しただと?



私は幾度となく異世界トリップを経験してきたが、死亡トリップは今まで一度もない(当たり前か)。


丁度いいトリップ人材の私を使い続けるために、殺しはしないでおくだろうと思っていたけど、読みが外れたか……いや、相手は低級神。独断の可能性もある。


長年異世界トリップなんて物騒な目に遭ってきたものの、まさかこんな理由で死ぬ破目になるとは。



こいつ、どう料理してくれよう。



「なあ神さんよ、あんたらにとって私ら人間は都合のいい捨て駒でしかないのか?使いたい時に適当に()ってきて、使って終わったら放置。そいつの人生台無しにしようが知ったこっちゃねぇ。何故なら一人の人間が人生捻じ曲げられたところで、知ったこっちゃないから。違うか?」


「そ、そのようなことは断じてない!人間は、大切な世界の一部だ!」


「へぇ。じゃあ私はあんたの世界の人間じゃないからどうでもいいのか。そうかそうか」


「そっそれは……」


「そっちは頼み事してる立場なんだろ?だったら礼儀ってもんがあるだろうが。神だろうが悪魔だろうが、地べたに頭擦り付けてお願いしろよ。『どうか私の世界を救ってください』ってな!ところがどうだお前は。あまつさえ、頼み事してる相手を殺すとか。うん。そーかそーか、それが神サマの礼儀ってやつなんだねー」


「貴様!侮辱するのか!!」


「侮辱してんのはそっちでしょ?人の命と人生軽んじて。弄んで。私は礼儀に対して礼儀で返す主義なんだ。だから……あんたには、あんたの礼儀で返さなきゃな?」


ざっ、と、にーさんに向けて一歩踏み出す。


「ひっ……!」


悲鳴を上げてにーさんが後ずさる。


神としてのプライドとか貫禄とかどこへ捨てて来たのよ、にーさん。


まあ、仕方あるまい。今の私の力、低級神より遥かに上回るッ!!



私はゆっくりとにーさんに歩み寄る。



「……いただきます(ニヤリ)」



「ぎゃあああああああああああああああ!!!」










***************















「……うぅ……ひっく…………ごめんなさい……私じゃ力不足だったんです……グスッ……」



数分後、私の足下では哀れボロボロになり、幼子のごとく泣きじゃくっているにーさんがいた。


先程の神っぽさはどこへやら。


しかし、私はまだこいつを許さない。


「力不足?だったらなおさらやるべきことがあるってもんだろーが。……あーもーなんか萎えたわ。意地でも救世主なんかやったらない」


「そ、そんな!どうかお願いです!」


そう言って私の足に縋り付いてくるにーさん。


もうここまでくると滑稽で笑えてくるわ。


だが……まだだ、まだ笑うな。


「ヤなもんはヤだ。つーかさぁ、この依頼蹴ったところで私が死んだことには変わりないんだよね?そのへんはどーやって落とし前つけてくれんのさ?」


「うぅ……それは……」


「まー無理だよな。私に負けるような低級神が、どう落とし前つけられるんだっつーの」


「本当にごめんなさい!何でもしますから!!」



この言葉を待っていた!



だが私はあえてにーさんを睨みつける。


「はぁ?あんたに何ができんの?」


「本当に何でもします!できる限り!いや、できないことでも必ず!」


「へぇ……それじゃあ」


言質は取った。もうこの男は逃れられない。


私はビシッ!とにーさんを指差し、叫んだ。


















「私を最強の脇役にしろ!!」




















そう叫んだ時の私は、今までとは打って変わって、最高にいい笑顔だったという。






ようやくシリアスパート終わりです。

シリアスというか主人公が非道です。申し訳ありません。


次回からコメディパートとなります。



元ネタの説明


・まだだ、まだ笑うな

某ノートより。主人公のセリフ。

のはず。




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