【完結済み】ユリア・ジークリンデ　―陰影の戦姫譚―

　今の私は、本当の名前を名乗ることができない。

　世間から秘匿されるべき存在だから。

　そんな『閉ざされた』日常のなかでも、楽しいことはたくさんある。
　心から笑うこともできるし、嬉しいこともある。

　それでも、私はこのままでいいのだろうか。
　そして、こう思ってしまう。

　今、立っている『道』の先には、何があるのだろうと──。

　ふとした時に、もやもやとした気持ちに苛まれる。
　私に足りないものは、いったい何なのだろう。
　何かが『欠けている』気がするけれど、それが何かはわからない。

　『永遠に消えない負の記憶』に蝕まれていても……私の『道』は──未来は、あるのだろうか……。


　これは、星に愛され、星に呪われた『人間』が、『星』を掴む物語。