Accept in the new town / ニュータウンで容認

作成ユーザ: 野沢塩 / 高橋知秋
 私たちは小さな、何も印刷されていない紙を渡された。エレベーターガールのような恰好をした女性が、これはイベントの最後に絶対に必要になるので無くさないようにしてくださいね、と説明する。
 私は(これをなくしたら私たちはどうなるんですか)と聞きたかったが、うまくタイミングが合わず聞くことはできなかった。
 入り口の暗幕を捲る。間接照明の明かりが仄かに床を照らしている。私は手元の紙を強く握る。

 イベントが終わった。途中で段取りが狂い、紙を使う流れが無しになった。会場の外に出ると、出口付近にあの時渡された紙が数枚捨ててあった。
 私はこの紙がまだ必要な気がして、ポケットの中でそっと握りしめた。

 私はこの紙をなくしてしまったらどうなるんだろう。
 係りの女性に聞いてみたいが、恐らく明確な答えは出ない。そういう時は多分、曖昧な笑顔が返ってくるだけなのだ。そしてその笑顔の意味を理解することがないまま私は一生を終えるだろう。

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