テーマ詩集：昆虫採集

　水面を、すべるように泳ぐアメンボ。 　あしもとにひろがる水面の下、めったに潜らない水中に。 　彼らはいったい、何を思うのか？

　違う生きざまと死にざまでも、同じ蟻。

　窓硝子に蛾がとまっている。 　それを見るあなたは、窓硝子のどちら側？

　カナブンと並んで、屋内遭遇率の高いカメムシ。 　だが、その末路はむごたらしく。

　そこのちょうちょ、あたしにとまれ！

　光のちょうちょは、翅を失くしてもさなぎには戻れない。

　気まぐれなサイコロに、いい目を期待するのは望み薄。 　そんなとき、このてのひらに舞い降りたものは？

　バッタのなかでも、貫禄じゅうぶんのトノサマバッタ。 　だが、その権威には疑問があり？

　もちろん、メガネをかけているわけではないが。 　なぜかトンボは、メガネキャラ。 　色彩や形状も、さまざまなのに。 　そちらのイメージばかりが先行してしまうのが、彼らの抱えた悩みだったり？

　赤とんぼは夕焼けのしたでなくても赤いのか？

　夏が終わる。 　夏の香りがまだする、そんな夜。

　黒い虫が、はいずりまわっている。