歴史短編小説群
マイナーなものを中心に、歴史小説を投稿しています。
比良の蛇替え
未だ寒さが色濃く残る一月の中旬。雨の降る黄昏時を、一人の男が慌てた様子で身震いしながら駆けている。雨を避ける道具を持参していなかったらしく、急いで目的地に辿り着く事以外頭にないように見えた。
この//
掲載日:2014年 01月 12日
最終更新日:
2014年 01月 12日
キーワード:
戦国時代
歴史小説
戦国
織田信長
佐々成政
鹿と狼の喰らい合い
遠方に月山富田城が見える富田川を挟み、二人の男とそれを取り巻く各々の陣営の兵達が対峙している。四つ目結の旗の陣営を背負う武者は身の丈五尺あまり。白皙の美青年と言って差し支えない美貌の男だが、その眼光//
掲載日:2014年 01月 12日
最終更新日:
2014年 01月 12日
キーワード:
戦国
剣豪
歴史小説
盡忠報國
文久三年二月四日、その日伝通院は黒山の人だかりとなった。『浪士組』への志願者が招集されたからだ。その数は二百人を優に超える大規模なもので、しかも身分を問わぬばかりか犯罪者ですら受け入れるという組織だ//
掲載日:2014年 01月 12日
最終更新日:
2014年 01月 12日
キーワード:
歴史小説
剣豪
芹沢鴨
新撰組
幕末
木綿の裃、絹の羽織
それは対照的な身なりと言うべきだった。八十にならんとする老人は粗末な木綿の裃を身に纏い、それに対して二十歳そこそこの若殿と思しき男は絹の羽織など身に着けている。しかもそれは若殿ばかりでなく、彼に従う近//
掲載日:2014年 01月 12日
最終更新日:
2014年 01月 12日
キーワード:
戦国
剣豪
歴史小説
面目と復仇
伊賀から江戸方面へ抜ける『伊賀越』の道を行進する十人ばかりの集団が居た。それも、まるで人目を避けるかのように。十一月の早朝、それも山間部ともなるとその寒さは尋常なものではない。それを押してこんな早朝//
掲載日:2014年 01月 12日
最終更新日:
2014年 01月 12日
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剣豪
歴史小説
荒木又右衛門
鍵屋の辻
兵法盗人
大橋の周りは見届け役の兵に見物人で黒山の人だかりとなっていた。橋の両側にはそれぞれ『常陸国江戸崎住人 一羽流 日本無双の士 岩間小熊』だの『愛宕太郎坊大天狗直伝 微塵流 天下無双兵法家 根岸兎角』だ//
掲載日:2014年 01月 12日
最終更新日:
2014年 01月 12日
キーワード:
戦国
歴史小説
師岡一羽
根岸兎角
岩間小熊
剣豪
二世将軍の一徹
「貞観十年、太宗、侍臣に謂ひて曰く、帝王の業、草創と守文と孰れか難き、と。尚書左僕射房玄齢対へて曰く、天地草昧にして、群雄競ひ起る。攻め破りて乃ち降し、戦ひ勝ちて乃ち剋つ。此に由りて之を言へば、草創を//
掲載日:2014年 01月 12日
最終更新日:
2014年 01月 12日
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歴史小説
戦国
剣豪
竹中半兵衛
竹中の兵学
「魏武注に曰く、十倍ならば包囲し、五倍ならば速攻し、二倍ならば分断し、互角ならば巧緻に兵を用いてこれを防ぎ、劣勢ならば退き、勝算なければ戦を避けるべしという。大事な事は敵と己の力の差を知る事だ。さすれ//
掲載日:2014年 01月 12日
最終更新日:
2014年 01月 12日
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戦国時代
剣豪
歴史小説
深慮遠謀、匹夫の勇
深更。既に山中が暗闇に包まれ静まり返っている。明かりが灯されている場所はごく限られた場所しかない。山全体に設けられた要害や屋敷の大方も例外ではない。
その例外の一つとも言うべき小さな部屋に、二人の//
掲載日:2014年 01月 12日
最終更新日:
2014年 01月 12日
キーワード:
戦国時代
剣豪
歴史小説
山中勘兵衛の逐電
応仁の乱が起こって以後、出雲国は半ば守護の存在しない国に成り果てている。出雲を治めるのは名門京極氏であるが、応仁の乱と前後して勃発した家督騒動が泥沼と化し、政情の変化によって立場が二転三転する状況に//
掲載日:2014年 01月 12日
最終更新日:
2014年 01月 12日
キーワード:
歴史小説
戦国武将
剣豪
小早川隆景
古兵の記憶
将軍徳川秀忠が上洛の途上、尾張国熱田に逗留した折。上様御成りという事で在地の武士達はこぞって彼を出迎えた。彼らの中には嘗ての徳川直参も含まれており、秀忠や伴の者にとっても懐かしい顔は少なくなかった。//
掲載日:2014年 01月 12日
最終更新日:
2014年 01月 12日
キーワード:
戦国
歴史小説
徳川家康
剣豪
古今無双の後家
小田原城を見下ろす笠懸山の陣城、後に『石垣山城』と呼ばれるその城に、北方鎮定を命ぜられた前田利家らの軍勢が粛々と入城する。前田・上杉らの北越大名の他、彼らに同心した北関東諸侯の旗も少なからず見受けら//
掲載日:2014年 01月 12日
最終更新日:
2014年 01月 12日
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甲斐姫
歴史小説
戦国
剣豪
鬼の諫言
老人が静かに頷く。既に当時としては老境である六十に届かんとする年頃であるが、穏やかな表情の中にも隠し切れぬ歴戦の勇者たる風格が備わっている。
戸次麟伯軒道雪。北九州にて彼の名を知らぬ武士は居ない。//
掲載日:2014年 01月 12日
最終更新日:
2014年 01月 12日
キーワード:
戦国時代
立花道雪
歴史小説
剣豪
烏滸の見世物
腰に刀を差し木刀を手に携えた武芸者と思しき男の周りには、今日も黒山の人だかりが出来ていた。門弟と思しき男達はそれぞれ『武芸天下一』だの『天下無双』だの大書された旗を誇示するように持ち、それも集客に一//
掲載日:2014年 01月 12日
最終更新日:
2014年 01月 12日
キーワード:
戦国
剣豪
小野忠明
歴史小説
黄金の鞘、汁の縫い針
一目で敗軍と分かる一団だった。島津十字の紋が書かれた旗の多くは鉄砲などで穴が開き、集団の中で傷を負っていない者はごく僅か。何より人数そのものが敗勢を象徴している。その数たったの八十余人。それを軍勢に含//
掲載日:2014年 01月 12日
最終更新日:
2014年 01月 12日
キーワード:
戦国
戦国武将
歴史小説
島津義弘
剣豪