勇者に相応しくないと勇者を解雇されたので、辺境の地まで逃げる事にしました

　勇者達と魔王が戦うファンタジー世界。その世界で勇者を勇者たらしめる『紋章』の一つを宿したバロウは、自分の思うがままに勇者の初期パーティとして戦ってきた。
　そして、その戦いの最中、やっとの想いで魔王軍幹部の一人を倒したある夜、同じ勇者の二人に部屋に呼び出される。その二人がバロウに話す内容とは、バロウの戦い方についてだった。バロウは自分の強さを過信するあまり、前へ前へと出る性格で味方の犠牲を気にせずに特攻していたのだ。それで仲間を失った事で、怒った勇者と喧嘩になる。
　更には、夢の中で紋章を与えたであろう神の一柱に「勇者に相応しくない」と力の根源である紋章を奪われてしまい、バロウは勇者ではなくなってしまった。
　夢から覚めたバロウは、自分の中に紋章の力が無い事を感じ、弱くなった恐怖で戦場から逃げ出す事となる。

　時は経ち、バロウは小さい頃から一緒に育って来た義理の妹と二人、戦場から遠く離れた辺境の地で一軒家に住み、畑を作り、街の皆と協力しながらのんびりと平和な暮らしを送ろうとしていた。

　しかし、次第にバロウ達を巻き込む事件が巻き起こる――。
　バロウの生活は、辺境の地でも変わらず『戦い』があった。

　一時の災難からは免れたが、これ以上街に迷惑はかけれないと街を出る事に決め、新たな冒険の扉を開く。
　一歩外に出ると、迷いと信念と策略、様々なものが入り乱れる激動の世が既に始まっていた。