朽ち果つ廃墟の片隅で

誰にも見向きすらされる事なく、ヒッソリと時の流れるままに佇む廃墟。
その中を当て所なく、フラフラと足取りも覚束無い灰色の人々が蠢いている。
この人々は大きく二つに分かれて、
片方は、今の状態に不満を持つが余り、今の不幸の原因を過去に見出そうとし、
その延長で遺物を全て蔑ろにしようとし、
もう片方は、今の状態に不満を持つが余り、既に失われた過去の栄華に縋ろうとし、
僅かばかりの残滓を集めて盲目的に愛でている。
そんな廃墟の片隅で蹲る少女が一人。
二極の狭間で静かに黙って、成り行きを冷めた目で見つめている。酷く孤独だ。
いっその事、自分もどちらかの人種に混ざれば、表向きの孤独が癒される事は知っている。
だが、それによって自分まで”愚者”の群れに溶け込むことを何よりも畏れる。
無駄だと知りつつも、その両方向から罵詈雑言を浴びようとも、それによって酷く傷つこうとも、
バランスを保ち守って真っ直ぐ立とうと必死に足掻く、そんな少女の一代記。