空想学園シリーズ

　――青春は時間と共に、過ぎ去っていく。 　夢を描き、恋に恋し、友と語らい、流れに身を任せ、泡沫のぬるま湯に浸かる。 　将来は見えずとも、現実から目を背けても、無謀に手を出しても、虚言を張っても――湯//

　――十年ぶりに再会する、高校時代からの親友。 　彼らと飲み会をする事になった幹事、洗井洋示は、夜の繁華街へ足を踏み入れる。 　四人の中年による、談笑の話。

　――その日は、年に一度の舞踏会の日であった。 　学校行事に参加した岩原の恋が、一秒で終わる瞬間。

　――朝目が覚めると、そこにはどういうワケか理解できない状況になっていた。 　バスケ部の少年、堀聖のある日の朝に起きた、始まりのお話。

　そして作家は世界が掻き乱される瞬間を、誰よりも待ち望む。 　――とある作家による、クラスメイト観察日誌。

　これはある遠足であった、奇妙なお話。

　――放課後にテスト勉強する、優等生と『縄跳びの申し子』のお話。

　とある悪魔は人から魂を貰うため、考えた。 　――そうだ。人間というものは欲が深い生き物だ。 　できもしないことを願っては、勝手に絶望する。 　――ならその願いを叶えてやると唆し、代償に魂を貰え//

　――バレンタインデー。 　『番犬』と『智将』がその距離を近付けた裏方で、積年の想いを隠し続ける理解者(イトコ)の話。

　容姿端麗。成績優秀。文武両道。極めつけは分け隔てなく優しい性格―――― 　学年二位の成績を誇る変里奏(かわり うた)に、『女の子らしい言葉遣いで』と親友に何度も釘を刺された逢宮一思(あいみや いっし//

　――――売れっ子漫画家メザトは自身の漫画家生活としての今後に悩み、考えるため熱海へ旅行にでかけた。 　しかし、熱海は静かな場所を好むメザトの期待を裏切り、騒がしかった。 　期待を裏切られたメザトは一//

　文芸部の部誌、締切まであと一週間。 　小説書き初心者である前垣(まえがき)ゆうこは未だ、一枚も原稿がかけていなかった。 　これはマズイ、と危機感を感じた前垣は貴重な放課後を部室に閉じこもることを決意//

　腐れ縁を引っ張り帰宅した作家は、勝手に乗り込んだ腐れ縁の自室で寛ぎながら語り出す。 　盛大で広大に、少し過大表現しながら。 　朗々と、作家は述べる。 　『救世主』“達”のことを。 　――――とある//

　少しの間だけ俺は、今は取り壊されたあのオンボロ屋敷で体験した楽しくてちょっとだけ息苦しかった、最後の初恋の日を思い出す。 　――――幼い少年の記憶に残り続ける、黄色いワンピースの話。

　――――広瀬(ひろせ)は大切な物をなくしてしまった。 　預かっていたそれを探すため、授業を飛び出した彼は学校内を奔走する。 　一方、現在世話になっている者の忘れ物を届けに町へ出たギンと、幼馴染みの//