みそっかす王女と二人の紋章騎士

特に力が強いわけでも、格別賢いわけでもない。
かなりふつうの女の子な王女。
そんなウェラディアはみそっかす姫などと渾名されていた。

『王女など、美しいドレスを着て、にこにこと笑顔を振りまくお飾りでいい』

そう揶揄され、背中の猫を総動員して耐えてみても、頭にくるモノは仕方ない。
自分に出来ないのなら、誰かにやって貰えばいい。
男装している自分を助けてくれた青年に推薦状を託し、自分の名誉を賭けて王国一の騎士を選ぶ選考大祭に出てもらった。

とはいえ、王国一の騎士だ。
剣技があるだけじゃダメ。
あるいは文試で落とされるだろう。

そう諦め半分でいたのに、
強いだけでなく、顔のいい青年はウェラディアもびっくりの成績をとる――。

王女と二人の騎士が織りなすマナハルトという王国のクロニクル。