砂の国に生きる女神の器

神の創った名の無い、とある世界の物語。そこは魔力を糧に、人間や魔獣、獣人に精霊。時に転生者と呼ばれる者も含まれた、様々な種が入り混じる不思議な世界だった。その世界の三国内で一つ、|砂の国《アラビ》に、神の孫の女神（シルビ）が正体を知る事なく、人知れず生きていた。美貌を備えたシルビは、自身がアズールと言う名の村人であり、生を諦めるまで自身が何者なのか知らなかった。やがて、シルビが神の元へと戻る時、神はシルビの生きてきたその器に輪廻から選んだ魂を宿らせた。宿らせた魂は魔法のない何処かの世界の記憶を破片に残していた。宿った女の魂は、魔法や特殊な|能力《ちから》が使えるこの世界の仕組みを学びつつ、己の運命を受け入れる事にした。しかし、元は宿った魂である現を生きるアズールは、とある出来事で縁を結んだ最愛の家族を失う事になる。（薬師はあくまでも副職）神を頼りにし、心奥深きに復讐を胸に抱き、時を待つこと20年。手を出せぬと話す神が待ちわびたアズール達へと授けたのは、世界の平和を崩す事にもなるモノであった。それを手にしたアズールは復讐の矛先である転生者達に挑むのであった（毒は外、蜜は内。）