短編集

――まぁ、何と美しいお人でしょう。 男は稀代の美丈夫であった。人々は口々にそう言った。だがそれは、男にとって、大変にありがたくない殺し文句であった。いろんな意味で。これはそんな男の、初恋の物語。

マクベス役に選ばれた、何てことはない高校生の、何てことはないお話。

探偵事務所で働く女の子と、調査対象者だった男の人の物語。

朝食をとる若き王の下に、王妃からの伝言が――『愛する女性を側妃になど、お考えになりませぬよう』

おとぎ話を夢見る王妃と王様の、穏やかな一幕。何てことはないゆるいお話です。

政略で結ばれる夫婦があれば、政略で別れを告げなければならない夫婦もあった。これはそんな夫婦の物語。

父はいますよ。ただ、見えないだけで。 ちょっと変わった父と、ほんのちょっと変わった私。

彼はいますよ。ただ、見えないだけで。 ちょっと変わった彼と、ちっとも変わっていない私。

かゆかったり、いたかったり。 こころって、難しい。 高校生の女の子の、かゆい話。

クリスマスに寝込んでマス。

　長く一緒にいると、わかってくることがある。 　彼はサラダが大好きなこと。フレンチドレッシングはまぁまぁ好きで、胡麻ドレッシングは結構好きで、青じそドレッシングは正義だと思っていて、シーザードレッシン//