夜に爆ぜ朝を食い尽くせ

作成ユーザ: 蜂月ヒル彦
 私がまだ幼かったあの日、病床の祖母の魂を迎えに来た死神と出会った。
 何も知らない私は、名前が無いと言うその死神にーーーーと言う名前を付ける。

 幸運にもと言うべきか、名付けた死神と私はそれから十年以上会う事は無く、故にあの日の記憶は薄れ次第に自らが付けた彼の名前も、会話した事実さえ頭の中から消え去ってしまっていた。

 時が経ち、ただの映画好きの女子高生に成長した私は、心待ちにしていたお気に入りのシリーズの新作を観に、学校帰りに映画館へと足を向ける。

 変わり映えのない地続きの道。
 知らない誰かの、内容の聞こえない話し声。
 シネコンの暖房の効いたロビー。
 新作映画の宣伝を繰り返すモニター。
 昔からお世話になっている安い牛丼並盛。

 あまりにも文句無しの平凡だったのは間違いない。

 だから、あの音が聞こえた時、私は心底嫌な予感がしたのだ。

 音の正体が何なのか分からないまま咄嗟に駆け出すと、今度は声が聞こえる。

「逃げろ」

 味方だと言うその声に導かれるままに私は走った。
 そして私は、映画よりももっと不条理な、鏡合わせの世界へと半ば強制的に投げ出されていくのだった。

夜に爆ぜ朝を食い尽くせ

私がまだ幼かったあの日、病床の祖母の魂を迎えに来た死神と出会った。  何も知らない私は、名前が無いと言うその死神にーーーーと言う名前を付ける。  幸運にもと言うべきか、名付けた死神と私はそれから十年//
作品情報 N0234JV 連載中 ローファンタジー〔ファンタジー〕
掲載日:2024年 12月 01日
最終掲載日:2025年 01月 01日
作品に含まれる要素: R15 残酷な描写あり
キーワード: シリアス ダーク 女主人公 人外 和風 現代 冒険 ミステリー 異能力バトル 死神 複製世界