シャハルとハルシヤ

　この話は元々、まだ書いてないファンタジー作品『衣夢々談』の主人公の父親・井紗春の過去話を書く事を目的とした外伝的小説だった。

しかし色々と話を考えて煮詰めていくうちに、いつの間にか全く別の現実世界が舞台となり、ファンタジー性皆無のヒューマンドラマ小説と化し、あろうことか元となる作品の主人公達が産まれないという結果になった。

それもこれも、ファンタジーとは、架空の途上国を舞台にしているのではないか？　という大学時代に得た着想が出発点だが、これはこれで結構面白いと作者自身は考える。かつてレーモン・ルーセル氏が感じたという「栄光の感覚」だろうか。