堺県おとめ戦記譚～特命遊撃士チサト～

　異次元から現れた敵性生命体「珪素獣(シリコンビースト)」との生存戦争に、地球人類は辛くも勝利した。後に「珪素戦争」と呼ばれるこの戦争の勝利に寄与したのが、身体強化能力「サイフォース」を駆使する少女達によって構成された国際的組織「人類解放戦線」である事は広く知られている。辛くも全滅を免れたものの大打撃を受けた国際連合は、「人類解放戦線」に所属する少女達の保護下で秩序の回復を図った。それから時は流れ…

　シリコンビーストの脅威は去ったものの、人類は未だ多くの危機にさらされていた。
　 国際社会の平和を乱す武装カルト宗教団体にテロリストといった悪の秘密結社、科学を悪に利用するマッドサイエンティスト、果ては空想上の産物と見なされていた未確認生物ＵＭＡに巨大怪獣…
　これらの危機からの人類と人類文明の保護のために「人類解放戦線」は「人類防衛機構」へと名を改め、各国政府協力の下、サイフォースを持つ少女達の選定と、少女達への戦闘訓練を開始した。こうして戦闘訓練を受けた少女達は「特命遊撃士」と呼称され、数多の脅威からの都市防衛の任務に日夜従事している。

　時は元化２５年(西暦２０４０年)。
　場所は、日本の近畿地方に位置する堺県堺市堺区三国ヶ丘御幸通。その地にそびえ立つ地上２１階建の高層ビルは、人類防衛機構極東支部近畿ブロック堺県第２支局。
　支局ビルは今日も、人類の守り手である特命遊撃士の少女達の若き声が絶えない。堺県立御子柴高等学校１年生・吹田千里准佐もまた、その1人である。
　これは正義の旗印の下で戦う、特命遊撃士と呼ばれる少女達の、青春と友情の記録である。
　元化の御世に、防人乙女の誉れあれ！

(※　未成年者の飲酒シーンが登場しますが、当作品は現実の未成年の飲酒を推奨した物ではありません。当作品はフィクションであり、現実とは別の歴史を辿り、現実とは異なる法律が施行された日本が舞台です。フィクションと現実を分けて考えて下さい。)