ショートショート2月〜生まれ変わり特化編～

最後に自分が思い出した事と、願ったこと。

生まれ変わったら、まさかのぬいぐるみでした。

生まれ変わったら、まさかのカーテンだった。

生まれ変わったら、待望のストッキングでした。

生まれ変わったら、ジグソーパズルになってました。

生まれ変わっても、あの子に恋した事だけは…忘れたくなかった。

俺は最新型のテレビに生まれ変わって、ちやほやされたかっただけなのに。

カップに生まれ変わったら、キスし放題だと思っていたのに。

生まれ変わったら、大好きな場所に思いっきり包まれたいと…燃えていたのに。

あれほどアプリゲームに夢中になっていたのに、自分以上にハマっている人を目の前にしたら気付いた事がある。

俺は鉛筆デッサンが好きだから、一番間近で芸術が生まれていく様子を堪能したかっただけなのに。

なにかを思いっきり消すのは、とても気持ちがよさそうだと…思ったせいで。

美しいと讃えられる生き方がしたかっただけなのに。

この世に生み出されるものはすべて、何らかの役割を与えられている。

いきなりプロの域に達する事ができるわけないのに自信満々…若いっていいねと思っていたのは、他人事だったから。

丸いボールの、重厚感がたまらなかった。

鈴の音色が好きだった、ただそれだけなのに。

カミソリの扱いには自信がある、だから、俺は。

ナマチチの威力は、ものすごかったとだけ。

碁盤の価値の分かる人に出会えていたならば。

好きな人に夢中になる気持ちだけは、理解できた。

わりと宝くじは当たっているという、事実。

子供から子供へと繋がれて、長く愛される三輪車もあるというのに。

思いやりのあふれる、程よい危機感を持った相棒と出会いたかった。

最新のシステムは、全人類が使いこなせるとは限らない。

大海原を行く船が、最後に思うこと。

みんなに愛され続ける、ずっと思い出してもらえる、子どもを連れて行きたいと思ってもらえる、小さな遊園地であり続けたいと。

武器を持たない強さ…？武器を持たなければ、ただ弱いだけ。

神様になったら、あんなこともこんな事もやって、好き放題に永遠に楽しむんだー！！　・　・　・　か　ら　の　。