第1章 太子の夢

作成ユーザ: 番長

──プロローグ:神の言葉を継ぐ者──

風が、神殿の大屋根を揺らしていた。
古き香木の香りが、白い薄布の奥からただよい、若き皇子の鼻をくすぐる。

その少年の名は――アマノ・トオヒト。
まだ十二の齢。だがその眼には、老臣たちもひれ伏すような深い影と、焔のような光が宿っていた。

「問おう、アマノ。神は人に、何を望むと思うか?」

問いを投げたのは、国一番の聖なる男――カガミノ・セイカ。
その声は静かに、しかし確かに、この国の未来へと響く音だった。

アマノはしばし目を伏せ、そして答えた。
「……嘘を、つかぬことです」

セイカは微笑む。そしてその横で、イモリ・ノ・ミオが巻物を広げ、風を背に、異国の地図を差し出す。

「その“嘘”のない国を、この地に築けるか?」

神は沈黙していた。
だが、アマノの胸に灯った火は、その日から消えることはなかった。

それが、全ての始まりだった――。

カガミノクニ

八百万の神が実在し、皇が神器を継いで国を治めていた時代―― 小国・カガミノクニは、海の向こうの大国「タウ帝国」に呑まれようとしていた。 神の声を聞く若き皇子・アマノは、聖なる鏡の巫女セイカ、 中性的//
作品情報 N0071KJ 連載中 ローファンタジー〔ファンタジー〕
掲載日:2025年 04月 16日
最終掲載日:2025年 04月 16日
作品に含まれる要素: R15 残酷な描写あり ボーイズラブ ガールズラブ 異世界転生 異世界転移