地味スキルで異世界救います 〜料理女子と農業女子の奮闘日誌〜

孤独な人生の果てに命を落とした、二人の日本人女性がいた。
一人は、料理だけが生き甲斐だった五十歳の契約社員、佐藤祐子。
もう一人は、ゲームの世界にだけ情熱を燃やしていた十七歳の農業高校の３年生、小林翠。

彼女たちが次に目覚めたのは、食文化が絶望的に乏しい異世界だった。

料理屋の娘ユーユとして新生した祐子は、前世の知識と神様から授かった地味スキル【鑑定】を武器に、奇跡の料理「コロッケ」を開発 。一皿の揚げ物から、貧しい家族と寂れた店を救う、食の革命を巻き起こしていく 。

一方、開拓村に流れ着いた翠は、チート能力こそないものの、科学的な農業知識と、不思議な力を持つ「薔薇」で痩せた大地を蘇らせる 。飢えに苦しむ村に、彼女は緑の奇跡をもたらした 。

出会うはずのなかった二つの魂。やがて「魂を揺さぶる料理人」と「魔法の薔薇を咲かせる少女」の噂は、運命を交差させる 。

これは、特別な力ではなく、その手に宿した知識と情熱で人々の胃袋と心を掴み、世界を豊かに変えていく、二人の女性の物語。