第十六話 憤怒と愚行は並んで歩み、後悔が両者のかかとを踏む。 そこで悪戯はすかさず両者に膝カックンをし、体制が崩れた所で加虐心が顔面にパイを投げつけ、非道は倒れ行く地面に接着剤を撒いて行くのだ
感想と改善点の指摘をくださったrsk(らすく)さん、ありがとうございました!
パロネタを一場面で多様し過ぎかもしれないというご指摘をいただいたので、今後は慎重に調節していこうと思います。
そして総合PVが十万超えました!
皆様ありがとうございます!
そしてある日。蘇芳は進学先の学校の説明会に行くようです。
鷹村「(歯磨きながら)鞄は?(持って行かないのかとゆう意味で)」
蘇芳「なんで?」
鷹「上履きとか(しまうのに)……あと(口に水含む)んーんんん?(※訳:教科書は?)」
蘇「終止符?終止符は、」
鷹「(含んでた水噴き出す)…………馬っ鹿野郎wwwwww」
蘇「wwwwwwすまん、何つった?ww」
鷹「教科書だ教科書!終止符ておまwww」
蘇「wwwww」
ちなみに「終止符?」と聞き返した時、蘇芳は真顔でした。
side:大河内瑠璃
さて、そんなこんなで毒殺未遂事件の翌日。
あのあと、結局毒殺犯(未遂)を見付けることはできなかったらしい。
レモンの騎士の話によると、なんでも事件に関わりがあると見える二人のメイドを聞き込みにより見付けたのだが、捕らえようと声を上げると何やら空間に深い闇のような物を広げ、そこに逃げ込んでしまったと言う。
慌てて追いかけようとしたが、二人のメイドも深い闇も跡形もなく消えてしまったらしい。
どこの闇の回廊だよ。
その後も他の騎士団の人と城中を捜索したらしいが、当然のごとく見付からず、現在城内は厳戒体制が敷かれているらしい。
しかも逃亡したメイドが使っていたらしい闇の回廊(仮)は、国最強(笑)と言われる宮廷魔術師ですら心当たりがないとのこと。
マジ使えねー。
まあそれはともかく、毒殺未遂が起こって闇の回廊(仮)で厳戒体制とは言え、やるべきことはやらにゃーとゆうことで、現在私とノアは応接間的なところにいます。
ついでに言うと私らが座っているソファーの向かいには国王と王女サマが座っている。
そしてそのソファーの側には多分宰相らしい緑色の髪のおっさん。謁見の時にも確かいた気がする。
その背後には騎士団長と名も知らぬ騎士団員AとB。
そして私達の座っているソファーの後ろには、レモンの騎士と名も知らぬ騎士団員Cが待機。
この面子と初日の謁見で気付いた人もいるとは思うが、どうやらこの国には王妃がいないらしい。
元々体が弱い人だったらしく、白さんと年子の息子を産み、新しい命と引き換えに息を引き取ったらしい。
いや、体弱いんなら年子でなんて子供生むなよ。
ちなみにその年子の息子(第一王子)は現在、「俺より強い奴と闘ってくるぜ!」とかなんとか言って武者修行に出ているらしい。
なんだ、ただの戦闘狂か。
そのまま城に残っていれば、いい修行相手が現れたものを……。
……あ、ちなみにノアのことだよ?私はそんなアホと闘う気なんてさらっさらないから。
てゆうか、武者修行になんて出ていいのか第一王子。
勉強しろ、勉強。帝王学とか。権力者が駄目駄目だと困るのは庶民なんだぞ。
あと雑学も学んどけ。んで、雑学王になれ。
「雑学王に俺はなる!!」とか叫んだら似合いそうだな、顔も知らぬプリンスよ。
まあ、そんなことは今はどうでもいい。
今は邪心再封印に関しての話し合いである。
「さて、こうしてそなた達には来てもらったわけだが……救世主よ、もう体は大丈夫なのか?」
重厚ぶって国王が口を開く。
いや、別に重厚ぶってるわけではないのだろうけど、あちこち多数の世界に飛ばされて、いろいろと王族(嘲笑)な部分を目の当たりにしてしまっていると、王族やら権力者のそれらしい行動全てに失笑が込み上げてくる。
だが表情には出さない。
全てはやり取りを円滑にするため。
救世主なんぞ押し付けられた可哀相な(酷い)ノアのため!
私は脇役!
黙って流れに身を任せ……るように見せかけて全力で抵抗するッ!!
「はい。ご心配をおかけして申し訳ありません」
そう答えるノアは心なしか緊張して……いや、心なしかじゃないな、ガチガチに緊張しとるな。
日本には存在しない“王族”と対面する勝手のわからなさと、ある意味未知のものに触れることによる緊張感。
私にもそんな時期がありました。懐かしいなぁ……。
そんなノアを見て、キンクリはふっと苦笑した。
これが『権力者を前に緊張する相手に対する満足気な笑み』に見えてしまうとか、私の目は相当腐ってますか。そうですか。
「そう緊張されるな、救世主よ。それより、先日は我が娘が失礼したな。随分と不躾な物言いをしたようだ、申し訳ない」
そう言って、キンクリはノアに頭を下げた。
……ふむ。
私の中でキンクリの株がやや上昇した。
一方、国王が頭を下げたことに驚いたのは、私とキンクリ本人以外の全員である(白さん含む)。
「いや、そんな、顔を上げてください!彼女は俺を心配してくれたんですし、俺が力不足なのがいけなかったんですから。それに、王様が俺みたいな一般人に頭なんか下げるなんて……」
慌てたようにノアが言う。
うーむ、精神面ではびっくりする程理想的な『発展途上の主人公』だな。
もしもこんなお人好しが、被召喚者に対して何とも思わないような腐れた世界に飛ばされていたら……。
そんな『ifの話』がふと脳裏に過ぎり、知らず目を細める。
「いいや、自己満足でしかない心配は、時として相手を傷付ける。そして私が王だからとは言え……いや、王だからこそ、過失は認めなければならない。それが身内によるものであるのなら、なおさらのことだ」
ほう。中々話のわかる国王サマじゃないの。
どうやら『もしも』の心配はなさそうだな。まだ油断はできんが。
「あ、あの、私もあれからずっと考えてて……確かに私は戦いを知りませんし、考えも甘いです。だから、せめて、できることをしようと思って……それがノアにとって迷惑になるだなんて、本当にごめんなさい」
ノアにとって、ね。
ホント、ノアしか眼中にねーなこの王女サマ(笑)
ま、Love is blind(恋は盲目)とも言うし、口出しはしないでおこうかね。
……恋かどうかはまだわからんがね。
「本人も反省している。申し訳ないとは思っているが、どうかこの子を嫌わないではくれまいか?根は優しい子なのだ」
「そんな、嫌うだなんてとんでもないです!ホワイトさんが優しいのは知ってますし、俺はそもそも怒ってませんし、瑠璃だってもう怒ってませんよ。な、瑠璃!」
「…………。おぅ、私か」
ノアが先方と勝手に話を進めてくれてたので、完全にやり取りの観察及び己の思考にはまっていたため、不意に話を振られて思わず反応が遅れてしまった。
「……聞いてたのか?」
「聞いてた聞いてた。で、私ならノアの言う通りもう怒ってマセンヨー。まあ、白さんが自分の思いやりに吊り合った行動が取れる人間になれるかどうかは、今後の白さん次第だと思うがね」
私の不敬な物言いに、立ちっぱなし組からブワッと殺気が広がる。
と言っても、騎士団員さん方は私の実力を知っているため、殺気を放つだけでそれ以上は何もして来ないが。
「おい貴様!謁見での態度と言い、無礼が過ぎるぞ!身の程をわきまえろ!」
立ちっぱ組で唯一私の実力を知らない、多分宰相らしいおっさんが突っかかって来る。
騎士団組はよほど私が怒るのが怖いのか、すっかり殺気を引っ込めて「お前何言っちゃってんの!?お願いこの人怒らせないで!三百円あげるから!!」的な視線を(多分)宰相のおっさんに向けている。
当の(おそらく)宰相のおっさんは、私に対して憤るのに忙しいのか全く気付く様子はないが。
だがまぁ、何か言われて黙っているのは性に合わんしな。
私は嘲笑を含ませた笑みを浮かべ、クスクスと声を立てる。
「身の程をわきまえろ?随分とおかしなことをおっしゃるのね。別世界から来た私に、異界の王に膝を屈せと?ならば訊くけど、あなたは女王蜂に対して膝を折ると言うの?」
ゾクッ。
部屋の温度が、三度くらい下がった気がした。
ブワッ。
周りから、冷や汗が噴き出す音が聞こえた気がした。
……おい、せっかく雰囲気盛り上げたのに台無しじゃねぇか。
どうやら、ノア、白さん、騎士団長、レモンの騎士あたりにとって、私の口調が変わった時は危険信号だと認識されているようだ。
あながち間違ってはいないが……ノアよ、そんな冷や汗で顔面が滝になる程の動揺もんかね。
地味に傷付くぞ、それ。
だが、(もしかして)宰相のおっさんはそれにも気付かない。
「国王陛下を蜂と同列に見ているのか!?不敬も大概にしろ!」
「あらあら、私はそんなこと言っていないわよ?それにね、貴方はたかが蜂と仰るのかもしれないけれど、蜂の社会にもちゃんとヒエラルキーと言うものはあって、たかが蜂と言えども、王は王なのよ。人間には全く関係なくてもね。つまり私はこう言いたいの。『自分と全くの無関係な王に敬意を払うの?』ってね。私はこの国とは、この世界とは全く関係ないところから来た。そんな私がこの国の王に膝を折って、私に何かメリットはあるのかしら?是非とも伺いたいものね」
ゆっくりと、憎たらしい程余裕たっぷりの口調で、かつ有無を言わせないように、一気に言う。
国王の目の前でこんなこと言うのもどうかと思うけど、んなもん知るか。
「なっ……きっ、貴様……!」
なおも食い下がろうとしない(ひょっとしたら)宰相のおっさん。
だが返す言葉が見付からないようで、酸欠の金魚のようにパクパクと口を開閉するのみである。
うむ、いい気味だ。
金とか権力とかくだらない物にすがり付いている人間の信じている物を粉微塵に砕いてやるのは、常に爽快である。
そんなわけで言い返せない(憶測だが)宰相のおっさんを、ニヤニヤとえげつない笑みを浮かべながら眺めていると、キンクリが(ネタ切れだ)宰相のおっさんを制した。
「ビリジャン、もういい。口を挟むな」
「!? ……し、しかし!」
「いいと言っている。今必要なことは、話に水を差すことではない。これ以上余計な口を利くと言うのであれば、即刻出て行くがいい」
国王にそう言われ、おっさんは苦い顔で渋々と引き下がった。
おぅ、中々話のわかる国王サマじゃないの。
とゆうか、おっさんの名前ビリジャンってゆうのか。
心底どうでもいい。
「申し訳なかったな、救世主補佐よ。そなたの言うことも最もだ。無理に我々に敬意を払えとは言わん」
「やー、いっスよ、別に。私もこんな性格だから周囲と衝突しまくりで。突っかかりたくなるのもわかりますってゆうか」
一転して口調の砕けた私に、騎士団組と冷や汗組はホッと胸を撫で下ろし、おっさん(名前認識拒否)は殺気を増した。
ちなみに、何故私の口調に敬語とも思えぬ程度の敬語が混ざったかと言うと、一応キンクリに対して及第点のようなものを与えたからだ。
勝手にだけど。
権威だなんだにこだわらない点は丸。
「救世主補佐よ。……いや、名はルリと言ったか。そなたには感謝している。話はホワイトや騎士団員から聞いたが、王族と言う権威を恐れてか、この子にはあまり面と向かって叱ってやれる人間がいないのだ。先日のように、この子の至らない点を厳しく指摘してくれるのは有難い」
「…………あー、そーなの……」
やっぱ甘やかされてたんか、と気の抜けた返事を返す。
てゆうか主人公より先に王サマに名前呼ばれちゃったんだけど、これって脇役としてどうなの。
ひょっとしなくても出番取っちゃってる?(汗)
キンクリはそんな私の気も知らず、話を続ける。
「時にルリよ。聞くところによれば、そなたは元の世界では既に命亡き者だと言う。ならば、邪神の再封印が済み次第この王宮に仕えてはみないか?後ろ盾のない状態で生きて行くのはいささか辛いであろう」
わーヘッドハンティングキタコレー(棒)
「陛下!?このような者を王宮に置くのは……」
「口を挟むな。どうだルリよ、ここで働く気はないか?」
「お断りします
,ハハ
(゜ω゜)
/ \
((⊂,) ,ノ\つ))
(_⌒ヽ
丶 ヘ'|
εニ三ノノ_J 」
「ど……どうやって喋ったんだ!?」
ちなみに上から順におっさん、キンクリ、私、ノアである。
「まーあれっスわ。再封印終わったら私旅に出るんで、そうゆうのいいです。むしろいらん」
さっさと次の世界行くつもりだしな。
そもそも、誰かの下に付くって時点でまっぴらごめんだね。
「てゆうか、私のことはもういいんでさっさと邪神についての話を進めましょーや。ノアもせっかくの救世主なのに放置とか可哀相過ぎるっしょ。拗ねるぞ」
「拗ねないから!誤解を招くような発言はやめろ!」
さっさと話を進めようと、ノアに適当に突っ込ませてやり取りに引き込む。
キンクリはそんな私を見て、ふっと唇を歪めた。
……ああ、謁見の時の笑みや。面白そうな笑みだ。
これは面倒なことになりそうな。
「……面白いな、ルリよ」
「残念だが『面白い』は私にとって褒め言葉じゃないんだ。よってあたりめは……軟体動物の干物はやらん」
「わからないと思って言い直したんだろうけど、嫌な言い方だな。てゆうか、まだ持ってたのか」
「それがどうゆう物かはわからぬが……褒めていないと言うのであれば、それは済まなかった。だが、私はそなたに興味を惹かれたのだよ。揺るぎないその実力もだが……謁見時の堂々とした態度も、今の王族を王族とも思わぬ態度も、先程ビリジャンに物申した際の不敵な態度も、全てが同一の人物の振る舞いとはとても思えぬ。かと言って演技をしているような違和感も欠片もない。おそらく、そなたはそれらの振る舞い全てを自分の性格として扱えているのではないか?ある意味究極の演技と言えるのであろうな」
うわー、なんか面倒臭いこと言ってきたよこいつ。
そんな理屈っぽいこと言われても知らんし。
興味を持たれたとか、迷惑以外の何者でもありま千円。
「私はただの性格破綻者だよ。私を下に置きたいってんなら、諦めな。おまいさんじゃ私は扱えんよ。せいぜいテンプレ止まりにしとけ」
「謙遜する割りには手厳しいのだな」
キンクリが実に面白そうな笑みを向けてくる。
それに対しておっさんは今にも沸騰しそうだが。
ちなみにヘッドハンティングは減点対象だからな!
よって敬語もどきは撤回!
「私は干渉されるのは好まんのだよ、王・クリムゾン。私は常に観賞し、干渉する側でいたいと思っている。……まあ、その割りにはいささか目立ち過ぎたがね。反省はしている。だが後悔はしていない」
そう言って、ひょいと小さく肩をすくめて見せる。
いい加減この話切り上げたいんだよ。
ヘッドハンティングも性格分析もナンセンスだ。
「さっさと話を進めましょーや。こんな話続けても私ゃそっちの要求なんぞ永久に飲まんし、私の立場はあくまで救世主の補佐ってとこで妥協してくれや」
「そうか……それは残念だ」
残念だ、と言いつつも、キンクリには全く諦めた様子は見られなかった。
フン、じわじわ懐柔できるとでも思い込んでいるのかもしれんが、私の意志は変わらん。
仕事終わったらさっさと出て行こ。
「注目されるのも、英雄だなんだと担ぎ上げられるのも、全部主役でいい。私はあくまで脇役なのだから」
ちなみに、ノアは私が王・クリムゾンと言ったあたりで、うつむきながら必死で笑いを堪えていたとゆう。
王様の口調なんてワカラナイヨ。
今回はちょっち真面目(?)なお話。
そして長めです。
まとめ切れなかった……。
そしてようやくタイトルの由来がちょこっと……遅っ!!
ビリジャン=ビリジアンの意。
よって緑髪のおっさんの名前はビリジャン。
元ネタの紹介
※作中に説明(?)があるものは省きます。
・闇の回廊
某王国の心(英訳)で敵が使用する技(?)の一つ。
これを使えば、光の世界、闇の世界、はざまの世界を自由に行き来できるらしい。
・海賊王に俺はなる!
最早説明不要ですね。
某有名海賊漫画の名ゼリフです。
・三百円あげるから!
某銀の侍の漫画のセリフ。
・お断りします
,ハハ
(゜ω゜)
/ \
((⊂,) ,ノ\つ))
(_⌒ヽ
丶 ヘ'|
εニ三ノノ_J
某匿名掲示板で「うpしてくれ」 「お断りします」の流れでできたアスキーアート。
・反省はしている。だが後悔はしていない。
元ネタ不明。