傍に空

夕陽が荒野を照らしている。この世界の『太陽』は変わっている。
そもそも自分が立っているこの地面は地球のような球体ではなく、ドーナツ状の円盤らしい。地面が隆起する山脈側と対極の位置に底なしの崖がある谷側がある。『太陽』は世界の円盤と同じ直径のリングで、山脈側から昇り谷側に沈むよう、地表を軸に常に一定の速度で円盤の周りを回っている。よって、この世界の『太陽』は球体ではなく、空に光る円弧だ。昇るときと沈むときには、空は朱に美しく染まる。

かつてこの世界で、自然進化してきた生き物たちは、あるとき突然変異して怪物となったり、亜人となった。
亜人たちは文明を営み、ときに殺し合い、歴史を紡いでいく。
そんな彼らはまだ気づいていない。世界が老い、綻びはじめていることに。

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ラズが主人公の話のほか、
400年後の世界の話を追加していけたらと思っています。