八兵衛はチャレンジャー。

トール達が村から出た後、八兵衛はお供にレイチェルとトトを連れてメルト鉄鉱に来ていた。

「コラッ！レイチェル！トト！テキパキ敵さん倒さんかい！」
八兵衛から喝が飛ぶ。
「八兵衛様～敵が飛んでて武器が当たりません。」
『パタパタしてダメやんす。』

見事に２匹いるプチバットに武器を交わされる２人。
またしても八兵衛から喝が飛ぶ。
「ドアホ！しっかり動きを見るんや！あっしが教えた情報忘れたんかい。」
八兵衛は２人にサブ職業「情報屋」のジョブを習得させており細かい情報を逐一ノートにメモらせている。

「そ、それと実践は違います。」
レイチェルが言うと八兵衛はため息を吐いた。
「はぁ～。ホンマに情けないわ。この先にはサソリちゃんがいるんやで…。」

八兵衛は少し焦っていた。確かにパソコン越しにオンラインゲームをプレイするのとは違いリアルに身体を動かしている。だが仮にもトッププレイヤーと言われた事もあり身近な知り合いが先に進んでいる現状。八兵衛の負けず嫌いな挑戦が心と足を動かす。

「ファルトはん達が全プレイヤーにお膳立てしてくれたんや。次に進むで。」
ようやく敵を倒した２人に対してズカズカと進む八兵衛。
広いフロアに着くとタイガースコルピオンが警戒反応を見せて威嚇する。
「待って下さい…ってひゃ！…えへん。八兵衛様あれが主？」
『お、おっきいでやんす。ブルブル！』
八兵衛の後ろから２人の声が響く。
(確かに恐怖はある…がこの感じは…。)
初めましてソロプレイやレイド戦で勝った気持ちが八兵衛の背中を押す。忘れていた熱気、興奮が沸き上がる。
「………ふっ、ふっはっはっはっははは！！」
突然の八兵衛の笑いに２人は驚く。

「なぁ、レイチェル、トト。アイツはここの主や。言葉違えばチャンピオンや。あっし達はなんや？」
レイチェルとトトは困りながらも答えた。
「えっと…その…チャ、チャレンジャーですか？」
『挑戦者…でやんすね。』
「せや！チャレンジャーや。特ダネはいつも簡単に聞けわけないんや。あっしらもチャレンジャーとして挑まなアカン！」
八兵衛はメルトダガーを取りだし構えた。
「奴さんに勝つで！」
八兵衛はタイガースコルピオンに突っ走っていった。

次の日には八兵衛のノートにはタイガースコルピオンを３人で撃破と書かれていた。