短編(シュール)

誤字脱字で失敗した事はありませんか？ 大丈夫、あなたは何も悪くありません。いつだって誤字脱字の原因はネズミなんですから。

「国王よ！ お前が私欲を満たすために無意味な戦争を行い、度重なる徴兵や増税をするせいでこの国は疲弊している。お前の圧政のせいで神がどんな生活を強いられているのかわかっているのか！」 今、私は断頭台に//

「どうしておれは捕まらなければいけないんだ？」 これはある一人の映画泥棒が逮捕される瞬間に警官に向かって言った言葉である。 彼は知らない。彼自身の物語によって後に日本中が涙することを。

朝、腹痛により目が覚めた私は、あまりの痛さに妻に車で病院に連れて行ってもらった。 診察室に入ってすぐレントゲンを撮らされた私に医者は言った。 「あなたの腹痛の原因は国語辞典です」

「現役の犯罪のプロが教える防犯セミナー！」 「受講者は全国で既に10,000人を突破！　受講者の満足度は驚異の99.9%です！」 このセミナーを受けた人は実際に詐欺の電話を撃退したり、詐欺グループの逮//

５年１組18番　田中つとむ。 夏休みの宿題をフリマアプリで出品したら売れるか実験してみたくなったので、自由研究のテーマにしてみました。

ある夏の日、住民票を取りに行った市役所で不思議な窓口を見つけた。 『夏休み延長相談窓口』 謎の張り紙を掲げたその窓口におれはいつの間にか吸い寄せられていた。

「本日は議題は来年リリースするスマホ決済アプリの名前についてです」 「「「おおー！」」」 司会進行役のメガネが議題を言うと社長の金魚の糞たちが意味もなく歓声をあげた。 これはアプリの名前を考えるためだ//

全国各地で行方不明者が続出している。 行方不明者の多くが「空(そら)」と呼ばれる異空間に飛ばされていてそこで出される問題を解かないと戻れないらしい。 空に飛ばされた、先生とメガネさんと私。私たちは出さ//

「あ、値貼り付けするの忘れてた」 ある日、突然空から声が降ってきた。その声は世界中に響き渡った。多くの人が何気なく聞き流していたが、この一言がきっかけで空の上では大混乱が発生していた。

「ぼくのお父さんはフラグ折り士です」 今日は浅瀬小学校の土曜参観の日。教室の後ろで多くの保護者たちが見守る中、5年3組では作文の発表が行われている。 先生に当てられて発表を始めた畠中の作文にその場//

　朝起きて、トイレに行った。そして朝ごはんを食べてスーツに着替えてもう一度トイレに行った。トイレの隅に捨て忘れていたトイレットペーパーの芯があったので拾った。で、捨てる前に握りつぶした。その瞬間だ。嫌//

　20XX年。突然変異により4月1日から15日に活動する花粉は人間の姿をするようになった。 　花粉は金髪リーゼントで白い特攻服を着ている。彼らは入学式に乗り込んでくる厄介な存在となり人々を困らせた。 //

「おれたちが来た時、ここはまだ何もなくて寂しい土地だったんだ」 　日曜日の夜になると父は絶対に同じ話をする。それは父や母がこの土地にやってきたばかりの頃の話を。そんな平和な日々がずっと続くと思っていた//

「人生という長い道の途中で進むべき方向がわからなくなりました」 　小さな交番にやってきたのは夢を失った住所不定無職、いつの日か日本一有名な子役になることを夢見た三十路男でした。

　お昼の12時ぴったり、社内にお昼を告げるチャイムが鳴る。私は台湾料理のテイクアウト専門店にお昼ご飯を買いに行くことにした。 　お昼ご飯を買いに行く途中、何気ない日常の景色を眺める。工事現場、大きな声//

『この本を読んでから目に映る景色が変わりました』 『今を生きる全ての人に読んでほしい』 『読み終えた時、私の世界が変わる音が聞こえた』 　販売されて間もない一冊の本を全国の書店員が自主的に、猛烈に推し//

「幸太郎さん、晴美さん、ご結婚おめでとうございます」 新婦の友人代表として手紙を読み始めたのは、左右二箇所、腰のうしろあたりにファンのついた黒い空調服を着た中年男性だった。披露宴会場にファンの回る音を//

「つよし！　あんたもう何やってんの！」 日曜日の夜、おかんから電話がかかってきた。 おかんの話によると、おれは居酒屋でトラブルを起こしたことになっているらしい。 絶対にオレオレ詐欺のだと思うんだが//

『彼の麦茶で人生が変わった』 水は水道水、やかんは市販のもの、麦茶のティーバッグもスーパーで売られるお買い得品。特別なものは何一つない。なのに麦茶で人を感動させる男がいた。 多くの人がその男のことを//

二日酔いも、旦那の浮気が辛いのも、SNSが気になってつい時間を無駄にするのも、全て花粉症が原因です。

「氷川が、氷川がやらかしました！」 「氷川が？　あいつはまだ稼働し始めたばかりやろうが」 事業継続が困難になった焼き鳥屋は、話題作りに客寄せパンダならぬ『客寄せ氷川』として、人気歌手にそっくりな人型の//

「今年の新入社員はどんな感じだ？」 入社式の前日、ふと新入社員のことが気になった社長が人事部長に尋ねると、人事部長は「話題になりそうな人材が大勢いますよ」と言って一枚の履歴書を取り出した。そこにはどこ//

「いいから早く教えてよ。焼き芋屋と選挙カー、私はどっちが強いか知りたいの」 会社の先輩に教えてもらった、自分好みのビジュアル設定ができるAIとの会話アプリ。私のノートパソコンに映し出されるのは、色白//

駅前で配られていた試供品は、スーパーでよく見るあれでした。

「どうしてこんなに短いの！　全然文字数が足りないじゃない！」 夏休み、おれが机の上に置きっぱなしにしていた読書感想文を見て、母が金切り声を上げた。