chaos、chaos（その他短編など）

　男子高校生「古戸飛出男」は、朝から嫌な予感がしていた――朝から、カレー。昨晩の残りを父の命日だからと言い張る母を振り切るようにして、学校へと向かう。 　放課後、友人の「丸出　司」とともに、スープカレ//

中学校の部活も終わり、帰宅の途にあった僕。しかし、忘れ物に気付いた僕は、元来た道を引き返し、一人、暗い学校の校舎へと入った。忘れ物を見つけたそのとき――

　真夏の朝の通勤電車。 　満員鮨詰め状態で、まさに、サウナの中にいる感じ。サラリーマン同士による席盗り合戦で勝利したこの席も、前の人の妙な温もりを感じて、気持ちが悪い。 　 （この電車、クーラー効いて//

「なんで今、涙活（ルイカツ）なんてしてるわけ？」

宇宙の星々がここぞとばかりに存在を主張し合う、晴れた月夜。 風もなく、暑くも寒くもない――そんな穏やかな秋の夜のことだった。

「はあ？　私と付き合いたければ、もっと気の利いた告白でもしてみなさいよ！」 僕は決心した。彼女をうんと云わせる告白を、いつか必ず、してみせることを！ ――これは、冴えない独身男「榊原祐樹」による、お//

社会人2年目になったばかりの、春の日の朝。深夜残業でぐったりな僕が出会ったのは、桜の花の甘美な香りと、おばあさんの優しい笑顔だった。

だって、共学の高校だよ？ 男子と女子の比率がほぼ半々の、理想的な学校だよ？ 恋愛の一つや二つくらい、校庭の花壇とか体育館の裏とか教室の隅とか、あちこちに転がっていると思うのが、普通でしょ！

ようやく街の雪も解けた、ある春の日。大学二年生の雄史は、駐輪場に置いてあったバイクを整備して、まだシーズン前の海岸へと出かける。 暗がりの中、今まで見たことも無いような星空に見惚れていた雄史だったが、//

ジュニアヘビー級の覆面レスラー「ジャスティス・タイガー」は、闘い続ける。 愛する、人たちの為に――

「ここで立ち止まったら負けだ」 いつも彼は、僕を励ましてくれる。

人生の終盤にさしかかったその男は、今日も壁を建てていた。そこにやって来たのは、あどけなさの残る、可憐な少女。「おじさん、ここで何をしているの？」「壁を建ててているのさ」少女の問いに、男は答えた。

39歳のサラリーマン、松田隆夫。彼は、2年前に家族で出かけた遊園地で、娘を見失ったことを悔いていた。それ以来、廃人と化してしまった妻。自分のせいだと自身を責める彼は、廃園となった遊園地に、一人、向かう//

先ほどまで澄みきっていた、青空。 それを一気に食べ尽くすかのように、もくもくと湧き上がった入道雲が、貴之のすぐ頭上にまで近づいていた。

おんなってイキモノは、どうにもわからない。 だって、明日はクリスマス・イヴなんだよ？

加奈子へ。 旅立つ前に書き記す。これが、俺の今の本当の気持ちだ。

吾輩はポメラニアン、二歳のオスである。名前は勘太郎。 もふもふ道の精進のため、日々、鍛錬を怠らないのである。

それは、北海道が初夏を迎えた頃の夜のことだった。永浦和宏の家族――妻と息子と娘の三人――が、彼ひとりを残し、不慮の死を遂げたのだ。大きなＲＶ車との車同士の衝突事故。そう――彼はあの日にすべてを失い、あ//